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オーブ

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 ナズナは休日を利用して実家のある街『オーブ』へと帰省していた。帰省とは言っても、アーロゲントからたいして距離がある訳では無く、歩いたとしても半日程しか掛からない場所にあった。

 アーロゲントと比べてしまうと小さな街になってしまうのだが、それでも現国王の弟が統べている街なので、他の街とは比べ物にならないくらい大きな街ではある。

 こんな長期休暇でも無いタイミングで帰省した理由は勿論、数日前に連絡のあった用事を済ませるためだろう。

 ナズナが屋敷に入ろうとすると、沢山の使用人達に出迎えられた。赤い絨毯を向かいに使用人達が並び、ナズナに頭を下げている。その先にはナズナの父親……プラタナス公爵の姿があった。立派な装飾が施された服と立派な口ひげは、やはり現国王の弟といったところだろうか。

「よく戻ったな。ナズナよ。息災か?」

 ナズナが屋敷に足を踏み入れるとプラタナスはそう声を掛けた。

「はっ、ただいま戻りました父上。父上もお元気そうで何よりです」

 ナズナはしゃがみ込んでビシッと敬礼をした。

「そこまでかしこまらなくても良いぞ、ナズナ。ここは別に公の場では無いのだから」

 プラタナスは少し残念そうな表情を浮かべながらそう言った。

「とは言いましても、私も士官学校に在籍している身。例え親でも礼儀は重んじろと教えられているものでして……」

 ナズナはそのまま敬礼の体勢を崩さず、そう返した。

「全く。お前といい、兄のシオンといい。融通のきかん奴じゃ。まぁ、良い。今回呼んだのは他でも無い……先の便りの通り、間もなく十八歳になるお前に見せておきたいものがあってな。この国を支える者として」

 プラタナスはナズナの様子を見て呆れているようだったが、気持ちを切り替えて話を続けた。

「はい。便りは確認させて頂きました。魔女の研究施設への視察という事でお間違いないでしょうか?」

 ナズナは立ち上がりプラタナスの方に視線を向けてそう訊いた。

「あぁ、詳しくは食事でもしながら話そう。ルピナスも待っている」

 プラタナスはそう言うと、マントを翻しながら踵を返し屋敷の奥へと入っていった。

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