特訓スタート
それから数週間の間、ナズナ達はミナトを始めとする忍術の使い手達による特訓を続けていた。リリィは最初の方かなり手こずっていた様子だったが、今は何とかついて来れるまで成長しているみたいだったが、それに比べ、訓練を始めた初日に殆どマスターしているのだから流石はナズナと言うべきだろう。
「はぁ、はぁ、はぁ……流石に辛いな、時間も無いのもあるが忍術と言うものは根本的に俺が知っている武術とは違い過ぎる……」
簡単にマスターしているように見えるが、ナズナは夜な夜な部屋から抜け出して、毎日追加で自主練を行なっていた。天才と呼ばれてはいるが、努力も出来るナズナだからこそ、今の強さがあるのだろう。
「ナズナ……」
そんな風に毎日自主練を繰り返しているナズナを心配そうにリリィが陰で見守っているのがここ数日よく見る光景になっていた。
「ふぅ……こんなもんか……リリィそんな所で見ていないでこっちに来たらどうだ?」
やはり気が付いていたようで、物陰に隠れていたリリィにナズナは声を掛けた。
「むー何で気付かれているかな……これでもナズナと同じように忍術の修行をしているのに……」
リリィは気付かれたのが気に入らなかったのか、頰を膨らませながら木の陰から姿を現した。
「まだまだだな……俺もまだまだ忍術をものに出来ていないが、もう少し頑張ったらどうだ?」
嫌味と言うわけでは無いのだろうが、聞く人によっては嫌味に聞こえそうな言い方だった。
「もーそんな言い方しなくても良いでしょうー他の人がそんな事を言われたら嫌われるよ?」
ナズナと旅をして来たリリィだからこそ、ナズナの言葉が嫌味とかで言っている訳では無いのを分かっているんだろう。言葉ではこんな風に言っていたが、表情は割と明るかった。
「まぁ、確かに俺は天才だからな……リリィと比べられるのはちょっとな……」
リリィの表情が明るいのを見て、ナズナも口元を緩めながらそんな冗談を口にした。
「もー流石に怒るよ?」
リリィは手を握りしめてナズナの身体をポカポカと叩きながらそう言ったが、表情は先程同様明るいままだった。
「あはは……痛い痛い……子供じゃ無いんだから……」
まるで恋人同士のように戯れつきながら、ナズナはリリィのおでこに軽くデコピンをした。
「痛っ……酷いよナズナ……もーデコピンする事無いじゃん……」
それからしばらくの間、ナズナ達は近くにあった木に寄り掛かりながら他愛も無い話を続けていた。




