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『星霜』と『クリュザンテーメ』

「……行くぞ。死んでも文句は言うなよ?」

 ゆっくりと眼を開け、辺りを見回しながらそう呟いたナズナの身体からは、青白いオーラの様なものが溢れていた。

「何です? 貴方、何をしたのですか? 魔法? いやこれは魔法では無いですね……ではこれ程までの力をどう説明すれば良いのでしょう? ふふふっ、何やらヤバそうな状況ではありますが……研究意欲がかきたてられますね」

 ナズナの強さの一片が垣間見え、イーヴァは一瞬驚いたような表情をしたが、直ぐ様何時ものニヤニヤとした気持ちの悪い笑みを浮かべた。

「……お楽しみの所悪いが、こいつは制御が効かなくてな、直ぐに終わらせて貰う」

 ナズナはそう言うと腰に付けた刀と短剣を二本共、鞘から抜き姿勢を低くして武器を構えた。

 それからは目で追うのがやっとで、次にナズナが言葉を発した時には既にあれ程までいた魔女達は全員気絶させられていた。

「ふぅー何とか今回は殺さずに済みそうだな……さて、やろうかジニア」

 ナズナは大きく息を吐いた後、ゆっくりと視線をジニアに向けた。

「……」

 先程までは何とか意識を保っていたジニアだったが、今はもう完全に目は虚ろで、ナズナの言葉も届いていないようだった。

「全く、そんなもんに意識を持っていかれやがって……仮にも元主席何だから、俺達の手本になって下さいよ。ジニア先輩(・・)?」

 ナズナは意識の無いジニアに向かって、少しだけ寂しそうな表情を浮かべそう言った後、地を蹴って一瞬でジニアの所まで移動した。


―――「ギャィーン」―――


 やはり元主席といった所だろう。先程の魔女達は何も出来ずに気絶させられていったのに対し、ジニアは操られているとはいえ、ナズナの初撃を受けきった。

「流石は元主席。やはり力を隠してたんだな? 出し惜しみしてたら死ぬぜ?」

「……」

 ナズナは初撃を受けきられた事を、少しだけ驚いた様子を見せながらも、何処か納得したような表情をしていた。

「さぁ、あまり長引かせても意味が無い。イーヴァも待っているしな……幕を引くとしよう」

 ナズナは一瞬だけ、イーヴァに視線を向けそう言うと間合いを取り、武器を構え直した。

「神霍流二刀二ノ型『一寸光陰』」

 ナズナはそう呟くと、先程を遥かに越えるスピードでジニアに向かって斬りかかった。斬られた当の本人であるジニアでさえ、自分が斬られた事に気付くのが遅れるくらい、まさに光の速さの剣技と言えるだろう。

「ぐはっ……」

 流石に魔女達の時と同じようには手加減をする事が出来なかったのか、ジニアは口から血を吐き出しその場に崩れ落ちた。

「すまないなジニア……傷を付けないよう何とかしようと思ったが、流石にジニア相手では難しかったようだ……さて、待たせたな、覚悟は出来ているか? イーヴァ……」

 床に崩れ落ちたジニアを見て少しだけ申し訳無さそうにそう言った後、イーヴァの方に視線を向け、口元に笑みを浮かべながらそう言った。

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