フォンセが扱う不思議な魔法具
「……そうですね……私にこの力を使わせたんですから、お答えしましょう。これは私の思いのままに形状を変化させることが出来ます。杖だろうが、槍だろうが、盾だろうがね……所謂、『魔法具』のような物ですよ」
フォンセは一瞬だけ答えるか悩んだようだったが、ナズナの問いに答えた。
「……それは良いものだな……それは俺にも使えるのか?」
複数の武器を使いこなすナズナにとってはこれほど使い勝手の良い物は無いからだろう、ナズナはフォンセにそう尋ねた。
「……それは無理ですね……あくまでこれは『魔法具』……魔力の無い人間には使えないですね……まぁ、魔力じゃなければ使えないという訳では無いのですが……」
フォンセは首を大きく振りながらそう答えた。
「……精霊の力とかでも大丈夫って事か……」
フォンセが魔力以外の力でも問題無いといったのが引っ掛かったようで、ナズナは一瞬悩むような仕草をしてそう言った。
「精霊の存在までご存知とは、恐れ入りました……確かにナズナさんの言う通り精霊の力でも問題は無いでしょう……残念ながら私には精霊の力はありませんので、真偽のほどは確かめられませんが……」
ナズナが精霊について知っているとは思わなかったのだろう。フォンセはかなり驚いた表情をしていた。
「……それはとても良い事を聞いた。俺がお前に勝ったらそれを渡して貰おう……」
ナズナは不敵な笑みを浮かべると、武器を構えた。
「……今のナズナさんでは使えないと思いますが……それとも精霊と契約する予定でもあるのですか?」
フォンセはナズナの言葉に対し、軽く笑うとそう訊いた。
「……リリィが俺にもいつか精霊が見えるようになるって言っていたからな……その言葉を俺は信じている」
リリィと逢って直ぐの頃、リリィがナズナに言ったその言葉をずっとナズナは信じていたらしい。存在を認知する事も出来ない精霊をリリィの言葉だけで信じる事が出来る何て、そんなに簡単な事では無いだろう。
「……そうですか……ですが、私もそう簡単には負けてあげられません……私がナズナさんに負ける事など万に一つもあり得ませんからね」
フォンセは呆れたようにそう呟くと、手に持っていた盾を剣に変えて体勢を整えた。
「……それじゃあ、改めて行くぞ!」
ナズナは律儀にもフォンセが武器を構えた事を確認してから、そう言ってフォンセに斬り掛かった。
「……やはり、貴方は優しすぎます……そこが貴方の最大の弱点です……」
フォンセはナズナの剣を右手に持った剣で受け止めると、いつの間にか左手に握られていた剣でナズナの腹を付き刺した。




