『クリュザンテーメ』
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ナズナは部屋へ入ると所狭しと並べられた武器を、一つずつ丁寧に見始めた。
「これは……凄い」
ナズナはもう既に自分の世界に入ってしまっているようで、武器しかもう見えていないようだった。その様子をダリア王は満足そうな表情で見ている。
武器を見始めてから、しばらく経つとナズナは一つの短剣の前で足を止めた。
「これは……」
ナズナはまるで吸い寄せられるようにその短剣を手に取り、辺りは確認してから剣を振った。
「うん。何故だろう、やっぱりしっくりくる。この刀とも何故か共鳴しているようだし」
ナズナは手に取った美しい花の装飾が施された、白というよりは透明がかった色をした短剣を見つめながらそう言った。
「はっはっはっ。やはりナズナは見る目があるのう。その短剣はつい先日手に入れたものなのじゃよ。わしもその美しさに一目惚れしてしまい、ナズナと同じような行動をしてしまったのじゃよ」
ダリア王は笑いながらナズナにそう声を掛けた。
「『クリュザンテーメ』」
ナズナは急にそんな言葉を口にした。そう言ったナズナも何故そんな事を言ったのか分からないといったような表情をしている。
「驚いたな……どうしてその剣の名を知っておるのじゃ? でも何故だろうな、どこか納得している自分もおる」
少し驚いた表情をした後、何故だか納得しているようで、ダリア王は頷きながらそう言った。
「そうですか……『クリュザンテーメ』ですか。何故でしょう、初めて口にした言葉の筈なのに、どこか懐かしい気がします」
何故か急に頭に浮かんできた名を口にして、最初は驚いていたナズナだったが、今は何故だかこの剣が手元にあるのが当たり前のような気さえしていた。
「これも何かの運命じゃろう。ナズナよその剣を持っていけ」
つい先日手に入れたものだというのに、迷う素振りも無くダリア王はナズナにそう言った。
「本当によろしいのですか? ダリア王もこの剣を気に入ったからこそ手に入れたのではないのですか?」
ダリア王に申し訳なく思ったナズナは、確認の意味も込めてそう訊き返した。
「構わん、構わん。そいつもわしなんかの手元におるより、誰かの、いやナズナの手元におった方が嬉しいじゃろう。それに、最初からナズナならこの剣を選ぶだろうと予感はしておったからのう」
満足そうにそう言ったダリア王は、どこか遠い目をしていた。




