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二刀流

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 そして再び、視点はナズナ達に戻った。リリィに危険が迫っているのを、何処かで感じ取っているのかナズナ達は先程よりも早い足取りで、リリィのいる魔女の研究施設の最奥へと向かっていた。

「くっ、痛みがどんどん酷くなってきやがった。それに引き換え声は聞こえなくなってきている……ここは少し無理をしてでも急いだほうが良さそうだな。ジニア先輩、しっかり付いて来て下さいね」

 ナズナは頭を押さえながらそう言った後、腰に付けた刀と短剣を手に持ち、走るスピードはそのままで目を瞑った。

「おい、何をするつもりだ!?」

 ナズナの隣を並走していたジニアはナズナに急にそう言われて、少し慌てた表情をしている。

「……それでは、行きます!!」

 ナズナはジニアの言葉が聞こえないくらいの集中状態、所謂『ゾーン』のようなものを、この一瞬で強制的に解放したようで、先程とは比べ物にならないスピードで目的地に向かって文字通り真っ直ぐに進んでいった。

 立ち塞がる者は斬り倒し、結界や扉でさえもナズナの持つ刀と短剣で切り刻んでいった。

「……まじかよ。流石にこれは予想外だな、まさかナズナがこんな力を隠していたとは……」

 ナズナの刀と短剣の二刀流を見て、ジニアは驚きを通り越して感動しているようだった。

「はぁぁぁー」

 ナズナは勢いそのままにあっという間にリリィのいる魔女の研究施設の最奥の扉の前まで辿り着いた。

「はぁ、はぁ、いくら何でも滅茶苦茶過ぎるだろう……でも流石にこの扉は壊せないよな。ふぅ、良かった良かった」

 ジニアは一瞬、距離を離されていたようだったが、流石は主席で士官学校を卒業した猛者、ナズナの常人離れしたスピードに何とか食らいついてここまで辿り着いたようだった。

「……何を言っているんですか。ジニア先輩? この程度の扉が俺に斬れないとでも?」

 ナズナはそう言うと、一度大きく息を吸い、ゆっくりと吐き出した。

神霍流(しんかくりゅう)二刀一ノ型『疾風迅雷』……」

 ナズナは呟くと、左手に持った刀と右手に持った短剣で、見るも止まらぬ速さで扉を切り刻んだ。間近で見ていたジニアでさえ目で追う事が出来ず、切り刻んだ正確な回数を知るのは本人くらいなものだろう。

「なっ……まさかこの扉を壊せる奴がいるとは。冗談抜きで紛れも無く天才だろう……この力をどうして……」

 ジニアは粉々になった、扉だった破片を拾い上げながら、少しだけ不思議そうにナズナにそう訊いた。

「……この程度の強さでは、まだまだ父上や母上には及ばない。目標としている人物に追いつく為、追い越す為に隠しておいて損はしないだろう? それにジニアもまだまだ実力の半分も出しているようには見えないからな。人には一つや二つ隠しておきたい秘密はあるものだと俺は思うが?」

 『ゾーン』状態に入っているせいか、ナズナの口調からは敬語が一切消え、少し荒々しい言葉遣いになっている。その為いつの間にかジニアの事も呼び捨てで呼んでいた。

「ったく、今まで猫を被っていたって訳かよ……折角だしそのまま俺の事はジニアって呼べよ。俺も気兼ねなくナズナって呼ぶ事にするからさ」

 ジニアは少しだけ驚いた表情をした後、呆れたようにナズナにそう言って白い歯を見せてにっこりと笑った。

「分かった、そうさせてもらう。さて、急ごうジニア。リリィが待ってる」

 しっかりとジニアの言葉に頷いた後、いつの間にか予感が確信に変わったようではっきりとナズナはそう言い切った。

「あぁ、任せておけ。ナズナの背中は俺が守ってやるからさ……」

 ナズナとジニアはまるで長い間共に戦って来た『相棒同士』のように言葉を交わし、勢いよくリリィの待つ魔女の研究施設の最奥へと入っていった。

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