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1. 天使の雑談

初投稿です。

よろしく御願いしますm(__)m

「おい新人、遅れてるぞ」

 

 21XX年、近未来的建造物が建ち並ぶ景色を見下ろしながら、二人の天使が空を飛んでいた。

 

 年上らしき天使の一人が、もう一人に渇をいれる。

 

 「あ、すいません!いやぁ~俺地球って初めてなもんで、ついつい見とれちゃって~」

 


 後ろから慌てて新人天使が追いかけてくる。

 

 

 「言い訳はいい。急ぐぞ」

 

 そう言って二人は加速する。その速度はジェット機にも迫る勢いだ。

 

 

 「そういや、今回の任務は定期的な視察なんでしたっけ?」

 

 ただ飛んでいるだけなのが余程退屈なのか、新人天使は先程叱られたことをもう忘れて話しかける。

 

 「あぁそうだ。まぁ定期的と言っても一年に一回程度だがな。ここ最近人間の進化が停滞気味だから、そのくらいの頻度で充分なんだ。楽な仕事さ」

 

 意外なことに先輩天使はそれを叱らない。それどころか饒舌に受け答えをする。

 

 「へぇー停滞気味なんですか、それ原因とかってあるんですか?」

 

 「まぁ、色々言われてるがな。時に新人、人類は何と共に進化してきたかわかるか?」

 

 「うーん?〈探究心〉とかですか?」

 

 少し考えて新人が答える。

 

 「半分は正解だ。しかし答えはもっとはっきりとしたものだ。答えは〈道具〉、人間はこれまで様々な道具を発明してそれを使い発展してきた」

 

 「ああ、なるほど。確かに人間は狩りや火起こし、住居や衣服の作成、様々な状況で道具を使ってますよね。ホモサピエンスとネアンデルタールの運命を分けたのも道具の有無だとかなんとか」

 

 「そうだ。船や本、言語だって広義に基づけば立派な道具だ。さらに少し進んで蒸気機関、果ては計算機や飛行機。これらを発明して、人間はその身だけでは不可能なことも可能にしてきた」

 

 「ということは、停滞の原因は道具が関係していると?」

 

 「察しがいいな。人間が作り出した最新にして最高の発明品。〈人工知能〉をおまえは知ってるか?」

 

 「もちろん知ってますよ。なんでも人間の知能なんかとうに通り越してるとか。それがどうしたんです?」

 

 「あぁ、その人工知能の一つに《シンノウ》ってのがあるんだけどな。そいつが作った《CAN-Navigation system》ってシステムがあるんだよ。略して《カンナビ》なんて呼ばれもしてるんだ。なんでも少年期の子供達のなりたい夢を将来的に必ず叶えられるように演算処理で方法を求めるって代物でよ」

 

 「へぇ、そいつはすごい。元来人間は努力次第で大体のことは出来るように造られたっていうのに、彼らは自分から限界を決めてしまう癖がありますからね。《シンノウ》は不可能なんて無いってことを証明したわけですか」

 

 

 「あぁ、それに《カンナビ》による影響はそれだけに留まらず、副次的効果として文明の発展を促進させた。「なんにでもなれる」っていう将来を餌に人間達に努力をさせる。そうすることで人間一人一人の能力が底上げされるわけだからな、当たり前と言えば当たり前の結果だ」

 

 「すごいじゃないですか《カンナビ》」

 

 感心したように頷く新人だったが、それがなんの答えになっていないことに気がつく。

 

 

 

 「ん?でもそんなすごいものが開発されたなら停滞なんてしないのでは?」

 

 

 「そのとおりだ。あのまま《カンナビ》が使用され続ければ今頃は火星開発くらいは夢じゃなかっただろう。でもな、つい四年前に《カンナビ》の使用が躊躇われるようになったんだよ」

 

 

 「なにがあったんです?」

 

 

 「デモが起きたんだよ。自分のことを《解放の魔女》だとか名乗る少女が現れてな、その少女のカリスマ性がまーすごいのなんの。そいつが扇動して若者を中心に大規模デモが繰り広げられた。目的は〈カンナビによる不当な支配からの解放〉。当時、カンナビの登用は義務化されてたからな。それによって努力のしかたを一方的に決められて青春時代が奪われることも少なくなかった。人間の中でもそれは常々問題視されてて、魔女はそれを煽った」

 

 

 「自由欲しさに進化を放棄したと...。まったく、人間はやはり愚かだ。大人しく飼われていればいいものを」

 

 「ああそうだな。結局のところ、自由を追い求めれるほど人間は強くもないし器量もなかった。自由には自己責任がついて回るからな。弱いくせに道具を捨てたから、停滞を招いたんだ」

 

 

 

 「もったいない話ですねぇ」

 

 

 

 そうして二人は会話を終わらせ、どこか遠くへ向かっていく。姿は地平線の向こうに小さくなっていき、やがて完全に姿を消した。

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