予想外の助っ人
「かはっ……」
ナズナは一瞬何が起こった分からなかったようでかなり驚いたような表情を浮かべていた。
「……真っ直ぐ過ぎますよ……ナズナさんは……」
フォンセはそれだけ呟くと、ナズナの腹に刺さっていた剣を引き抜いた。
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
その場に崩れるように倒れたナズナの腹からは血が噴き出して、そこには血溜まりが出来ていた。
「……ナズナ!?」
シオンの治療をしていたリリィは直ぐにナズナの近くに駆け寄り、慌てて回復魔法を使った。
「……い、いから……お前だけでもここから、にげ、ろ……」
まるで最後の力でも振り絞るように、リリィにそう言うと、ナズナはそのまま気を失ってしまった。
「……いやぁぁぁぁー!!」
リリィの悲痛な叫び声が奇跡を起こしたのか、そこにはいるはずの無い男の姿があった。
「……やれやれ一番やっかいな道が選ばれてしまいましたか……」
そこに立っていたのはディアスだった。
「……私が気配を感じ取れなかったとは……貴方は一体何者ですか?」
既にナズナから視線を逸らしていたフォンセは急に現れたディアスに対してそう尋ねるの当然の事だろう。
「……私の事を覚えていないのですか? まぁ、貴方に逢ったのはもう何百年も昔の話ですから仕方ありませんけどね……」
ディアスは少し残念そうな表情を浮かべながらそう言うと、意識を失っているナズナに手を翳した。
「……何を言っているかよく分かりませんが……ナズナさんならもう無理ですよ? この剣は特別製です。魔法の耐性が無いナズナさんには致命傷になる事でしょう」
フォンセはディアスに対して警戒しているようで、口ではそう言いながらも何やら準備をしている様子だった。
「……」
ディアスもフォンセが何もせずに只々会話をするなんて思っていなかったようで、ナズナに翳していない反対の手をフォンセに向けた。
「だから何をしても無駄……」
恐らくディアスに気付かれる事すらも計算の内だったようだが、ディアスはその上をいっていた。
「しばらくそのままでお待ち下さい……」
ディアスはそれだけ呟くと、フォンセに向けていた手もナズナに翳した。
「時が止まってる……」
フォンセの方に視線を向けると、フォンセの周りだけ時間が止まっていた。これも時の精霊『クロノス』の力なのだろう。
「……はぁ……やはり無理ですか……」
ナズナに手を翳していたディアスは何処か自嘲気味にそう呟いた。
「……そんな……ナズナ……」
ディアスが呟いた言葉でリリィはナズナの死を察してしまったのか、その場に崩れ落ちてしまった。




