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公務

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 魔女の研究施設は王族の血縁者であるナズナですら知らなかった通り、そういう施設があるという噂は街に流れているが、一般人には場所の公開はされていない。

 その場所は地下にあり、罪人が収容されている施設の更に地下深くに隠されていた。そのような所にあるとは、灯台下暗しである。

 その場所までは若干ではあるが、距離があり、その為ナズナ達は街の中を歩いて向かっていた。

「久しぶりにアーロゲントに赴いたのだが、相も変わらず活気のある良い街だな」

 プラタナスは街を見回しながら、感慨深そうにそう言った。

「そうですね、貴方。私達の街もこの街に負けないくらい良い所ではありますけど。この活気は敵いませんわね」

 ルピナスもプラタナスと同じように、街を見回しながらプラタナスと腕を組んで歩いている。 

「そう言えばナズナ? 士官学校はどっちだったかしら? 一度中を見て回りたいのでけど?」

 ルピナスはふと思い出したように、ナズナに問い掛けた。

「あちらになりますが……お時間は問題ありませんか?」

 少しだけ困ったような表情をしながら、ナズナは士官学校のある方を指差しそう言った。

「うーむ。そうだな、これ以上遅くなってしまうのはな。待たせている人物もいるからな。視察が終わってからにしようか……」

「そうですか。分かりましたわ」

 プラタナスがナズナにそう返すと、ルピナスは少し残念そうな表情をしてそう言った。

「まぁ、心配せずとも今日はここで宿を取る予定だから、視察が終わってからでも十分に見て回れるさ」

 プラタナスはルピナスにそう言うと、気を取り直して魔女の研究施設へ向かう為、歩みを進めた。

 しばらく街の中を歩いていると、ナズナは今気が付いたのかプラタナスに声を掛けた。

「もしかして研究施設は罪人達が収容されている施設にあるのですか?」

「そうじゃが、良く気付いたな。ナズナ。見事な推理力だ」

 ナズナがそう問い掛けると、プラタナスは少し驚いた表情をした後、にやりとしてそう言った。

「士官学校でも何処にあるのか様々な憶測が飛び交っていましたが、王都の中にあるとすれば王宮か罪人収容施設の二択だったのでなるほど、それは納得です」

 ナズナ自身もその様に考えていたのか、頷きながらそう言った。

「ふむ。一応言っておくが、この事は他言無用だぞ? 騎士団員に知られるくらいならさして問題は無かろうが、一般市民にまで知れ渡ってしまうと、ちと面倒だからな。まぁ、私達がこんなところに赴いているだけで違和感を感じている人間は少なからずいるだろうがな……」

 プラタナスがあくまで一応と言ったのは、隠れて赴くこともせず堂々としている辺りから伺える通り、あまり大した問題にはならないと踏んでいるからだろう。

「さて、間もなく到着だ。ここからは公務の一環だから、心して掛かれよ?」

 プラタナスはそう言いながらも、特には心配している様子は無く、本当にあくまで形式上口にしただけの様だった。

「分かっております。父上」

 ナズナもその事には気付いていたようで、特に慌てる様子も無く、いつも通り敬礼をしながらプラタナスに言葉を返した。プラタナスはそんなナズナの様子を見て、満足そうに頷き踵を返した。

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