神霍流
「お、おぅ……すまないな。ナズナよ……あまりにも初めて作った物という割にはかなり出来が良いからつい、な……悪く思わないでくれ……」
プラタナスはナズナの機嫌を少し損ねてしまった事に直ぐに気が付き、慌てて訂正するようにそう言った。
「ふーん……そう、なんだ。えへへ……そう言われると何だか嬉しいな……」
ナズナはプラタナスの言葉で一気に表情が変わり、だらしのない笑みを浮かべた。
「……」
その様子を睨みつけるようにシオンは見ていた。この頃からシオンはナズナの才能を何処か嫌っていたのかも知れない。
「それでは気を取り直してやるとするか……ナズナ……」
プラタナスはそう言うと、体勢を低くしてナズナを挑発するように手をくいっと動かした。
「……行くよ父さん……吃驚しないでね……」
ナズナはそう呟くと、大地を勢いよく蹴り一瞬でプラタナスの所まで辿り着いた。ここまではシオンとなんら遜色の無い動きだった。
「……うむ、しっかりと訓練は積んでいるようだな……だが、お前も見ていた通りその程度では私から勝とう何て無理だぞ?」
プラタナスはシオンと同様に日に日に強くなっているナズナを見て満足そうに頷き、ナズナにそう言った。
「……わかってるよ……父さん。だから僕はこの木刀を選んだんだ……行くよ……神霍流短剣一刀一ノ型『空花乱墜』」
ナズナは口元をすっと緩めると、その場に立ち止まり呟くようにそう言った。
「……な、何だと?」
プラタナスは先程までの余裕が嘘のように慌て始め、直ぐにシオンの傍に移動して木刀を借りると慌てて元の場所へと戻った。
「やっと木刀を持ってくれたんだね……それじゃ遠慮なく行くよ」
まるで、プラタナスが木刀を持ってくる事が分かっていて、それを待っているかのようにも見えた。
「来い……ナズナ!」
プラタナスはそう言って剣を掲げると、物凄いスピードで移動しているナズナの剣撃を一つ一つ捌いて行った。
「はぁ……はぁ……はぁ……うっ、やっぱりまだ未完成だったか……」
ナズナは全ての剣撃が受け止めきられた事を確認すると、その場に崩れ落ちてしまった。
「!? ナズナ?」
その様子を近くで見ていたルピナスは慌ててナズナの元へと駆け寄った。それから少しだけ遅れてプラタナスとシオンもナズナの元へと駆け寄った。
「……あはは……ごめんなさい。やっぱり父さんは強いな……これだったら何とかなると思ったけど、まだ駄目だったか……」
ナズナは疲労によってその場に崩れ落ちただけの様で、苦笑いをしていた。




