天然少女
「こんな綺麗な短剣、私が持っていても良いの? ナズナは?」
まるで、眼が見えているかのようにリリィは短剣を見ながらそう言った。
「俺にはこいつがあるから問題無い……と言うよりは別に武器が無くても戦えるから心配するな。そんな事よりもずっと気になっていたんだが本当に眼が見えないのか? あまりにも普通に見えている人と変わり無い動きや言動何だが……」
ナズナは背中に背負っている刀を見ながら、さりげなく物凄い事を言っている気がするが、それはさておき、ナズナの言う通り、リリィは眼が見えていないにしてはあまりにも自然過ぎる動きをしていた。
「そうだよね。確かに普通の人から見たら変だよね……うーん、どうやって説明すれば良いかな……ナズナの言う通り眼が見えないのは間違いないよ? でもね、うーん頭の中に景色が浮かぶって言ったら良いのかな? そんな感じ?」
リリィにもよく分からないようだったが、眼が見えない事で特に困っているという訳では無いのだけは伝わって来た。
「まぁ、それなら良かった。安心して背中を任せても良さそうだ」
ナズナはリリィの言う事を信じたようで、安心したようにそう言った。
「うん。それは安心して任せて貰って良いよ、いざとなったら魔法を使ってでもナズナを守るから……」
ナズナの言葉で何やら気合いが入ったのか、リリィはやる気に満ち溢れている様子だった。
「……それは頼もしいが、一つだけ訂正するぞ? 守るのは俺だ」
『守るという事』そこだけはやはりナズナは譲れないようで、リリィに向かってそう言った。
「むー私だって守られてばかりって訳にはいかないもん。私だってナズナを守るんですーだ」
まるで、反抗して駄々をこねる子供のようにリリィはナズナにそう言った。
「はぁ……まぁ、何でも良いがせめてこの国を抜けるまでは、くれぐれも魔女だってバレないように気を付けろよ?」
ナズナは大きな溜息を吐いた後、リリィから視線を逸らした。
「心配しなくても大丈夫だよー」
本当に大丈夫なのか心配になってしまいそうな、気の抜けた口調でリリィはナズナにそう言った。
「旅立って早々凄く疲れたんだが……本当にこれで良かったのか……」
ナズナはリリィの様子を見て、リリィを連れて来た事を少しだけ後悔している様子だった。
「うーん? 元気無いねナズナ……折角の旅何だからもっと楽しんで行こーよ?」
リリィは何も知らない無垢な子供のような笑顔をナズナに向けた。
その様子を見てナズナは呆れてしまったのか、頭を抱えてそれ以上は何も言わなかった。




