緊張感の無いやり取り
「ふむふむ……やはり興味深いですね。ナズナさんがもう少しシオンさんのように強ければ貴方の方を欲しがっていたかも知れません……ですのでナズナさんにはシオンさんを呼ぶ為のエサになってもらいます」
フォンセは驚いた表情から徐々に興味深いものでも見るような表情へ変わったが、それも長くは続かず直ぐに普段の作ったような笑みを浮かべた。
「……なるほどな……だが、俺何かの為に兄上が来るとは思えないんだが……」
シオンの性格はフォンセよりもずっと一緒に居たナズナの方がよく分かっているだろうから、ナズナがそう言うのなら間違い無いだろう。
しかし、フォンセはナズナがそう言うと予想していたのだろう。特に驚く様子は無かった。
「……確かに、ナズナさんの言う通りもしシオンさんだけだったら上手くは行かないでしょう。ですが、あそこには貴方の仲間であるお二方がいます」
フォンセは水晶を覗きながらナズナにそう言った。
「……なるほど……そこまで計算していたって訳か……」
フォンセは何手先までも読んでいるようで、というよりはまるでこれから起こる先の未来が見えているような口振りだった。
「さて、まだしばらくはここに辿り着くのには時間が掛かるでしょうし……ゆっくりしていて下さい……あっ、そうです。何か飲み物でも飲みますか?」
まるで、友人を家に招き入れた時のような口振りにナズナは一瞬驚いたが、これがフォンセという男なのだろうと理解したのか一つ溜息を吐いた後、首を縦に振った。
――――――
「ん……はっ! な、ナズナは?」
すっかり夜も更け月明かりが辺りを照らしている中、リリィは意識を取り戻したようだった。
直ぐ近くいたジニアとシオンは辺りを警戒しているようだった。
「目覚めたか……リリィ。すまないナズナはフォンセとかいう奴に連れて行かれてしまった。でも、まだ生きてるからそこは安心してくれ……」
リリィが起き上がった音で、意識を取り戻した事に気が付いたようでジニアはリリィにそう声を掛けた。
「!? 貴方は?」
ジニアの言葉は聞こえていたようだったが、それよりも直ぐ近くに居たシオンの姿にリリィは驚いているようだった。
「……」
シオンはリリィの方を一瞥すると、また警戒態勢に戻ってしまった。
「シオン先輩……もう少し愛想良くしても良いじゃないですか? そんなに魔女が嫌いですか?」
そんな様子のシオンを見てジニアは呆れたようにそう言った。
「別に……」
シオンは一言だけそう言うと、何処かへ向かい歩き始めてしまった。




