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人間離れした技

――――――

 庭に着くと、既にウォーミングアップを済ませたシオンが木刀を手にして集中しているようだった。

「さて、どこからでも掛かって来ると良い。まぁ、私は木刀すら持たんがな……」

 そんな様子を見て、プラタナスは満足そうな表情を浮かべた。

「はっ……」

 シオンはプラタナスの言葉が言い終わるか否かのタイミングで、かっと眼を見開き大地を蹴って、プラタナスに斬り掛かった。

「ふっ……」

 そんな十歳の子供にしては尋常では無いスピードで不意を突いたような形で攻撃されたのにも関わらず、ほとんど動かずにシオンの剣を躱した。

「なっ!?」

 シオンも結構な手応えがあったようで、それなのにも関わらず、まさかほとんど動かずに躱されるとは思っていなかったのだろう、かなり驚いた表情をしている。

「ふむ……流石は私の息子といった所か……同年代の子と比べるとはるかに強いだろう。だが、まだ所詮は子供……まだまだだな……」

 顎に手を当てながら考えるような素振りをしていたプラタナスは、まるでシオンを挑発するようにそう言った。

「むー絶対にぎゃふんと言わせてやる……」

 シオンは完全に頭に血が上ってしまったようで、闇雲にプラタナスに剣を振り始めた。

「……せいやっ!」

 しばらくの間はシオンが振るう剣をのらりくらりと躱していたが、プラタナスは急にそんな掛け声と共に立ち止まり、シオンが振るった剣をたったの指二本で受け止めて見せた。

「……えー」

「……えー」

 それにはシオンもナズナも驚きを通り越して呆れるしか出来なかった。

「はっはっは……造作も無い……」

 完全に呆れてしまっているシオンとナズナを見て、プラタナスは満足そうな笑みを浮かべながらそう言った。

「いやいや……父さんほんとに人間? 流石に生身の人間がこんな事出来る何て信じられないんだけど……実は魔族でとか、実は本当の父親では無いとかって言わないよね?」

 シオンは何とか落ち着きを取り戻すと、プラタナスにそう尋ねた。

「む……随分と勘が鋭くなったな……シオンよ……実はな……」

 プラタナスは図星を突かれたような表情を受かべると、深刻そうにそう言って来た。

「はいはい……そんなくだらない事言ってないで、ちゃんと稽古を付けてあげなさい……」

 プラタナスが言葉を続けようとしていたのを割って入って来たのはルピナスだった。ルピナスは手にタオルを持って呆れたような表情をしていた。

「……何じゃ詰まらないなぁ……ルピナスよ。もう少しで騙せる所だったのに……」

 プラタナスはルピナスに視線を向けると、少しいじけたような仕草をした。


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