圧倒的な実力差
「その余裕な笑みを引きつらせてやる……神器解放『氷と炎の狂想曲』……氷と炎……二つの異なる属性と共に踊れ……」
ジニアは以前ナズナに放った時よりも数倍威力の上がった魔法を撃って見せた。その威力に対してナズナは笑わずにはいられないようだった。
「ふははは……良いぞ……もっと、もっとだ……この程度の魔法では俺の身体には傷一つ付けられないぞ?」
まるでジニアの言葉通り、ナズナは氷と炎の中で踊るようにくるくると回っていた。魔法の中にいるはずなのにも関わらず全くと言って良い程、ダメージが無いのは精霊による力が大きいのだろうか。
「確かに俺はそう言ったが、流石に笑えないだろ……これ……」
ナズナはジニアの言葉に馬鹿正直に従っていた事に対して呆れている様子だったが、それよりもジニアが撃てる最高の魔法を魔法も剣技も使う事無く耐えきっている事に驚きを隠せない様子だった。
「確かに……俺もここまで精霊の力が凄いとは思ってもいなかった、今分かったよ……魔女がアーロゲント他……多くの国で忌み嫌われている理由が……」
ナズナは精霊の力を手に入れた事によって、魔女というよりは魔法というものの恐ろしさにに触れて考えを改めてようだった。
「……でも……それでもやっぱり魔女を人間扱いしないのは許されない……それに、魔法を殺しの道具に利用する奴も……」
ナズナは続けて、自分の考えは変わっていない事をフォンセに視線を向けながら話した。
「……確かにナズナの言う通りだが、それでも俺は譲れない……だから……」
ジニアは魔法で攻撃する事を諦め、剣技で勝負をする事にしたようで、そう言いながらジニアに背を向け無防備となっていたナズナに斬り掛かった。
―――「ギャイーン」―――
ジニアはほんの数瞬、いや一瞬を逃さなかった。しかし無情にもその剣は届く事は無かった。ナズナの持っていた杖が自らの意思で盾に形状をジニアの剣を受け止めていたからである。
「ふむ……なるほどやはりこれは俺にとって最高の魔道具らしい……」
ジニアの剣を受け止めた盾は先程までの杖の形状に戻り、ナズナの手の中へと戻っていった。
「……はぁ……これじゃあどうしようもないじゃないか……ひと思いに殺ってくれ……」
今の剣が届かなかった事で完全に自分には勝てない事を完全に悟ったのか、大きな溜息を吐いてその場に座り込んでしまった。
「……確かに俺は強くなり過ぎたのかも知れないな……それじゃあ遠慮無く殺らせて貰うぞ?」
座り込んでしまったジニアにゆっくりと近付きながらそう呟くと、背負っていた刀に手を掛けた。




