ジニアの父親
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「夢……幻想の……魔法か……」
ジニアは扉に入って直ぐこれが魔法で作られている事に気が付いたようで、扉を抜けるなりそんな言葉を口にした。
『お前は私達の子供では無い……化け物め……』
『貴方を見るとあの忌々しい魔族の事を思い出してしまうの……だから、死んで?』
まだ、幼いジニアに向かって放たれる、大人でも頭がおかしくなってしまいそうな言葉の数々。これが毎日のように続いていたというのにも関わらず、今のジニアが普通なのは彼に魔族の血が流れているからなのだろうか。
「……相変わらず……恐ろしい魔法を使うんだから……父さんは……」
ジニアは呆れたようにそう呟くと、何も無いはずの場所に向かって魔法を放った。
「……流石は私の息子……ジーニアスですね……いつから私がお前の父親だと?」
先程のような声だけでは無く、フォンセがそこにいた。
「……もうその名前は捨てました。次からはジニアって呼んで下さい……気が付いたのは初めて戦場で逢った時に……薄々は……何故か魔族の血がうずうずしていたからもしかしたらとは……」
ジニアは懐かしむようにそう言うと、軽く頭を下げた。
「……ふむふむ……良いでしょう。ジニアよもっと近くでお前の顔を見せて下さい……」
本当に再会を楽しむようにフォンセはそう言って、ジニアに手を伸ばした。
「……」
ジニアはそのまま吸い寄せられるようにフォンセの方へと歩き始めた。
「……さぁ……私の息子ジニアよ……」
「……」
フォンセの手が後少しでジニアに届きそうなタイミングでジニアは剣を抜いて斬り掛かった。
「……流石は私の息子と言うべきでしょうか……出来れば苦しまずに殺してやりたかったのですが……」
ジニアからの攻撃は全くダメージが通っていないようだった。というよりはこのフォンセもまた幻だったのだろう。
「お褒めに預かり光栄です……父上……ですが流石に父上の言葉でもそれは聞けません……例えこの命尽きようとも守りたいものが私にはあるのですから……」
ジニアはそう言うと、この空間を破壊するつもりなのか詠唱を始めた。
「魔族の血を引く者ジニアが命じる。この空間をあるべき姿に戻せ……『レナトゥス』」
ジニアの詠唱が終わると空間のあちこちからひびの割るような音が鳴り始めた。
「……ここまで強くなっていたとは……驚きました……次に逢う時が楽しみです……」
それだけ言うとフォンセの幻は光の粒子となって消えてしまった。それと同時に周りの景色も元いた廃墟の入り口へと戻っていた。




