東の国の秘術
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視点は再びナズナ達に戻る。
「ナズナ様、そしてリリィ様ですね……お待ちしておりました。どうぞこちらへお越しください」
ナズナ達が寵陽に着くと、いきなり目の前に現れた不思議な服を着た男がナズナ達に事を掛けた。
「……!?」
「……!?」
音も気配も感じさせず急に目の前に現れた男にナズナとリリィは驚きを隠せないようで、直ぐに間合いを取って各々武器に手を掛けた。
「……驚かせて申し訳ありません。私は『忍術』と呼ばれる術を扱う家系の者でして、無意識の内に気配を消してしまうんですよ」
少しバツの悪そうな表情をしながら男はそう言った。
「……『忍術』……聞いた事が無いな……リリィは聞いた事あるか?」
「うんうん……私も知らない」
ナズナ達は初めて聞いた『忍術』という言葉に興味を抱いている様子だった。
「『忍術』は私達の国に古くから伝わる秘術のようなものです……お二人が知らないのも無理がありません……そもそも数十年前の戦争で私達の国がアーロゲントに敗北した後からは、この秘術を守る為昔よりも更に一部の人間しか知らないものになってしまいましたから……」
男はそう言うと、ほとんど顔全体が布のような物で覆われていたので表情までが分からなかったが、眼には激しい憎しみの炎が燃え滾っているようだった。
「……俺の両親のせいですまない……」
いくらナズナ自身のせいでは無いとはいえ罪悪感が全くない訳では無いのだろう。男に対して深く頭を下げた。
「ナズナ……」
リリィもそんなナズナの行動を見て、同じように頭を下げた。
「頭をお上げください。お二人とも……貴方達が悪いのではありません。無論、ナズナ様のご両親も……戦争何てものを起こす全ての人間が悪いんです。誰か特定の人物のせいにする事なんて出来るはずがありません」
男はナズナ達が深々と頭を下げた瞬間、慌てたようにそう言って、頭を上げさせた。
「逆に気を遣わせたようでこちらこそすまない……貴方の言う通り戦争を起こす人間達全てが悪いと俺も思う。戦争や差別何て憎しみしか生まない。起こしてはいけないものだと……」
ナズナも男の意見と同意見のようで、そう返した。
「それと、こんなに話をした後で申し訳ないのだが、名前を聞いても良いか?」
男の名前を聞いていなかった事を思い出したのか、ナズナは少し申し訳無さそうにそう尋ねた。
「……おっと、会話が弾んでしまったせいで、名乗るのを忘れていましたね。申し訳ありません。私はミナト・アマミヤ。ディアスの息子です」




