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リリィ

「単刀直入に訊くが、ナズナお前は魔女の研究についてどう思っている?」

 ジニアはもう一度だけ辺りを確認した後でナズナにそう言った。

「どう、と言われまして……私にはまだ」

 ナズナはいきなりそのような事をジニアに訊かれ、戸惑っているようだった。

「実は今日、ナズナの行動を観察させて貰っていたのだが……もしかしたら俺やドクトル先生と同じ考えをしているんじゃないかと思ってな……」

 ジニアはそう言いながら一度ゆっくりと息を吐き、コーヒーに口を付けた。

「確かに私は、魔女の研究について思う事はあります。しかし私は仮にも王族の血縁者です。私がそのような事を口にするわけにはいきません」

 ナズナはそう言った後、同じようにコーヒーに口を付けた。

「俺はな……あの研究は間違っているんじゃないかと思っているんだ。昔は魔女だから、人間とは違う生き物なんだから、別に構わないと考えていた。それがあの研究所の警備をするようになって変わった……」

 ジニアはここで一度言葉を区切り、もう一度コーヒーに口を付けた。

「……魔女達に情が移ってしまったんだろうな……今は彼女達、いや彼もいるが見ていると胸が苦しくなってしまうんだ。特に酷い扱いを受けている水晶眼の彼女『リリィ』には本当に申し訳無いと思っている」

 ジニアはそう言うと大きく息を吐いた。

「『水晶眼』……『リリィ』? っく痛っ」

 ナズナはそう呟くと、先程と同じように頭を押さえた。

「!? 大丈夫か? まだ頭が痛むのか?」

 ジニアは急に頭を押さえて机に伏せたナズナを見て、急いで駆け寄った。

「すみません。何故かは分からないんですけど。彼女の事を思い出すと頭が痛むんです……それに彼女のあの眼を見てから時折、彼女の声かは分からないんですけど『助けて……』

って聞こえてくるんです」

 ナズナはまだ少し頭が痛むのか、頭を押さえたままでジニアにそう言った。

「……ナズナ。全てを捨てて彼女『リリィ』を守る覚悟はあるか?」

 ジニアはナズナの言葉に驚いたようで一瞬無言になった後、目の色を変えてナズナにそう言った。

「いきなり、どうしたんですかジニア先輩? 急にそんな事を言われても訳が分からないですよ……」

 ジニアにそう言われ、ナズナは少し困惑した表情をしている。

「すまん……忘れてくれ。そうだよな、ナズナにも考えや立場があるんだよな……俺が悪かった」

 ジニアは座ったまま机に手を付けて頭を下げ、ポケットから無線機のような物を取り出すと何処かへ連絡をし始めた。

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