第3話 冒険者ギルド
街の中心に向かって歩いていくと、ひと際大きい建物があった。
看板をみると冒険者ギルドと書かれており、分厚いドアを開いて冒険者ギルドに入る。
1階にはギルドカウンターと酒場があり、まだお昼だというのに非常に盛り上がっていた。
俺は迷わず、可愛い受付嬢がいるギルドカウンターに並んだ。
周りの冒険者たちをみると筋骨隆々な冒険者が多かった。
俺みたいな一般的な日本人には少し、向いてない職業かもしれないと思ったが、12.3歳ぐらいの男の子も並んでおり、ちょっとホットする俺であった。
俺の番が来て一歩前へと出ると可愛い受付嬢が営業スマイルで丁寧に対応してくれた。
「いらっしゃいませ!本日はどのような用件でしょうか?」
明るい性格の受付嬢に自分が登録しに来たと告げる。
「身分証はありますか?」と聞かれたので、身分証を渡した。
「異世界から来られた方でしたか!ではギルドについて説明しますのでよ~く聞いておいてくださいね」
「まずギルドにはF、E、D、C、B、A、Sとランクがあり、皆さん最初はFランクから始まります。クエストは自分の一つ上のランクのまで受けることができます。もしクエストに失敗したら、罰金がありますので注意してくださいね!そして、ここからが重要な職業、いわゆるジョブのお話です。レベルが10になると神殿でファーストジョブになることができます。そこからレベル30になるとセカンドジョブに転職することができ、レベル50でサードジョブになることができます。一度転職すると変更はできませんので気を付けてください!説明は以上です!」
説明を受けてから俺は一番簡単なスライム退治のクエストを選ぶことにした。
初心者クエスト
スライム退治10体
報酬 5000円
「じゃあ頑張ってくださいね!」
名前も知らない可愛い受付嬢に手を振り俺は初めてのクエストに出るのであった。
――俺は城壁の門まで行き、身分証を見せて街の外に出た。
受付嬢に森に入るのはまだ早いと言われていたので、草原でスライムを探すことにした。
街から出て30分ほど経ち、街が小さく見えるところで俺はスライム4体に出くわした。
びっくりしたが相手はスライム、初戦とは違い少しも油断しないように剣で切り付けていく。
「せやああー」
スライムは俺を囲んで体当たりをしてくるがなんとか躱し、一体目のスライムを倒す。
続けて二匹目を倒そうと振り向いた瞬間に腰にスライムが体当たりしてきた。
「いてえ」
スライムは初心者が相手をする最初の魔物のはずが、ニート生活の長い俺にとっては十分強敵であった。
体を鍛えなおすにはなかなか良い相手だなんて考えながら、一体ずつ切り倒していく。
どうにか4体のスライムを倒し、戦闘が終了した。
「はあーたったのスライム4体でこの調子じゃあこの先厳しいかもなー」
なんてことをつぶやきながら俺は何とかスライム10体を倒し、街に戻ってきた。
これが今の俺のステータスである。
早見タケル
ヒューマン
25歳
レベル 4
体力 200
攻撃力 65
防御 55
スピード 40
魔力 200
運 50
スキル
経験値増大
称号
異世界転移されし者
お金10000円
体力と魔力が200を超えた。
以外に才能があるのかもしれないなとうれしくなる俺であった。
スライムは魔物の中で最弱なので、何もドロップしないが知らないうちに大量発生してしまうので、ギルドも頻繁にクエストを出しているのである。
しかし、初心者用の魔物といえど、12歳ぐらいの子供では倒されてしまうのではないかと心配する俺であった。
ギルドホールに戻り、カウンターにいる俺の担当をしてくれた可愛い受付嬢のところに行き、クエストの報酬をもらいに行った。
この世界では身分証がギルドカードと同じで、ギルドの人に見せるとカードのデータに俺が何体スライムを倒したかがわかる仕組みになっている。
魔法ってすごいなと感心しながら、受付嬢を待つ。
「はい!確かにスライム10体を倒しています!これが報酬の5000円です」
袋に金貨が入っていたので、それを確認した。
すると、金貨が4枚に銀貨が9枚、銅貨が10枚であった。
なるほど、金貨が一つ1000円で銀貨が一つ100円、銅貨が一つ10円になっているのか。
お金を確認して、袋に入れると袋はピカっと光消えてしまった。
俺が驚いた表情を見せると受付嬢がクスっと笑った。
「ステータスを確認してください」
受付嬢のいう通りに、ステータスをオープンした。
早見タケル
ヒューマン
25歳
レベル 2
体力 150
攻撃力 35
防御 25
スピード 35
魔力 120
運 50
スキル
経験値増大
称号
異世界転移されし者
お金15000円
「お金が増えている」
「はい!お金はステータスに魔法で追加されますので、泥棒に盗まれたなんてことはありません」
異世界はなんて便利なんだと思いながら俺は今日寝る宿屋を探すためにギルドを後にした。