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密会

「はぁー似合ってはいるが、もう少し旅に向いてる服装に着替えて来い……どんな服を着ていたって可愛い事に変わりは無いんだからな……」

 ナズナは大きな溜息を吐いた後、フォローするようにリリィにそう言った。

「!? ナズナ……」

 リリィは少し悲しげな表情をしていたが、ナズナの言葉を最後まで聞いた後は、その表情はまるで太陽のように明るい笑顔に変わっていた。

「……ロータス。悪いが少しの間リリィを頼む」

 ナズナはリリィが喜んでいるのを横目に、ロータスにそっと耳打ちをした。

「……かしこまりました。坊っちゃま、お気をつけて……」

 ロータスはそう言うとナズナが外へ出て行くのをリリィから隠すように、すっとリリィとナズナの間に立った。

「すまない……ロータス。ありがとう」

 ナズナはロータスに呟くようにそう言うと、リリィに気付かれないように、そっとスタルリード邸から出ていった。


――――――


「出て来いよ、ジニア……」

 ナズナはスタルリード邸から出て直ぐに、ある一点、柱の陰目掛けてそう言った。

「……驚いたな……流石はナズナだ。よく気が付いたな」

 まさか気付かれているとは思っていなかったようで、驚いた様子でジニアは姿を現した。

「そんな事はどうでも良い……気が付いているだろうがあまり時間は無い、もうまもなくローラン騎士団長がジニアを追ってここまで来るだろうからな……」

 周りを警戒しながらジニアに向かってナズナはそう言った。

「……やっぱり、そうなるか、分かってはいた事だが……」

 ジニアはやはり薄々は感じでいたようで、少し悲しげにそう言った。

「俺はこのまま東に向かおうと思う……ジニアがここに来た時には丁度入れ違いだったって事で屋敷の者達にも辻褄は合わせて貰う。流石に俺が反逆者だって手配書が出回る前だ、この屋敷の人間には手出しは出来ないだろう。それを利用させて貰うって訳だ」

 ナズナはかなり先の事まで考えていたようで、それを聞いていたジニアは、驚きを隠せないようだった。

「だから、次に会ったときは遠慮無く斬りかかって来い。分かってはいると思うが、俺も負ける訳にはいかない……死んでも文句は言うなよ?」

 ナズナはまるで、友達同士の会話のように軽い感じでそう言うと、踵を返しスタルリード邸へと戻っていった。

「あぁ、俺ももっと強くなるから覚悟しておけよナズナ」

 ジニアのその言葉は恐らくナズナの耳に届いたのだろう。ナズナは口元を少しだけ緩めているようだった。

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