思わぬ伏兵
――――――
「止まれ……」
しばらく歩いていると、シオンが急に立ち止まり二人にそう声を掛けた。
「……」
「……」
直ぐに二人は戦闘態勢を整え、辺りを警戒し始めた。この様子だけ見ていると、とても即席のパーティとは思えない程の連携が取れている。
「そこで何をしている?」
シオンは廃墟の陰に刀を向け、そこにいる何かに向かって声を上げた。
「……」
「……」
「……」
シオンが剣を向けた廃墟の陰から、生気の抜けた騎士団の鎧を身に着けた数人の騎士がぞろぞろと出て来た。
「……なっ……」
その騎士達の姿を見てシオンは言葉を失っているようだった。
「……シオン先輩……もしかして……」
シオンは勿論、ジニアにもここに現れた騎士が何者なのか分かっているようだった。
「……お前達……」
かろうじて人間の姿を保ってはいるが、間違い無くここにいる者達は生きてはいなかった。
「フォンセの仕業ですか……何て酷い事を……直ぐに魂を返してあげなくては……」
その言葉でリリィにもこの者達がシオンの部下達であった事を理解したようで、憤りを感じているようだった。リリィは魔法の詠唱を始める為、直ぐに集中しようとした。
「……待て……こいつらは俺が殺る……お前達は手を出すな……」
シオンは直ぐにリリィ達を手で制し、武器を構えた。
「……」
「……」
これ程まで殺気立ったシオンを見たのは初めてだったようで、リリィはおろかジニアですら、言葉を口にする事が出来ない様子だった。
「……行くぞ……神霍流抜刀術秘伝『阿修羅』……今の俺が放てる最高の技だ……せめてもの手向けだ受け取れぇぇぇー!」
以前一度放った時よりも気持ちが乗っているせいか、スピードも切れも段違いになっていた。あの時でさえ、とてつもない技だと感じていた二人は驚きを隠せないようだった。
「……すまない……お前達……安らかに眠ってくれ……俺も直ぐにそっちに行くから……」
既に塵へと化してしまったかつての部下達に向けて、そう呟くとそのままその場に座り込んでしまった。
「……シオン先輩!?」
「……!?」
言葉にはしなかったもののリリィも急に座り込んだシオンを心配したようで、慌てて二人共シオンの元に駆け寄った。
「……ありがとう……俺に殺らせてくれて……」
シオンは二人に視線を向ける事無く、一言だけそう言って勢いよく起き上がると恥ずかしさを隠す為かそれ以上は何も言わず、またいつもと同じように先頭に立ってナズナとフォンセの元へ向かう為、歩を進めた。




