士官学校の先輩
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会話をしながらしばらく街の中を歩くと、ようやく目的地である罪人収容施設に到着した。そこには既に数人の兵士たちがナズナ達の到着を待っていたようだった。
「お待ちしておりました。プラタナス伯爵、ルピナス殿、そしてナズナ殿」
兵士達はナズナ達に気が付くと、片膝を立て敬礼をするとその内の一人がそう声を掛けて来た。
「ごほん。遅れてすまなかったな。さて、早速で悪いが案内して貰えるか?」
プラタナスは咳払いを一つしてから、兵士達にそう言った。
「そんな滅相もございません。これが私達の仕事ですので……それではここの警備の責任者を務めさせて頂いております、私ジニアがご案内させて頂きます」
兵士の一人ジニアはそう言うと周りにいた兵士は立ち上がり扉を開け。敬礼の体勢に戻った。
「それではよろしく頼む。ジニア殿」
「『殿』等とは恐れ多い、ジニアとお呼び下さい」
どんな人だろうと分け隔てなく対等に接する所に、プラタナスの人柄の良さが現れている。
「それでは改めてよろしく頼むぞ、ジニア」
「はっ、かしこまりました。それでは足元にお気をつけてお進み下さい」
プラタナスが再度そう言うと、ジニアは敬礼をした姿のままそう言った後、一瞬だけナズナに向かって手を挙げた後、扉へと入っていった。
ナズナもジニアと名乗った後から、何となくそう思っていたようだったが、ジニアはナズナが士官学校の一年生の時、主席で卒業した二つ上の先輩だった。
少しだけ交流もあり、主席で卒業していた事はナズナも勿論知っていたので、てっきり騎士団でももっと上の立場にいると思っていたようで、ナズナはこんな所で警備をしている事に疑問を持っているようだった。
「ジニア先輩。私も公務中なのであまりお話は出来ませんが、どうしてジニア先輩程の方がここの警備を?」
ナズナは公務の最中だという事は、百も承知だったが気になってしまったので違和感がないように徐々に近づいていき声を掛けた。
「久しぶりだな、ナズナ。ナズナ殿と呼んだ方が良いか?」
ジニアは少し笑いながらそんな冗談を言ってきた。
「父上達に聞こえないのであればどちらでも構いませんよ」
少し後ろを歩いているプラタナスの方を見ながらナズナはジニアにそう言った。
「ははっ、相変わらず真面目な奴だな。で、何で俺がこんな所にいるかだったな? それはここがアーロゲントにとってそれだけ重要な施設だという事だろう。実際俺も最初は驚いたさ。だがありがたい事に、今ではここの警備の責任者をさせて貰っている」
そう言ったジニアからは先程のかしこまった口調は消え、年相応の口調で話していた。
「そうだったんですね。答えて頂きありがとうございました。その言葉で納得しました」
ナズナはそう言うと、軽く頭を下げ、自然と元の位置へと戻っていった。その様子をプラタナス達は見ていたが、周りに誰かいた訳でも無かったので、特に気にする素振りはせず歩みを進めていた。




