多彩な才能
「えっ……嘘って事? じゃあ父さんの子供って事だよね? ふぅー良かったー」
半分以上信じていたようで、少し涙目になっていたシオンはルピナスの言葉で安心したようにそう言った。
「でも、それって、これだけ強い父さんが紛れもなく人間って事なんじゃ……」
すっかりと安心して和やかな雰囲気になっている所を、少し離れた場所からその様子を見ていたナズナはそんな言葉を口にした。
十年以上経った今だからこそ、そんな風に周りを冷静に見れるようになったのかと思っていたが、既にこの頃からこういった冷静な判断が出来ているようだった。
「やれやれ、そんな離れた所にいないでナズナも一試合どうだ?」
そんなやり取りをしている中、ナズナが少し離れた所にいることにようやく気付いたのかプラタナスはナズナに手招きをした。
「うん……今行く」
ナズナはそう言うと慌ててプラタナスの元へ駆け寄った。
「ほらっ、使えよナズナ……」
少しだけ不機嫌そうな表情をしながら、自分の持っていた木刀を渡したのは交代したくなかった故なのかも知れない。
「ありがとう。兄さん……でも、僕はこっちで大丈夫。今の僕の身長では兄さんが持っているその木刀は扱えないからね」
ナズナはそう言うと何処から出したのか、短剣の形をした木刀を手にしていた。
「ほぉーそれはどうしたんだ? 私が持っている木刀の中にそんな物は無かった気がするのだが……」
プラタナスは少し驚いたような表情を浮かべながら、ナズナにそう訊いた。
「これっ? 実は僕が作ったんだ。兄さんや父さんに勝つ為には二人と同じ武器では絶対に勝てないと思って……僕の身長でも扱えそうな長さの剣を作ってみたんだ」
ナズナは自分な手に持った木刀を見つめながら、驚いた表情をしているプラタナスにそう答えた。
「何と、それを自分で作ったとな? ナズナ私にそれを見せてはくれないか?」
プラタナスはナズナの持つ木刀が自作した物だと言われ、更に驚くとナズナにそう言った。
「うん? 別に良いけど、初めて作った奴だから全然上手く出来てないよ?」
プラタナスにそう言われて、ナズナは少しだけ首を傾げながら手に持った木刀をプラタナスに渡した。
「ふむふむ……こっ、これは……ナズナよ、本当に初めて作った物なのだな?」
プラタナスはナズナから渡された木刀を隅から隅まで眺めるとナズナにそう言った。
「だからそう言ったじゃん……もう、父さん少しは信じてくれても良いじゃん……」
ナズナは全く信じようとしないプラタナスに対して、頬を膨らませていた。




