プロローグ
魔女=異端者。この世界では百年前まではそう言われていた。
とは言っても、完全に言われなくなったかと言えば、そういう訳でも無いのは仕方が無い事なのかも知れない。何十、何百年とそういう風に言われ続けていた事が、そう簡単に変わるのは無理な話だろう。
望まぬ力を持って生まれて来た私達『魔女』にとって彼は希望の光だった。自らの命も顧みず私達の為に世界を変えようとした事。
その彼らとその仲間達の物語を何百、何千年と語り継いで貰えるように、私……リリィ・アプリコットは記録を残そうと思う。
私が死んでしまった後も、この物語を読んで少しでも争いの無い世界に……その世界の人々の為になるように……切に願う。
//////////
魔女=異端者という考え方は古代まで遡る。魔女、魔法が原因で戦争になった事もあった。魔法は全ての人間が使える訳ではなく、何年かに数人程度の割合で生まれてくる。生まれてくる場所も様々で、一部の人達の間では転生しているのでは無いかと考えられていた。
その中でも何百年かに一人の割合で特に強い魔力を持って生まれてくる子供がいる。その子供の眼は透明でまるで水晶の様だと言われている。その眼を見た者は命を失うと恐れられていた。
様々な言い伝えがあるからこそ、現代でも人々の間では魔女は忌み嫌われている。そんな忌み嫌われている魔女の力を手に入れようとする者がここ数百年で多く現れるようになった。
その国の一つが世界最大の都と呼ばれている、ここ『アーロゲント』である。
これから語るのは私とナズナが出逢う少し前の出来事。




