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星の精霊『ゾディアック』

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「よしっ……思ったよりも様になっているじゃないか? リリィ」

 ナズナは腕を組みながら下級のモンスターと戦闘をしているリリィにそう声を掛けた。

「はぁ、はぁ、え、えへへ……そうかなー」

 リリィはナズナに声を掛けられ、戦闘中だというのにも関わらずだらしのない笑みをナズナに向けた。いくら下級のモンスターとはいえ、そんな無防備な状態の敵をみすみす見逃す訳が無く、案の定リリィにモンスターが襲い掛かった。

「ったく……世話の掛かる奴だ……」

 ナズナはリリィに呆れながらもそう言うと、一瞬でリリィとモンスターの間に入り、一太刀でモンスターを絶命させた。

「!? ご、ごめん。ありがとうナズナ」

 リリィは全くと言って良い程、モンスターの気配に気が付いていなかったようで驚いた表情をしていた。

「まぁ、良い。これからの旅で慣れて行けば良いだけだ。それまでの間は俺が何とかしてやる」

 ナズナはそう言うと、刀に付いた血を払い鞘へと納めた。

「……やっぱり、凄いねナズナは……私がこれだけ苦労して倒しているモンスターをたった一撃で倒しちゃうなんて……私迷惑じゃない?」

 リリィは自分との実力の差があまりにも大きい事に不安を抱いているのか、ナズナにそう言った。

「……はぁ、俺にとっては魔法を使えるリリィの方が羨ましいんだがな。それに、この程度の剣技では父上はおろか兄上にも敵わないんだからな……大した事は無いさ」

 ナズナはリリィを羨ましそうな眼で見た後、右手を強く握り締めた。

「……えへへ。でもナズナならもしかしたら魔法を使えるかも知れないよ? 実際、魔法というものは私のように生まれながらに使える人と、『精霊』と契約して魔法を使えるようになる人がいるんだって……」

 リリィはナズナに羨ましいと言われ嬉しかったのか、口元を緩めてそう言った。

「精霊? 話には聞いた事があるが……本当に存在しているのか?」

 精霊とは万物を司る者とされているが、実際に存在を確認された事は未だかつてない。古代の遺跡には精霊と人間が共に生活をしていたような記述が存在しているが、真偽の程はまだ解明されてはいない。

「うん。いるよ? ナズナには見えないかも知れないけどずっと、ここに……」

 リリィはそう言うと自分の胸に手を当てた。

「?」

 ナズナはリリィの行動が理解できないようで、ただ首を傾げることしか出来ないようだった。

「うーん。ナズナに素質が無いと見えないし、ちょっと具現化するのは疲れるんだけど……挨拶もしておきたいだろうから……出ておいで『ゾディアック』」

 リリィがそう言って祈るような動作をすると、周りの空気が一瞬で変わるのを感じた。恐らくナズナも感じ取ったのだろう、無意識に刀に手を掛けている。

『ふふふ、こうして会うのは初めてだな。ナズナよ。私は星の精霊『ゾディアック』だ。よろしく頼む』

 リリィの後ろから聖騎士のような風貌をしたものが現れた。

「? すまないリリィ俺には何か居るのを感じる事は出来るんだが、見えない」

 ナズナは気配を感じているようだが、見えていないようで、不思議そうな表情をしている。

『やはり、見えぬか……こやつならもしかしたらと思ったが……私の思い違いのようだな……では私は元に戻るぞ? リリィ』

 少しだけ残念そうにゾディアックはそう言うと、リリィの中へと戻っていった。

「……? 気配が消えた?」

 素質が無いとはいえ、気配だけはしっかりと感じ取っているのは流石ナズナといった所だろう。

「うーん。残念だな……結構面白いんだよ? 『ゾディアック』って……いつかナズナにも見えると良いね……」

 リリィは本当に残念そうにそう言うと、疲れてしまったのかその場に座り込んでしまった。

「精霊、か……物凄い力を感じた。もし、俺が精霊の力を使う事が出来れば、兄上や父上にも……」

 後ろを向き、リリィから視線を逸らしながらそう言ったナズナはまるで悪役がするような、冷たい眼と邪悪な笑みを浮かべていた。

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