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秘密

「ナズナも知っての通りルピナスは花が好きでな……昔、様々な国へ遠征に出掛けた際のお土産としてルピナスに花を贈っていたのだよ。その中の一つに『菊』があったから覚えておったのだよ」

 プラタナスは昔の事を思い出すかのように、どこか遠い目をしている。

「そうなのよ。この人ったら私が花が好きって事を知った後から、何かある度に花を贈ってくれたの。そんな事をされたら好きになってしまうでしょう?」

 ルピナスも昔を思い出しているのか、少しを頬を赤らめている。

「という事は父上、東の国へ行った事があるのですか?」

 ナズナは東の国についてとても興味がわいていたようで、少し食い気味にプラタナスにそう訊いた。

「すまんな、ナズナ。残念ながらあまりに昔の事過ぎて覚えてはいないのだ」

そう言ったプラタナスに少し違和感を感じたのか、ナズナは眉間に皺を寄せて何か考えているようだった。

「ダリア王といい、父上といい、東の国には何か私には言えない事があるのですか?」

 違和感の招待を確かめるべく、ナズナはプラタナスの目を真っすぐ見ながらそう訊いた。

「うーむ。我が息子ながら素晴らしい洞察力だが、東の国については口留めされていて詳しくは話せないんだ。ただ、とても面白くて良い国だったとは言っておこう。いずれ、騎士団に入れば東の国へ赴く機会もあろう。その時自分の目で確かめると良い。兄上にはシオンに訊けとでも言われただろうが、シオンに尋ねても同じ事しか言えないだろうから、無理を言って聞き出そうとしてやるなよ?」

 プラタナスは少し驚いた表情をした後、申し訳無さそうにそう言ってきた。

「そうよ。何事も自分の目で確かめるのが一番良いのよ? 実際私も無理行って東の国へ着いて行ってしまったくらいですからね。あの時は相当怒られてしまいましたが、無理をしてでも行って良かったと今でも思っています。ナズナ達兄弟には色々と不自由掛けてしまって申し訳ないと思っていますけど、これからは子供では無く、一人の大人として少しくらいの自由なら許されるようになるでしょう。私もその為に色々と準備をしている所です」

 ルピナスは懐かしそうにそう言った後、申し訳無さそうな表情をしてナズナに頭を下げた。

「そうだったんですか……すみません。母上がそのような事をして下さっているとは知らず、わがままばかり言ってしまって……父上も出過ぎた真似をしてしまい申し訳ありません。実は兄上に久しぶりに連絡して東の国について聞かせて貰おうと考えていたのでそれが知れて良かったです。言われなかったら父上が仰った通り、無理にでも聞こうとしたかも知れません」

 ナズナはそう言うと二人に向かって深く頭を下げた。

「まぁ、良い。なぁルピナスよ」

「えぇ、私は、いえ私たちはただ元気に貴方たち兄弟が育ってくれるだけで幸せなのですから……」

 そう言うとプラタナスとルピナスは顔を見合わせながら、ナズナに笑いかけた。

「ありがとうございます。父上、母上」

 ナズナは感謝の気持ちを伝える為、もう一度先程よりも深く頭を下げた。

「さて、それでは気を取り直して研究施設へ向かうとするか」

 プラタナスはそう言うと踵を返し、研究施設へ向かう為歩き始めた。その後を追ってナズナ達も王宮を後にした。

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