家族
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プラタナス達はナズナを背負ったまま出口へ向かう為、来た道を引き返していた。
「それにしても随分とナズナも重くなったものだ。ついこの間までは片手でも軽々と持ち上げられたというのに……」
プラタナスはナズナを背負い直しながら、少し嬉しそうにそう言った。
「いつの話をしているんですか貴方は……でも、確かにもう間もなくナズナが生まれてから十八年も経つのですね……」
ルピナスは少し呆れながらそう言った後、感慨深そうな表情をしている。
「……いつまでも……子供のままではいられませんからね……」
プラタナスに背負われたままだったナズナは、少し頭の痛みが引いたのか、さっきよりは、はっきりとした口調でそう言った。
「ナズナもう大丈夫か? もし大丈夫ならそろそろ自分の足で歩けるか? それなら私も助かるのだが……」
そんなに距離を歩いていなかったような気がするが、年のせいかプラタナスは肩で息をしている。
「あら、貴方、だらしがないわね。この程度で息が上がったのかしら? 『鬼神』と呼ばれ恐れられていた者が聞いて呆れるわ……」
先程よりも明らかに息が上がり始めているプラタナスに、ルピナスは馬鹿にするかのようにそう言った。
「ちっ違う、暑苦しいだけだ……」
プラタナスは図星をつかれたのか、慌ててルピナスから視線を逸らしながらそう言った。
「……だいぶましになったので、自分の足で歩きますよ……」
ナズナはそう言うと、プラタナスの背中からゆっくりと降りた。何とか自分の足で立ち上がってはいるがまだ本調子ではないようで足元がおぼつかない様子だった。
「本当に大丈夫? ナズナ。ごめんなさいね。だらしのない父親で……」
ルピナスはナズナに駆け寄ると、ナズナを支えながらプラタナスに冷たい視線を向けた。
「何故、私がそんな冷たい目で見られないといけないんだ……」
ルピナスからの冷たい視線を気が付いたのか、プラタナスは悲しそうな表情をしている。
「あら、そんなつもりは無くってよ? 貴方の目がおかしくなったんじゃないかしら?」
ルピナスはそんなプラタナスを突き放すように更に冷たい目で見た後、プラタナスからすっと視線をナズナの方に向けた。
「これではあまりにも私の立場が無さすぎる……」
プラタナスはそんな風に明らかにしょんぼりとして、がっくしと肩を落としていた。
そんな冗談も言い合える二人の様子を相変わらず仲が良い夫婦だなと、自分の両親ながらそう思ったのか、ナズナは呆れた表情と少し嬉しそうな表情が入り混じった様子で二人を見ていた。




