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さり気ない気遣い

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 そして再び、視点はナズナ達に戻った。未だにリリィは頬を膨らませたまま、ナズナの一歩先を急ぎ足で歩いていた。

 その間にも歩いていた場所が森の中だったのでモンスターが襲い掛かって来てはいたが、その度、リリィの放つ殺気にも似たオーラで襲って来たモンスターの方が自ら逃げ出してしまっていた。

 リリィから逃げだした、モンスターが次に狙って来るのは必然的にナズナの方で、ナズナは迫り来るモンスターを次から次へと斬り倒していった。

 森にいるモンスターという事もあって、植物系のモンスターが大半を占めていたが、中には小型の獣系モンスターも何匹か襲い掛かって来ていた。

「神霍流二刀一の型『疾風迅雷』」

 ナズナにとっては大した事の無い敵ではあったが流石に数が多かったので、一体ずつ相手にするのが途中から面倒になったのか、奥義で周りにいたモンスターを斬り倒した。

「はぁ、悪かったって……リリィ頼むから許してくれって……流石にこのまま目的も無く彷徨うのは得策じゃない」

 ナズナはモンスターの波が収まった、というよりは無理やり波を消し去ったというべきか……そのタイミングでリリィにそう声を掛けた。

「……分かった。こんなくだらない意地で捕まってもしょうがないもんね」

 リリィはようやく機嫌を直したのか、立ち止まってナズナにそう言った。

「ふぅ……恐らくジニアがダリア王に命令をされ、俺達の事を追いかけて来る頃だろう」

 ナズナはようやく落ち着きを取り戻したリリィに、安心したようで一息吐いた後そう言った。

「ジニアが? 王様に? それじゃあジニアは敵になっちゃうの?」

 リリィは困惑した様子で、慌てながらそう言った。

「……用心深いダリア王の事だ。間違い無くジニアの事も疑っているだろう。下手に俺達がジニアに接触するとそのままジニアの処罰に繋がると思う。恐らくローラン騎士団長辺りが監視についているだろうしな」

 ナズナは流石というべきか、これから起こるだろう出来事を冷静に分析しているようだった。そこまで考えている事にリリィは驚きを隠せない様子だった。

「……でも今の内ならまだ何とかなるだろう、この近くに俺の住んでいる街があるんだ。シャワーくらいならそこで借りる事が出来る……」

 リリィのそんな表情を見ながら付け加えるようにナズナはそう言った。

「えっ……ナズナの生まれ育った街に行けるのは嬉しいけど、本当に大丈夫なの?」

 リリィはそんな事を言われるとは思っていなかったらしく、更に驚いた表情をしている。

「……正直な話、間違い無く安全だとは言い切れないな……だが、これから旅を共にする仲間の希望も聞けないようではこれから先やっていけないだろ?」

 ナズナは考える素振りをした後、少し真面目な表情をしてそう言った。

「……ナズナ、ありがとう」

 リリィは一瞬悩むような素振りをした後、満面の笑みでナズナにそう言った。

「それで良い。リリィ。心配するな、お前は必ず俺が守ってやる」

 ナズナはそう言うと満足そうな表情を浮かべ、ナズナの生まれ育った街『オーブ』へ向かい歩き始めた。

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