イーヴァの研究成果
イーヴァがボタンの付いた装置を押した瞬間、周りの空気が一瞬で重くなったように感じた。
「くっ、イーヴァ、貴様……何をした?」
「うっ、何だ!? この圧力は?」
ナズナとジニアはそのに圧力より、ほぼ同時に片膝を地面に着けた。
「ふふふっ……これが私の研究成果です。後ろを見て下さい」
イーヴァは笑いながらナズナ達の後方、魔女達がいた部屋を指差した。
「なっ、まさか操っているとでも言うのか?」
ナズナ達が後方に視線を向けると、文字通り操り人形のように生気の無い虚ろな目をした魔女達が、直ぐ後ろまで迫っていた。
「だいせーかーい。流石は主席で士官学校を卒業しただけの事はありますね? ジニアさん」
イーヴァは手を叩きながら、大喜びしながらジニアの問いに答えた。
「主席で卒業するから、どれ程の人物かと思っていたんですが……期待外れでしたね。私の希望でここの警備担当にして手駒として利用しようとしていたというのに……」
イーヴァは本当に残念そうに肩を落としながらそう言った。
「誰がお前なんかの手駒になるかよ……死んでも御免だって……あっれ、身体がいうことが効かない?」
ジニアはそう言いながら、徐々に直ぐ後ろに迫っていた魔女達と同じように虚ろな目に変わっていった。
「ジニア!? おい、大丈夫か?」
ジニアの言葉に違和感を感じたのか、ナズナはジニアに視線を向けると肩を揺すった。
「な、ナズナ……お前だけでも逃げ、ろ。いくらお前でも、あの人数の魔女と俺を、同時に相手をする、のは不可能だ……俺の意識が消える前に早く!」
ジニアは気力で何とかまだ、意識を保っているようで言葉途切れ途切れになりながら、ナズナにそう言った。
「念の為ここの警備の者にも魔女達と同じような処置をしていたのですが……ふーん? 流石は元主席ですね。思ったよりも長い間意識を保っています。これはこれで良いデータが取れて嬉しいです。これの制御をするのに役立ちそうです」
イーヴァはそう言うとジニアに興味深そうな視線を向けた後、リリィの首に着いた鎖をもう一度締め上げた。
「うっ……」
「イーヴァ……貴様がそこまでするなら良いだろう。俺は知らないからな……」
そう言ったナズナからは先程までの怒りを乗せた口調は消え、その怒りを内へ内へと宿すように、ゆっくりと深呼吸を繰り返した。
「ふふふっ……たかが人間一人で何が出来る? 例えお前が『鬼神』と『戦姫』の子供だからといってお前自信が強い訳では無い」
ナズナの強さを知らないとはいえ、全く眼中に無いといった様子で少し馬鹿にしているようにも感じた。
「力を借りるぞ……『星霜』そして『クリュザンテーメ』」
ナズナはそう言うと腰に着けた刀と短剣に手をかざしながら、ゆっくりと眼を閉じた。




