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リリィの勘

「そんな警戒しなくても大丈夫ですよ。私たちは別に貴方達を国に報告したりはしません。始めにお伝えした通り、ここは忘れられた村なのですから……国にそこまでする義理はありません……」

 そう言うと、ディアスは手を顔に持っていき、べりべりと顔の皮を剥がし始めた。

「なっ……」

「ひっ!」

 ナズナとリリィは目の前で起こっている事を直ぐには理解出来なかったようで、驚きを隠せないようだった。リリィに至っては悲鳴をあげてナズナの後ろに隠れてしまっている。

「あぁ、すまないね……驚かせてしまったかな?」

 ディアスは本当に顔の皮を剥がした訳では無く、変装用のマスクを着けていたようでそれを剥がしただけのようだった。

「……悪趣味だな」

 ナズナはようやく状況を呑み込めたようで、呆れたようにディアスにそう言った。

「あははっ……重ねてすまない。このように変装しているのは私だけだからそこは心配しなくても良いぞ。私は先の戦争で死んだ事になっているからな、こうして変装しているという訳だ。君達も他言無用で頼むよ? 私が生きていると知られればまた戦争の火種になりかねないからね」

 年齢は三十代半ばくらいだろうか。もしかしたらもっと若いかも知れない。声色も先程の変装していた時と比べかなり若々しくなっていた。

「……それで、わざわざ危険を犯してまで俺達に本当の姿を見せた?」

 流石ナズナと言うべきか、ディアスが伊達や酔狂でわざわざ正体を明かした訳では無い事を直ぐに見抜いたようで少し訝しげにディアスにそう尋ねた。

「……流石は士官学校始まって以来の天才と呼ばれているナズナ様ですね……話が早くて助かります。さぁ、立ち話も何ですから食事でもしながらお話をしましょう。追っ手の騎士団はしばらく気にしなくても大丈夫でしょう。この村は本来であれば一般人には辿り着く事が出来ない場所ですから……」

 ナズナが士官学校に通っていた事を知っていた事にも驚いたが、何より一般人には辿り着く事が出来ないという所にナズナは引っ掛かったようだった。

「ナズナ……多分だけどこの人は信用しても大丈夫だと思う……」

 先程まで少し怯えていたリリィがナズナに恐る恐るそう言った。

「……分かった。信用しよう。だが、何か不審な行動をしたら命は無いと思えよ」

 リリィがそう言った事に少し驚きながらも、ナズナはそう言うと、武器から手を離し警戒を解いた。警戒を解いた後でも、リリィを守るようにリリィの傍から離れる事無くディアスに着いていった。その様子を見てディアスは満足そうな笑顔を浮かべていた。

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