交差する神霍流
「はぁぁぁー」
シオンはプラタナスの掛け声が言い終わるか否かのタイミングで大地を蹴り、ナズナの元へ気合を入れる為かそんな掛け声と共に突っ込んでいった。
「うわぁ!?」
流石のナズナも急にシオンが突っ込んで来るとは思っていなかったのだろう。それでも必要最低限の動きだけでシオンの一撃を躱した。
「……ちっ、俺も使うしかないのか……」
シオンは恐らくは避けられる事を覚悟はしていたのだろうが、心の片隅では避けられないとも思っていたのだろう。何とも言えない表情をしていた。
「……もう、少しくらい手加減してよ……」
ナズナはそんなシオンの様子何かお構いなしのようで、困ったよな表情の中にも笑顔があった。
「……神霍流抜刀術一ノ型……」
シオンはその場に立ち止まり、体勢を低くして腰に木刀を持って行った。
「兄さん……本当に容赦無いんだから……流石にそれを躱す自信は無いから、僕も必殺技を使うね……神霍流短剣一刀一ノ型……」
シオンが剣技を放って来る事に気付いたナズナは、シオンと同じようにその場に立ち止まり、木刀を構えた。
『天之御影』
『空花乱墜』
二人の剣技が同時に放たれ、辺り一帯にはまるで爆発でも起きたかのような衝撃音が鳴り響いた。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
二人共今自分が打てる最高の剣技を使ったのだろう。息も絶え絶えになり肩で息をしていた。
「……もう……駄目……」
先に倒れたのはナズナの方だった。しかし直ぐ後に、それを確認して安心したのかシオンも同じように倒れてしまった。
「そこまで……この模擬戦はシオンの勝利とする……」
その声が聞こえたのかまでは分からないが、倒れているシオンの表情が少しだけ先程よりも明るくなっていた。
「あらあら、お庭をこんなに荒らしちゃって……随分とやんちゃな子供達ですこと……」
流石は『戦姫』と呼ばれていただけの事はあるのだろう。普通の女性なら自分の子供達がこんな事を起こせば卒倒してもおかしくは無い状況だったのにも関わらず、驚いた顔一つせず、只々困ったような表情を浮かべていた。
「……うむ。確かに困ったな……まさか、こいつらがここまで出来るようになっているとは思わなかった。これで未完成だって言っているのだから、これは将来が今から楽しみだな……ルピナスよ……」
プラタナスは所々衝撃によって壊れてしまっている庭を見回しながら、そう言うとルピナスにそう声を掛けた。
「確かにそうね……貴方……流石は私達の子供といった所かしら……母親としては何処か複雑な思いもあるのだけれど……」
ルピナスは自分の子供の成長を嬉しく感じると共に、母親として心配する気持ちもあるのだろう。少し複雑な表情をしているのが印象的だった。




