『気』というもの
「お話の途中申し訳ありません……夜が明けるくらいまでは大丈夫かと思っていましたが難しいようですね、そろそろお別れの時間のようです……」
ディアスは辺りを気にしながらナズナ達にそう言った。
「……確かにそうみたいだな。思ったよりも追い付いてくるのが早かったな、ジニア……」
ナズナも直ぐ近くまでジニアが来ている事を感じ取っているのかディアスの言葉に頷きながらそう言った。
「やはり、ナズナ様は凄いですね。私達のように魔力で感知している訳では無いのにも関わらず、そこまで正確に分かるなんて」
ディアスはナズナの敵を察知する能力の高さに驚いている様子だった。
「ん? 俺にとってはこれは普通の事で誰でも出来る事だと思っていたんだが違うのか?」
ディアスがかなり驚いている様子だったのを不思議に思ったのか、ナズナは首を少しだけ傾げながらディアスにそう訊いた。
「当たり前だなんてとんでもない……私達のように魔力を持つものならそのような事は可能ですが、魔力を持たない人間がそこまで正確に分かるなんてあり得ないです……」
ディアスは大げさ過ぎるくらい首を振ってナズナにそう言った。
「ですが、聞いたことはあります。私の故郷である寵陽には『気』というものを読む事が出来る人間がいると、もしかしたら寵陽に行けばナズナ様の力を更に高める事が出来るかも知れません」
その後直ぐに思い出すような素振りをして、そう言ってきた。
「……『気』か……なるほどそれは確かに面白そうだな、こいつらの力も俺にはまだまだもて余している様子だし、強くなれるならどんな事も試しておきたい。それぐらい貪欲にならなければ死ぬのは俺の方だろうからな」
初めて聞く言葉の様子だったが何故かナズナは初めて聞いた気がしなかったんだろう。何処か納得している様子だった。
「それでは、まずここを出たら寵陽に向かうと良いでしょう。道中いくつかの村がありますが、私の名前を出してこれを見せれば協力してくれるでしょう。ですが、あまり不用意に使わないように私が生きている事が知られればまた戦争が起こってしまいかねませんので、くれぐれもお気を付けて」
ディアスはそう言うと、書簡のようなものをナズナに渡した。
「すまない。ディアス恩に着る。必ずとは約束は出来無いが期待に添えるよう努力はするつもりだ。それまではディアスも死ぬなよ」
何処かディアスの言葉に違和感を覚えたのかナズナはディアスにそう言った。
「参りましたね……そこまで気付かれていたとは、仕方ありませんあなた方の為にも必ず生き残ると誓いましょう」
ディアスはそう言うと、ナズナ達に向かう方向を指差し自分はそれとは反対の方向に足を進めた。




