二つの気配
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ナズナ達が特訓を始めてから一ヵ月弱が経過し、もう既にナズナはミナト達が教えられる全ての忍術をマスターしていた。リリィもナズナ程とはいかないが、流石水晶眼の魔女といった所だろう。特訓を重ねていく内にかなりコツを掴んだようで以前とは比べ物にならないくらい強くなっていた。
ナズナに至っては自分でオリジナルの忍術を作ってしまう程まで成長していた。これでかなり戦いの幅が広がっている様子だった。
「……そろそろか……」
ナズナは誰に言う訳でも無くそう呟くと窓の外に視線を向けた。ここ一ヵ月何の音沙汰も無いのが気持ち悪いくらいでずっとジニアやローランの気配を追っていた様子だった。
二人はようやくナズナ達のいる場所を突き止めたのだろう。
「ジニアもローランって人? も直ぐ近くまで来てるよね……どうするの、ナズナ?」
リリィもミナト達の特訓のおかげか、ナズナと同じように気配を感じ取っていたようで、ナズナにそう声を掛けた。
「確かにその通りなんだが……ローランの気配が以前とは比べ物にならないくらい禍々しいような気がしてな……何か嫌な予感がする」
ナズナは近くに感じるローランの気配を探っているようで、眼を瞑りながら集中している様子だった。
「……確かに……これは少なくとも普通の人間の気配じゃないね……まさか……」
リリィは心当たりがあるのか、悩むような仕草をしながらそう言った。
「? 心当たりがあるのか? リリィ」
リリィの様子で勘付いたのか、ナズナはリリィにそう尋ねた。
「……もしかしたら……いや、忘れて。確信が持てたら必ず話すから……」
リリィは言い掛けた言葉を飲み込み、大きく首を振った。
「そうか……分かった。確信が持てたら教えてくれ……じゃあ行くか。これはミナト達には関係の無い事だ。俺達だけでけりを付けなければな……」
ナズナはそう言うと、座っていたベッドから立ち上がりコートを羽織った。
「……そうだね……ここまで良くしてくれたミナト達を守らなきゃ」
リリィもそう言って立ち上がり、近くに置いてあった短剣を手に取った。
「じゃ、行くかリリィ……これが特訓後初めての実戦だ……くれぐれも油断はするなよ?」
「……ナズナこそ、油断してやられないでね」
リリィもだいぶ変わったのか、それとも元々こういう性格だったのか、今ではナズナとこんな冗談も交わせるようにまでなっていた。
二人は同時に頷くとまだ薄暗い空の中、ジニア達を出迎える為、寵陽から出て行った。




