一際大きな廃墟
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ジニアが魔族と人間の子供であると言う話をしてから、シオンとジニアの間に少しだけ溝が出来たように感じる。
二人は普通に話しているつもりではあるのだろうが会話と会話の間が以前と比べるととても重く感じた。
そんな二人を見ながら、リリィは少しだけ興味本意でジニアに訊いてしまった事を後悔しているようだった。
「……そろそろか……恐らくあいつはあそこにいるだろう……」
そんなリリィの心配等お構い無しのようで、シオンは目の前に現れた何処かの貴族が住んでいたのであろう廃墟を指差しながらそう言った。
「……そうみたいですね……俺にも気配を感じる事が出来るのであれば間違い無いでしょう……」
ジニアはシオンの言葉に頷くと、腰にさした剣にそっと触れた。
「フォンセという堕天使は俺が殺る……お前らはあいつを助ける事に集中しろ……」
自分の部下を操り人形にされていた事に対して、やはりかなりの憤りを感じているようで、シオンには珍しく感情の籠った言葉だった。
「それではあまりにも危険過ぎます……俺も一緒に……」
フォンセの強さを間近でみていたジニアはシオンの事を一人で戦わせる何て考えられなかったのだろう。直ぐにシオンにそう言った。
「誰に口を聞いているんだ? 俺はシオン・スタルリード……『鬼神』の『戦姫』の息子だぞ?」
ジニアに魔族の血が流れていると知ってしまったからか、それともジニアに対してですら、そう言わなければならない程余裕が無いのか、シオンは殺気だっている様子だった。
「……すみません。シオン先輩……出過ぎた真似をしてしまいました……」
シオンにそう言われてしまっては、流石に返す言葉が無いようで少しだけ悲しそうな表情を浮かべると下を向いてしまった。
「……」
「……」
「……」
そんな空気が思い中では、誰も会話を続けよう等とは思わない訳で……特に作戦も立てる事無くそのままフォンセの根城へと乗り込む事になった。
――――――
『ようこそお出でくださいました……私の屋敷に……とは言ってもつい先日利用し始めたんですけどね……』
リリィ達がフォンセとナズナがいるであろう、廃墟に足を踏み入れると、廃墟全体から聞こえてくるようにフォンセの声が響き渡った。
「ナズナは無事なの?」
誰よりも先にリリィがフォンセに対してそう訊いた。
『んー素晴らしいですねー『愛』というものは……私にはさっぱり理解出来ませんが……』
フォンセは感動しているようでそんな事を口にしていた。
「だからナズナは無事なのって聞いてるでしょ? 答えないならこの廃墟ごと吹き飛ばすよ?」
リリィはフォンセが早く答えない事に対してかなりご立腹のようでかなりイライラしている様子で今にも魔法を放ちそうだった。




