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文献の山々

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 季節は間もなく冬といったところだろうか。この辺り一帯は特に大きな四季の変化は見られず、比較的過ごしやすい穏やかな気候だった。

 三月になればナズナもこのイストワール士官学校を卒業する。ナズナは何としても在学中に調べておきたい事がある様子だった。

「よいしょ、ちっ……これでもない。はぁ、かれこれもう三年近く経つのに、一向に探している文献が見つからない。この学校にも無いとするとあとは王宮くらいか……」

 生活感が全くない殺風景な書斎にいたナズナは誰に言う訳でも無く、溜息を吐きながらそう呟いた。

「流石に王宮に行きたいなんて、両親に頼めば何とかなるが、急にそんな話をしたら不信がられるしな」

 ナズナは王族である。現国王の弟がナズナの父親なのだ。王位継承権はある事に間違いは無いが、現国王であるダリアには子供もいるし、ナズナには兄もいるのでかなり後ろの方だった。

 そんな立場にいるナズナが事を起こせば、問題があるというどころの話ではない。国の問題へと発展してしまうだろう。

「ちっ、面倒だ。この身分のせいで自由にさせて貰えない。ようやく親を何とか説得して入学出来たこの学校での生活も残り数ヵ月。それまでに何とか探さなければ……」

 ナズナはイライラとした様子でそんな事を呟いていると、普段から開けっ放しにしてある部屋に一つしかない窓の縁に一羽の伝書鳩が止まった。

「珍しいな。俺に連絡が来るなんて……ふむふむ。ふっ、これは利用できそうだ」

 ナズナはまるで悪戯好きな子供のような表情を浮かべ、返事を書いて伝書鳩に持たせた。

「さて、これが最初で最後のチャンスかも知れない。覚悟を決めて危ない橋を渡るとするか……」

 ナズナの去った後に残ったのは、魔法や魔女について書かれたおびただしい量の文献の山だった。

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