視察
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食事も終わり、空気だったプラタナスもようやく元の威厳を取り戻していた。
「さて、そろそろ本題へ入ろうか、ナズナ。魔女の研究施設への視察は明日行う予定だ」
プラタナスは話が一区切りついたタイミングでそう切り出した。
「明日ですか……構いませんが、そんなに急で問題は無いのですか?」
数日はオーブに滞在するつもりで準備を整えていたナズナは少し驚いていた。
「まぁ元々この時期に視察に行く事は決まっていたのでな、それに合わせてナズナにも同行して貰おうと数日前に決めたのだ。だから既に馬車等の準備は整っておるという訳だ」
「……馬車ですか? この街の中にあるのではないのですか?」
『馬車』という単語が出て来たのを不思議に思ったナズナはそう訊き返した。
「そうか、お前には場所を伝えていなかったな……実は王都『アーロゲント』に魔女の研究施設はあるのだよ」
プラタナスはすっかりと忘れていたようで、今思い出したかのようにそう言った。
「って事は……私、ここまで来る必要ありましたか?」
そもそもアーロゲントに住んでいたナズナはあっけに取られたような表情をしている。
「ん? あぁそう言えば、そうだったな。ナズナがアーロゲントに住んでいる事を忘れていたよ。はっはっはっ」
まるで本当にナズナがアーロゲントに住んでいる事を忘れていたかのようにプラタナスは笑ってそう答えた。
「まぁ、良いではありませんか。こうやってナズナとお話も出来ましたし。あっそうです、折角ですから私もご一緒します。ナズナの通っている士官学校にも興味がありますし……」
ナズナ達をなだめながら、何を思ったのかルピナスはそんな事を言い出した。そんな二人の様子を見てナズナは只々溜息を吐いて、呆れる事しか出来なかった。




