スタルリード邸の執事達
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「迷惑を掛けてすまない……この子にシャワーを貸してやってくれないか?」
スタルリード邸についたナズナは執事の初老の男にそう声を掛けた。
「……ナズナ様。頭をお上げください。我々にそのような気遣いは無用ですぞ?」
執事の男はそう言うと、直ぐに女性の使用人を呼びリリィを連れてお風呂場へと連れていかせた。
「ありがとう……ロータス。用事が済んだら直ぐに発つからそれまでは頼む」
ナズナは今までの事も合わせて感謝しているようで、ロータスに頭を下げながらそう言った。
「私にはもったいないお言葉です。ナズナ様、私たちは何があってもナズナ様の味方です」
ロータスはまるで、全てを理解しているかのようにナズナにそう言った。
「ふっ……父上に聞かれたら問題だぞ? ロータスは父上の専属執事何だからな」
ナズナは軽く笑って、少し挑発気味にそう言った。
「はっはっはっ……普段からそのような言葉遣いでお話になっていれば、ご主人様もルピナス様もお喜びになると思うのですが……」
ロータスはナズナと同じように笑いながらそう言った。
「確かに、もっと素直になっても良かったかもな。少し後悔しているよ」
ナズナは思い出すように天井を見上げながらそう言った。
「ナズナ様……心配なさらなくても生きてさえいればいつかは分かり合える時がきます。確かに今は難しいかも知れませんが、必ず……」
ロータスは少し悲しげな表情を浮かべているナズナにはっきりとそう言った。
「そうだと、良いな……」
ナズナはロータスの方に視線を向け、ほんの少しではあったが口元を緩めた。
「……久しぶりに坊っちゃまの笑顔を見られた気がします。爺は嬉しいですぞ」
ロータスは本当に感動しているようで目の端には涙を浮かべていた。
「全く、大げさ過ぎるだろ? でもまぁ、確かに家を離れていた事もあったが、それ以前から笑う事も泣く事も無かった気がするな」
ナズナはロータスにそう言われ、思い出すような素振りをしながらそう言った。
「ようやく、見つけたのですね。坊っちゃまは……自分の行くべき道を」
何故か周りにいた使用人達も同じように、目の端に涙を浮かべていた。
「そんな大層な事じゃ無いと思うが……言われてみればそう言う事なのかも知れないな……本当に今までありがとう」
ナズナはそう言うと、自分も少しだけ涙を浮かべていたのを隠す為か踵を返した。
そんなやり取りをしている間に支度が整ったようで、先程の女性の使用人と共にリリィが戻ってきた。




