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真夜中の旅立ち

「意識を取り戻して早々に悪いが、俺はイーヴァをこの手で殺してしまった。今はまだ夜中だから騒ぎにはなっていないが、朝になれば俺は指名手配されるだろう……」

 ナズナはそう言うと申し訳無さそうにジニアに頭を下げた。

「……そうか、すまないなお前にばかり背負わせて……」

 ジニアは辺りを見回しながら、今の状況を理解したようだった。

「面倒ついでに頼み事をしても良いか?」

 辺りを見回していたジニアに向かって、先程よりも更に申し訳無さそうにそう訊いた。

「何だ?」

 ジニアはこれから頼まれる事を分かっているかのように、静かにそう言った。

「流石に俺一人でこれだけの人数を守りながら、この国を出るのは難しいだろう。そこで、今回の首謀者は俺という事にしてジニアはここに残って魔女達を守って貰えないか?」

 未だに気を失っている魔女達に視線を向けながら、ナズナはそう言った。

「……やっぱりか、ナズナならそう言うと思っていたよ。悔しいがナズナの提案を受け入れるしか『今』は道が無いんだよな?」

 ジニアの思っていた通りだったようで、苦虫を噛み潰したような表情でそう言った。

「何から何まで本当にすまないな……俺にもっと力があればこんな苦労はさせなくて済むのに……」

 ナズナはもう一度ジニアに頭を下げながらそう言った。

「分かった。だがそんなに自分を卑下するな、ナズナがいなかったら俺も含め、ここにいる全員が死んでいたかも知れないんだからな、魔女達の事は任せろ。誰一人殺させはしないよ。騎士の誇りに賭けて」

 ジニアはそう言うと、腰の剣を抜き天に掲げた。

「さて、リリィ、お前はどうする?」

 ジニアの言葉にナズナはしっかり頷くと、リリィに視線を向けそう訊いた。

「わ、わたしはナズナと一緒に居たい……ダメ、かな?」

 リリィは急に話を振られ、驚いたのか少し慌てたようにそう言った。

「と、いう事だが、構わないか?」

 今度はジニアに視線を向けながらナズナはそう訊いた。

「あぁ、構わないさ。ナズナが隣にいるのなら何の心配も無い……ナズナこそ良いのか?」

 ジニアは少しだけ驚いた表情をした後、ナズナとリリィの様子を見て納得したのかそう訊いた。

「まぁ、一人旅ってのも悪くは無いと思ったが……折角着いてくるっていうならそれもありかと思ってな」

 少しだけ恥ずかしそうにナズナはジニアに言葉を返した。

「分かった。後の事は俺に任せてくれ……自分だけ助かろうとしてるってリリィは思っているだろうが、心配するな。魔女達には俺がついてる」

 ナズナの言葉に満足そうに頷いた後、陰のさした表情をしていたリリィに視線を向けそう言った。ほんの少しではあったが、罪悪感のようなものがあったのだろう。リリィはその言葉で安心したのかジニアに優しく微笑んだ。

「それじゃ、ちょっと行って来るわ」

 ナズナはまるで買い物にでも行くかのように、軽い口調でそう言うと、リリィを連れて魔女の研究施設を後にした。


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