『星霜』
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ナズナはシャワー室へ行き汗を流した後、そのまま寮へと戻れるように自室へと戻り
帰りの支度も合わせて整えていた。
「どうせアーロゲントに行くならそのまま戻った方が楽だな。分かっていたならこんなに武器を持って来なかったんだが……」
沢山の種類の武器を目の前に、ナズナは少し悩んだような表情をしている。
「取り敢えず一本持っていれば大丈夫だろう。残りはまとめて寮に送って貰うとするか」
ナズナはそう呟くと使用人を呼び、寮へ荷物を送って貰う手筈を整えた。
ナズナの手元に残ったのはナズナがずっと愛用している長剣。というよりはここからはるか東にある国に伝わる『刀』という武器らしい。波のような鮮やかな波紋が特徴的な美しい武器だった。名を『星霜』という。東の国の言葉で『歳月』を意味する言葉らしい。
ナズナの持つ武器はどれも一級品ではあるが、その中でもこの刀は他の武器と比べ、ずば抜けた性能を誇っている。
その刀『星霜』を背中に背負うとナズナは自室を出た。
「さて、俺の求める答えは見つかるだろうか。見つからなかったとしても何かきっかけにさえなれば、あんな所に行く意味もあるのだが……」
ナズナは心底、嫌悪感のある表情でそんな事を呟いた。
ナズナは魔女の研究、差別をあまり、と言うか全く快く思っていなかった。いずれ自分が支えて行かなければならない国が、他国と比べ今一番力を入れてそんな事をしていれば嫌気もさすだろう。
こんな国を変える為、と言うのもおかしいがこれが本当に正しい事なのかを確かめる為。それを調べる為にイストワール士官学校に入学したと言っても過言では無かった。
しかし、三年近く調べても答えに辿り着かなかった。そんな時にこのような機会が訪れたのだ。それは過度な期待を寄せていても仕方が無いだろう。
「『魔女』や『魔法』は本当にそのような扱いをして良いものなのだろうか……たとえ本当にそれが正しかったとして、俺に受け入れる事は出来るのだろうか?」
ナズナは誰に言う訳でも無く、まるで自分に言い聞かせるかのようにそう呟いた後、プラタナスの元へと急ぎ向かった。




