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精霊の力

「……」

 ナズナはディアスの話を聞き終わっても直ぐに答える事は出来ず、ずっと俯いたまま何やら悩んでいる様子だった。

「ナズナ……」

 そんなナズナの様子を見ていたリリィも一言だけそう言うと、そのまま俯いてしまった。

 リリィとしては自分を研究対象として連れてきた事に対し怒りを感じた時もあったのだろう。しかしその要因ともなった戦争にナズナの両親が関わっていたという事も知り、リリィは意見を口にする事は出来ない様子だった。

 数十分は経っただろうか……しばらくの間無言の時間が続いた後、ようやく考えを決めたのかナズナはすっと立ち上がった。

「良いだろう……俺に何処まで出来るかは分からないが協力してやる。ただし、約束は守って貰うぞ?」

 ナズナは覚悟を決めたのか、それとも元々決まっていたのか……はっきりとは口にしなかったが、自分の両親さえも敵にすると遠回しではあるがそう口にした。

「……ナズナ。本当にそれで良いの? 後悔しない?」

 ナズナの覚悟は痛い程伝わっているようで、リリィは少しだけ目の端に涙を浮かべながらナズナにそう訊いた。

「あぁ、もう俺の知らない所で自分の故郷であるアーロゲントが原因で差別や争いが起こるのは嫌何だ。俺にそれを変える力があるのなら最期の最期まで抗って見せる……例え、ジニアや俺の両親が立ち塞がったとしても俺は迷わず、誰の為でも無いただ俺自身の為に剣を向ける。この剣に誓うよ……」

 ナズナはそう言いながら両手をそれぞれ刀と短剣に触れゆっくりと目を閉じた。

「……こっこれは!?」

 まるでナズナの声に、その覚悟に呼応するかのようにナズナは以前よりも大きい青白いオーラを纏った。

「精霊だね……ちょっとというかかなり特殊だけど……それにナズナには見えていないようだし……よっぽど物好きな精霊何だね……私も今までこの力が精霊の力だとは気付かなかったくらいだし」

 ディアスはナズナが纏っているオーラに驚いた様子だったが、逆にリリィはそれほど驚いていない様子だった。

「これが……精霊の力?」

 ナズナにはやはり見えてはいないようだったが、溢れ出る力は否が応でも感じているのだろう。自分の両手を開いては閉じて、開いては閉じてを繰り返していた。

「やっぱり凄いねナズナは……きっとナズナならいつか精霊が見える日がきっと来るよ。だって人間なのにこんなにも精霊に愛されているんだもん」

 リリィはディアスに魔女の血が流れている事に気が付いていたのだろう……一瞬だけディアスに視線を向けてからナズナにそう言った。

「そうだと良いな……そうすればリリィと一緒にいるゾディアックやこいつらと話せるようになるんだろうし……」

 ナズナはまるで無邪気な子供のような眼をしながら、にっこりとリリィに笑い掛けた。

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