二国の王族
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「さぁ、遠慮無くお食べ下さい……」
ディアスの後を着いて行くと、外観からは想像がつかない程の立派な内装の大広間に通された。王宮とかとはどこか違った雰囲気の部屋の内装は、アーロゲントの建築様式というよりは他国の建築様式の方が色濃く出ているようだった。
「……」
「……」
ナズナ達はあまりにも豪華過ぎる食事と内装に度肝を抜かれている様子だった。あの王族の血縁者であるナズナでさえ驚く程の内容だったらしい。
「……うーん。少し失礼しますね……ぱくっ、このように毒なんて入っていませんから安心して食べて下さい」
ディアスはナズナ達の様子を見て、勘違いしたようで自分の皿とナズナの皿を入れ替えて自ら口に運んで毒が入っていない事を証明して見せた。
「……ディアス。別に俺は毒が入っていると疑って口にしなかったのでは無い。ここまで豪華な食事と部屋を見た事が無かっただけだ。俺の実家や王宮も相当なものだと思っていたが、これはそれを遥かに上回る……ディアス、お前は何者なんだ?」
あまりの豪華さにナズナはしばらくの間言葉を失っていたようだったが、ディアスの見当違いの行動により、何とか元に戻ったようでそう尋ねた。
「……そう、ですね。わたしはディアス、ディアス・アマミヤ。東の国の元皇太子です。アーロゲントでいう所の王子のようなものと考えて頂ければ分かるかと」
アマミヤ家と言えば、東の国を何千年も前から治めていると言われている家系だった。何故そんな人物がこんな村にいるのだろうか。
「アマミヤ……名前だけは聞いた事がある。だがすまない詳しくは知らなくてな、ただ、今の説明で何となく違和感の正体が分かった気がする」
ナズナはディアスが正体を現してから、ずっと違和感を抱いていたようで、その違和感の正体は自分と似た境遇にディアスがいたという事のようだった。
「それだと、俺もちゃんと名乗らないと失礼だな……ごほん、ご存知かも知れませんが私はナズナ・スタルリード。アーロゲント王国の現国王の甥に当たります。先程までご無礼お許し下さい……ディアス殿」
ディアスが東の国の王子という事を知ったからというのもあったが、危険を顧みず自らの正体を明かして来たディアスに対しての礼儀として、軽く敬礼をしながら畏まった口調でナズナは自分の名前を名乗った。
ディアスはやはりというべきかナズナの正体を知っていたようで、たいして驚く事はしなかったが、リリィはかなり驚いている様子だった。
言われてみるとナズナはリリィに王の甥だとは名乗っていなかった気がするので驚くのも無理は無いかも知れない。
「……わざわざご丁寧にありがとうございます。実は全て知っています。リリィ様が水晶眼の魔女だという事も……」
ディアスは何故かリリィが驚いている事を不思議に思ったようで、首を傾げた後、そう言ってきた。
「やはりそれもご存知だったんですね……それを知っていて何故私達をこの村に招き入れたのですか?」
いくら元皇太子とはいえ、わざわざ危険を冒してまでナズナ達を招き入れる理由が分からなかったナズナはディアスにそう訊いた。




