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花に惑いて虫を食い  作者: モトオ
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【コオイムシの屋敷】・6




【コオイムシ】

 カメムシ目コオイムシ科。

 水田や用水路など、浅い水辺に生息する水生昆虫で、近縁種にはタガメなどがいる。

 卵が孵化するまでオスが面倒を見る、昆虫の中でも珍しい生態を持つ。

 



 ◆




 閉じ込められた、とは思ってはいなかった。

 そもそも居場所など何処にもない。この屋敷だけが自分の世界だと、彼女は十分理解していた。

 そうと理解できる程度には、りるは聡明だった。


 けれどその聡明さが何かの役に立つことはない。

 勉学に励まず、農作業には従事せず。それどころか一般的な家事にすら携わってこなかった。


『ああ、可愛い、りる』

『私の、神の娘よ』

『おまえが何かをする必要はないんだ。ずっと、ずーっと。ここにいればいい』

『外は危ないからね。私がずっと、守ってあげよう』


 父は、りるを屋敷の外に出そうとはせず、簡単な雑務さえ許さなかった。

 かといって娯楽が与えられる訳でもない。

 彼女はなにをするでもなく、ただ無為に時間を過ごす。

 そしてそのまま無為に死んでいくのだと、聡明な彼女は知っていた。


 だってそうだろう。

 神の娘と呼ばれながらも、集落においてりるはただの邪魔者でしかない。

 最大の庇護者である父が亡くなれば後は放置されるだけ。

 働けない家事もできない、自分一人では生きていけない神の娘の命運は、父が死んだ時点で尽きる。


『りる。かわいい、かわいい私の子供』

『忌まわしきものの混じらぬ、美しき神の娘よ』

『どうか、そのまま』

『澄み切ったままに在っておくれ』


 だからなのか、それとも他に理由があったのか。

 りるは父に逆らわなかった。

 軟禁を受け入れ、我儘も言わず。

 なにもするなと命じられれば、本当に何もしなかった。

 

 彼女は神の娘。

 かつて信仰されていた、オザシキさんの御子だ。

 ならば与えられた餌を食べて、世話は全て人任せ。


『なにもしないでいい。だから、どこにもいかないでおくれ、わたしの、かわいい、りる』


 そうやって飼育されなければ生きていけない。

 そうでなければ、生きていては、いけない。

 りるは、“なんの役にも立たないもの”。

 そうやって生きて、そうやって死ぬのみを許された。






「よう、りる。お前さん、どんな食べ物が好きだ?」


 そうして過ごす日々の果てにやってきたのが、弥太郎という女衒だった。

 今後は彼の言われるままに娼婦として生きていくことになる。

 りるは、逆らわなかった。

 当然といえば当然だろう。

 擁護してくれた父が死んだからではない。

 そもそも彼女は生まれてこの方、逆らうなどという真似を、一度だってした“ためし”がなかったのだ。

 



 ◆




「よう、りる。お前さん、どんな食べ物が好きだ?」


 村長の家を訪ねた夜、またも富豪の屋敷で夕食を終え、そのあとは茶飲みがてらにちょっとした雑談。

 べたなところで弥太郎は好物の話を振ってみた。


「ちなみに俺は、まず魚が好きだろ。肉が好きで、野菜も果物も好きだな。酒なんていくらでも飲めるし、菓子の類はどんどん食べれる。つまり旨いものはなんでも大好きだっ!」

「弥太。多分それはそんな力強く言うことじゃない」

「そいつは失礼」


 商談では舐められると困るが、雑談をする時は適度におどけてみせる。

 特にりるのような娘なら、多少馬鹿と侮ってくれた方が話は円滑に進む。……と考え実行に移してから、そういや彼女は既にハタチだったと思い出す。

 ただすかさず突っ込んでくれた正義のおかげで今の言葉はさらりと流すことができた。

 それに、相変わらず視線は合わないが、りるも不快そうにはしていないので特に問題もない筈である。


「正義はなんかあるか?」

「俺か? ……俺は、ぜんざい?」

「意外なところが出てきたな」

「いや、戦時中にな。友人が、分けてくれたんだ。ちゃんとあずきを砂糖で煮ていて、すごくうまかった」

「ああ、なるほど。ろくなもん食えてない時に甘いもんは染みるだろうなぁ。友人が用意してくれたってんなら尚更に」


 思い出の味というのはいつだって鮮やかに残るものだ。

 戦時中、疲れて腹が減って、そんな折に友が振る舞ってくれた“ぜんざい”。

 それはきっと舌に体に、何より心に染み渡る優しい甘さだったことだろう。


「で、だ。りるは? なんか、これってもんはあるかい?」


 弥太郎は改めてりるに話を振る。

 案外とこの女性は人買いに対しても柔らかく接してくれる。こういった雑談にも乗ってくれると思ったのだが返答はない。

 喋るのが嫌、という訳でもなさそうだ。どうやら理由は単純に悩んでいるらしい。


「え、と。なんでも、食べます」


 しっかり時間を使って出た答えはあまりぱっとしないものだったが、弥太郎は満足げに、この娘が不安を抱かぬよう大げさに頷いてみせる。


「そりゃあ、いいこった。好き嫌いがない、つまり俺と同じだな」

「はい。おさかな、も。野菜も、虫でも、なんでも、です」

「そうかそうか」


 なんとなく和やかな遣り取りだ。

 しかし正義だけはあからさまに動揺している。二人とも普通の顔だが、今、虫を食べると言ったような。

「む、虫?」と戸惑ったままに呟けば、一拍子置いてから正義の疑問に気付き、弥太郎が苦笑して補足を入れる。


「なんだ、マサ坊。長野は初めてか?」

「あ、ああ」

「長野ではな、昔から虫を食うんだよ。イナゴの佃煮だろ、ハチノコだろ。ザザムシに、あとはカイコの幼虫とか。ハチノコなんか結構高級品で、耳鳴りにも効くってんで食用にも医療用にも重宝されてる」


 説明されてようやく納得し、正義は大きく息を吐いた。

 そういうことなら、りるが虫を食べていても不思議でもない。もちろん、自分で食べたいとは思わないが、地域の風習にとやかく言うほど狭い了見ではないつもりだった。


「悪い、変な勘違いをしてたようだ」


 あれである。

 そこらに這っている虫を生で食べる絵面でも想像していたらしい。


「興味があるなら、明日の朝飯にイナゴ出してもらうか?」

「絶対やめてくださいお願いします」

「俺に敬語って相当だな……」


 最悪の提案を、正義は脊髄反射で否定する。繰り返すが、自分で食べたいとは思わない。

 結構イケるんだがなぁ……などと弥太郎が恐ろしいことを呟いて、りるがこくこく頷いていても、である。


「虫、おいしい、です」

「そうだぜ? 俺、ザザムシで酒飲めるし。な、美味いよなー?」

「……ねー」


 なんだかんだ意外とりるもノッて、女衒と買われた女の二人で“なー”“ねー”と同意し合う。

 そういう時でさえ彼女は相手の胸元辺りを見ていて、視線が重なることはない。

 だから別に目を合わせたくないと思っている訳ではないのだ。

 たぶん、胸元に、もっと気になるものがあるだけで。


「っと、そうだ。りる、一応、明日にはここを発つ予定だ。まあ朝食の後のつもりではいるが、心の準備だけはしといてくれ」

「は、い。分かり、ました」


 たどたどしいながら、りるは素直に受け入れた。

 生まれ故郷との別れ。おそらくは、もう戻ることもない。

 だというのに顔色一つ変えないのは、いい思い出がないから? それとも他の理由なのか。


「恨み言、ぶつけてくれてもいいんだぜ?」

「いえ。私は、感謝、しています」

「そうかい」


 やはり嫌がってはおらず、おそらく今更彼女が逃げることもない。

 けれど種は撒いた……いや、種よりも卵の方が“らしい”か。

 ならばあとは、孵化するのを待つばかり。


「ま、もう少し話したら寝るか。夜更かしはお肌に悪いですから」

「だからお前はどういう立ち位置……いや、女性の肌を気にするのも仕事のうち、か?」

「いや、冗談を真面目にとられても」


 男二人のバカな掛け合い、傍らにちょこんと座る女。

 こうして伊之狭村での最後の夜は過ぎていく。

 和やかで、心地よい。だからきっと、明日は虫の居所も悪くないだろう。




 ◆




「弥太」


 翌日のこと。

 朝も早く、正義に体を揺すられて、ぼんやりながら目を覚ます。

 普段なら寝起きも悪いが、この村では酒を飲まない早めに眠るの健康生活で、割かしすぐに意識がはっきりしてきた。


「くぁ……どうしたよ」


 寝ぼけまなこ、あくびをしながら上体を起こせば、正義はやけに真剣な顔だ。

 目覚めて一番に見た顔が無精ひげの男とはなんともむさ苦しい……とは勿論言わない。人間関係に大切なのは気遣いである。


「起こせと言ったのはお前だろう」

「んあ? あぁ、そうだった。てこたぁ」

「また、りるが出かけた」


 もしも昨日と同じように、りるが朝っぱらからどっかへ行ったなら起こしてほしい。

 あらかじめ頼んでおいて正解だった。やはり今日も、彼女は屋敷を抜け出したようだ。


「ふうん。……なら、俺も出かけるかね」

「追いかけるのか? 悪いが、北側の山へ行ったところまでは見たが、正確な場所となると」

「ああ、知ってるから大丈夫だ。お前さんは寝てていいぜ」

「知っている?」


 昨日の朝は森に行ったところまでしか見ていない。

 そのため正義は居場所までは把握していなかった。なのに弥太郎の方が知っているという。

 そもそも、彼女の裏を調べる為にわざわざ出立も遅らせている。なんというか、普段の蓼虫の動きとは違うように思えた。


「弥太は、随分あの娘を気にかけている、違うか。肩入れ、しているんだな」


 そうだ。

 悪辣を是とする非合法の女衒が、何故かりるに対しては、奇妙なくらい積極的に関わろうとしている。

 正義には、そこがよく分からない。


「なにか、理由があるのか?」


 素直に疑問をぶつければ、返ってきたのは、ひどく穏やかな言葉。


「あの娘が、借金取りに見えたからさ」


 それがあまりに優しく聞こえたから、正義は口を噤んだ。

 微かに肩を竦めて、弥太郎はそれ以上何も言わず部屋から出ていった。

 その背中が、やけに頼りなく感じられたのは、どうしてだろうか。




 ◆




 なんども、ここにきた。

 物言わぬ石の向こう側、広がる集落を眺めるだけ。

 そうやって過ごす時間に、何を思うのかも、分からないままに。

 たぶん彼女は。

 もう失ってしまった答えだけを求めている。





 夏の横たわる集落は、むせ返るほどに濃い緑の匂いで満ち満ちていた。

 ふらり歩いて北側の山々へ。 

 緩やかな傾斜を登り、木々を分け入ってしばらくすれば、その途中、開けた場所へ辿り着く。

 伊之狭村を一望できるそこには、ぽつんと大きな石が。

 別になにか文字が刻まれている訳ではないが、添えられた花と。

 後は、傍らに佇む白い女の表情が、それは墓石なのだと教えてくれた。


「ここ、いい景色だなぁ」


 彼女が、りるがいるのは知っていた。

 鬱蒼と重なり茂る緑葉の切れ目、その先に広がる穏やかな集落の景色。

 件の富豪は功績から共同墓地ではなく、一帯を見下ろせる此処に葬られたらしい。

 長らく自身が支え続けてきた伊之狭村こそが彼への供え物。そう思えば粗末に見える墓石も、さほど悪くはないと感じられる。


「そいつ、オヤジさんの墓か」

「……はい」


 弥太郎は墓前には相応しくない軽さで話しかける。

 りるの表情は変わらない。ただぼんやりと墓石を、その向こうにある集落を眺めるばかり。


「どうして、ここに、いると?」

「今でこそ東京に住んでるが、俺も元は田舎の農村の生まれでな。村を出る時にゃ、お母ちゃんの墓に挨拶したもんさ」


 苦笑というには随分優しげに、弥太郎は口の端を緩ませた。

 理由は懐かしさで、りるの呆けた様子が面白かったとか、あとは親子の微かな繋がりを知れたからでもあった。


「オヤジさんとのお別れは、済んだか?」


 非合法の女衒が随分“いい人”ぶるもんだ。

 自嘲しつつも口調は自然柔らかくなる。


「どう、なの、でしょう」


 たどたどしい言葉に曖昧な表情。

 こちらを向いた彼女とは、やはり視線が合わない。

 初めて会った時と同じ。その意味もなんとなく、分かってしまった。


「……なあ、りる」


 分かってしまったなら、商人としてはそこを明確にしておかないといけない。

 まったく、本当に、この村に来てから幾匹もたかってきやがる。

 内心で悪態をつきながら。弥太郎は自身の胸の中心辺りをトントンと指で叩きながら問う。


「ここに、“虫”が見えてんのかい?」


 多分初めて、りるは驚愕を露わにした。

 これまで視線の先を悟った者はいない。いや、そもそも。彼女と同じ景色を見ようとしてくれた誰かなんて、一人としていなかったのだ。


「花街には時折、不思議な客が訪れる」


 どうして、と。

 ようやく重なった瞳の問いに、弥太郎はくすぐったそうに身じろぎした。


「なんでもかんでも受け入れちまう街だから、偶に変なのも紛れ込むんだ。そのせいかな、自然と、お前さんもそうなんだろなって思った」


 りるは人には見えない“何か”を見ている。

 そうと素直に受け入れることができたのは、彼が花街の住人だから。

 一夜の夢に微睡む街ならば、このくらいの不可思議は、彩を添える花だろう。

 

「気付いたのは、弥太郎さんが、初めてです。父も、理解しては、いませんでした」

「教えなかったのは、オヤジさんの胸元にも虫がいたからか?」

「は、い」


 もっとも、「あなたの胸元には私にしか見えない虫がいます」と言って、信じてもらえたかどうか。

 りるの異能はそのくらいに突飛で、なにより信じてもらえるほど父娘の距離が近いとも思えなかった。

 であれば、“本当のこと”は、きっと彼女しか知らない。


「ならよ、東京へ行く前に、ちょいと聞かせてもらいたいな」

「なに、を?」

「なんでもいいさ。お前さんが話したいこと、聞いてほしいこと。言えなかったこと、なんだって。今日は山越えだ、余計な荷物は置いていった方がいい」


 聡い娘だ、それだけで弥太郎の意を察してくれた。

 心遣いに報いる、律儀さも持っていた。

 そして、幾らかの空白の後。


「わたし、の。父は、コオイムシ、でした」


 りるは、生まれて初めて心の内を曝け出した。 




 ◆




 かつて伊之狭村で起こった事件。

 とある富豪、その婚約者が浮気をして妊娠した。

 ただそれだけ。都会でならば取るに足らないとせせら笑うような話だ。

 しかし狭い社会において、長らく村を支えてきた人物への裏切りは醜聞に留まらず、正しく一つの事件だった。


 富豪は語った、浮気はなかったと。

 婚約者は処女のまま受胎したのだと言ってしまった。

 結果、彼女が罰されることはなかったが、最後まで間男の存在は分からず。

 実のところ妊娠に関する真実は今もって謎のままだ。


 そうして産まれた神聖なる不義の娘、りるは屋敷に軟禁されて育つこととなる。


 なにせ処女受胎の末に産まれた神の娘だ。

 少なくとも、この村では彼女をそう扱うと決めた。

 ならば汚らわしい外界になど晒せる筈がない。


『ああ、可愛い、りる』

『私の、神の娘よ』

『おまえが何かをする必要はないんだ。ずっと、ずーっと。ここにいればいい』

『外は危ないからね。私がずっと、守ってあげよう』


 富豪は、この黒髪黒目・・・・の美しい娘、幼いりるを決して外には出そうとしなかった。

 彼女はオザシキさんの御子として、かの神と同じく屋敷の中に飼われる。

 暴力を振るわれたことはない。

 罵倒も無視もされない。

 餌だってきちんと与えられて、衣装はいつもきれいで。巣の掃除や湯浴みと、清潔にも心を砕いてもらえた。

 戦時中でさえ何不自由ない暮らし。傍目からは軟禁ではなく、ただの箱入り娘と映っただろう。 


『りる。かわいい、かわいい私の子供』

『忌まわしきものの混じらぬ、美しき神の娘よ』

『どうか、そのまま』

『澄み切ったままに在っておくれ』


 代わりに自由はなかった。

 件の富豪は、比喩ではなく、りるになにもさせようとはしない。

 怪我をしてはいけないと、雑務どころか娯楽さえ与えられなかった。

 彼女が貰えるものといえば、せいぜい父の言葉くらい。


 お前は、神の娘だ。

 人とは違う。

 普通の産まれ方をしなかった、特別な存在なのだ。

 

 毎日毎夜、四六時中。

 繰り返し繰り返し、ひたすらに、“神の娘よ”と粘ついた声で父は囁く。

 無為に過ごす時間の中、父から与えられるそれは、殆ど呪詛と変わりがなかった。

 

 なにもできず、しかし神の娘と扱われ続ける歳月は長く続いた。

 父親からだけではない。

 理由がどうあれ、思惑がなんであれ、集落の者は皆等しくりるを神の娘と呼んだ。

 誰もが信じた訳ではなく、しかし誰もがそうと扱った。

 

 繰り返される呪言はまるで虫のようだ。


 あれは神の娘だと。

 人とは、違うのだと。

 肌に触れる言葉が体を這い回り、皮膚を食い破り。

 肉を貪り、骨よりも更に奥、彼女を形作る大切な部分を侵していく。 


『ああ、神の娘よ』

 

 変化は顕著だった。

 祭り上げられる日々の中、婚約者の浮気によって生まれた不義の娘は。

 その筈だった普通の子供は、呪言の虫に食い荒らされて姿を変えていく。

 黒かった髪は白く、肌も透き通る程になり。

 目は碧玉へと

 いつしか成長すら止まった。

 黒髪黒目の普通の少女は、はるか昔に語られた土着の神“オザシキさん”を彷彿させる、真っ白な幼い娘となっていた。


 それを奇異に思うことはない。

 だって、そうと願われた。

 ならば、そうと為るが道理。 

 

 父親は彼女に神の娘であって欲しかった。村民は彼女を神の娘と扱わざるを得なかった。

 誰もが“りる”という存在を認めず、“神の娘”としての価値しか求められない。

 処女受胎の末に、ではなく。 

 りるという少女は人々に神の娘と望まれ、人々の想いに体を造り替えられて。

 

 その結果として。

 いつしか、本当に彼女は化生かみのむすめと為った。


『りる。かわいい、かわいい私の子供』


 そうして産まれた白の御子は気付いてしまう。

 今迄は何も見えていなかった。

 けれど自分を大切に育ててくれた父親の胸元には、黒い“なにか”が見えた。

 それは父が『神の娘よ』と発するたびにカサカサと蠢く。

 りるはその正体を訳もなく理解する。


 大事にしまっておいたお菓子が、いつの間にか腐ってしまうように。

 大事にしまっておいた思い出も、いつの間にか腐ってしまう。

 そうすれば、虫がわく。虫は腐った鮮やかな記憶に集り、宝物の日々を、そこにあった想いを貪る。

 今に至るまで気づかなかっただけ。父の胸中は、本当は腐っていて。

 その腐臭に誘われて、虫はたかる。






 あれは心に巣食う虫。

 父の心は、コオイムシに侵されていたのだ。




 ◆

 



 木々を鳴らして、夏の風が吹いた。

 濃すぎる緑の匂いに弥太郎は顔を顰める。けれど今は有り難いとも思う。“気付け”というには弱いが、浮世離れしたお話から現実に戻ってくるには、それで十分過ぎた。


「父の心、に、巣食っていた、のは。コオイムシ、でした。いえ、あれは。父の心が生み出した虫、なのです」

 

 そこでりるは一度言葉を区切り、小さく息を吐く。

 黒髪黒目の普通の少女として生まれながら、神の娘と崇められたが故に、本当に“そういうもの”となってしまった娘。

 白の女は語る。

 自身を軟禁していた父の心には、彼自身が生み出したコオイムシがいたのだと。

 

「あぁ、と。整理させてくれ。お前さんは人の心の“わだかまり”だとか、“しこり”とか。“悪意”とか“苦悩”、でもいいかな。そういう汚いものを、虫っていう形で視認できる……ってな解釈で間違いないか?」


 弥太郎の雑な要約に、こくりと、小さな頷きで返す。

 にわかに信じがたい話ではある。しかし勉学などしてこなかったであろう彼女が、虫の名を当然と口にした時点で、単なる嘘とも思えない。

 人の心の中にある“汚いもの”を虫の形で見る<力>、というべきか。

 なるほど、これは確かに神の娘だ。

 見えないものを見て、知らぬ筈の知識を語り。

 経緯はどうあれ、彼女はとうに人の枠をはみ出ている。


「んなら、富豪の爺様に虫がみえたってこたぁ、何というか。心のどっかに凝り固まった苦悩みたいなもんがあった訳だ」

「信じて、くださるの、ですか?」

「はは、言ったろ。どんなもんでも受け入れるのが花街だって」


 りるは、少し戸惑っているように見えた。

 たぶん、自身の話が突拍子もないとの自覚があった。

 けれど弥太郎は子供の悪戯を「仕方がない」と許すような、穏やかな苦笑を浮かべている。


「それに、な。コオイムシってのが、しっくりきちまったんだ」


 父と娘。コオイムシ。

 なるほど、そいつは上手くはまっている。

 弥太郎も元は農村の出。コオイムシについて少しくらいは知っていた。

 だから彼女たち親子が“そう”であると、納得してしまった。



 コオイムシ。

 水辺に生息する水生昆虫で、カメムシの仲間に分類される。

 タガメによく似ており、日本全国に分布する決して珍しくはない虫だ。 


 ただこのコオイムシは、昆虫の中でも奇妙な生態を有している。

一般に昆虫はミツバチやアリなどの社会性昆虫を除いて、産んだ後の卵を放置し、その面倒を見る場合はほとんどない。

 ところがコオイムシは、メスが産んだ卵をオスが単独で保育するのである。


 コオイムシは子負虫こおいむし


 産卵期のメスはオスの背中に50~70個程度の卵を産むと、育児放棄をして去ってしまう。

 代わりにオスは卵を背負ったままで生活する。

 子を背負い、育てる虫。だから、子負虫。

 卵は十分な酸素が供給されないと孵化しないため、オスは空気の当たる水面近くで一日の大半を過ごす。

 子供に生活を合わせるコオイムシのオスは、非常に過保護な虫と言えるだろう。


「他人の娘かもしれない。そうと分かっていても、なんとかお前さんを育てようとした。コオイムシってのは、いかにもしっくりくるじゃねえか」


 しかしメスの中には “うまいことをやる”個体もいる。

 コオイムシやタガメは乱婚性で、メスは一日に複数のオスと交尾するのが普通だ。

 交尾経験のないメス以外は常に精液を生殖器に溜め込んでいて、中には他と交尾してできた卵を、まったく関係ないオスに押し付けて育てさせる者もいるという。

 人間でいえば、浮気相手の子供を無理矢理育てさせるのと同義。

 それでもコオイムシのオスは、甲斐甲斐しく卵の面倒を見る。


「父は、必死に、信じようと、しました。私を、神の娘、だと」


 弥太郎の言に何を思ったのか、りるは遠くを眺めていた。

 墓石ではなく、眼下に広がる集落でもなく。

 多分彼女の瞳が映し出すのは、在りし日の父の姿だ。


「けれど、口でどう言いながらも、忘れられないでも、いました。私が、他のオスの卵だと。その“屈辱”が、コオイムシとなって、心に巣食って、しまった」


 つまり富豪の心に憑りついた虫の正体は“屈辱”。

 本当は信じたかった。

 りるが神の娘だと。婚約者は浮気などしていないと。

 そうやって自分を騙して。けれど、どれだけ神の娘だと嘯いても忘れられなかった、『托卵された』という事実。

 今迄必死に村を支えてきた。

 だというのに婚約者から、間男からも舐められて。

 醜聞が全ての村民の知るところとなり。

 多くから崇められてきた男は、だからこそ余計に屈辱を味わう。

 処女受胎などという与太を本当にしてしまおうと考えるくらい、あらゆるものが彼を苛んだ。


 そうして、いつしか心は腐り果て。

 屈辱はコオイムシとなり、彼を食い荒らすようになった。


「ま、神の娘なんて話、まるまま信じ込めるほど単純にはなれねえわな」

「は、い。だから本当は、私を誰にも見られたくなくて。不義の子供が、なにもせぬまま、死んでいけばいいと願っていた」


 子供を背負うコオイムシには、もう一つ奇妙な行動がある。

 それは背中の卵を必死に育てるが、いざ孵化すると産まれたばかりの幼虫をオスは食べてしまう。

 コオイムシには同種食いの特性があり、生き残る為にはまずオスの捕食行動から逃げきらねばならない。

 だから弥太郎はしっくりくると思った。

 必死に育てながらもいつかは子供を食べる同種食いの虫。

 確かに彼女の父親は、コオイムシだと。

 

「なあ、りる。責めるつもりはねえから、正直に答えてほしい」


 そこから湧いた一つの疑念。

 同種食いの虫に育てられながら、今もこうして生きている“神の娘”。

 それは逃げ切れたから?


 或いは──────


「オヤジさんを殺したってのは。その虫を、どうにかしたってことか?」


 弥太郎は浮かんだと突飛な想像をそのまま伝えた。

 父は、私が殺したのだと彼女は語った。

 しかし外傷はなく、死因は単なる老衰だという。

 二つの事実を両方とも真実と扱うのなら、人の理から外れた手段があったとするのは自然の成り行きだった。


「虫は、おいしい、です」


 こくりと頷いたりるは平坦に答えた。

 その意味を、間違えることはなかった。


「最初は、あの虫が悪いのだと、思いました。屈辱は悪意の源。そして、いつか。その屈辱は、コオイムシのように、私を食い殺す」

 

 コオイムシの幼虫は、逃げなければ父親に食い殺される。

 神の娘となり、心に巣食う虫を知覚したりるにとって、それは目に見える真実だった。


「なら取り除ぞこうと。そうすれば、父は普通になるのだと。だから、私は……」

 

 生き残る為にりるは、父の胸元へ手を伸ばした。

 コオイムシを掴んで、その掌に収め。

 するとどうだろう。

 何故か分からない。けれど心に巣食った虫が、あまりにも美味しそうに見えた。


「そうして手にした虫は、近くで見ると、すごく、おいしそうだった」

「だから、食った?」

「抵抗は、ありません、でした。おいし、かったの、本当に」


 そこに何の疑問もなく、りるはガサガサと動くコオイムシを口に放り込む。

 噛み締めればパキリと外骨格が割れて、中からじゅわりと汁が。

 

 ああ、溶けるように、甘い。


 喉を通る異物感さえも心地よい。

 腐った心に湧いた屈辱の、ふわりと薫る悪意の、なんと芳醇なことか。


「食べ終、わった後。父は。とても穏やかに、なりました」

「でも、死んじまった、か?」

「は、い。安らかに……けれど二月も経たないうちに、眠る、ように。亡くなりました」


 そう語ったりるの表情からは何も読み取れない。

 悲しみも、寂しさも。自分が殺してしまったという罪悪感すら。

 一切の情動なく、ただ緑風に揺れるその姿は、まさしく人とは違う存在なのだと示しているようにも感じられた。


「コオイムシは。心に憑りついた屈辱は。それでも父にとっては必要なもの、だった、のだと。後になって、気付きもしました」

「……皮肉なもんだなぁ。屈辱に塗れて、神の娘と信じ込もうとして。そういう歪な情動だけが、オヤジさんを支えていた訳だ」


 だからそれを失えば、彼は一気に年老い衰弱してしまった

 りるにはコオイムシが、抱いた屈辱が悪意の源に見えた。

 

 けれどその実、屈辱に塗れ、周囲を憎み。

 それも全てりるのせいだと、言い訳をしながら耐え忍ぶ。

 長らく続いたその在り方だけが唯一の支えだった。

 

 屋台骨であったコオイムシを取り除かれた後は、もはや生きる意味もなく。

 老いて衰えて、彼はそのまま亡くなった。

 結局、誰も嘘は言っていなかった。

 確かにりるは父親を殺したし、死因は外傷もなく単なる老衰。

 幼虫を食べようとしたコオイムシのオスは、逆に食べられて生涯を終えた。 


「大切な娘だから、外に出さない。なんて、嘘ばかり」


 呟きには寂寥も哀惜も感じられない。

 ただ事実を確認した、そういう事務的な響きがあった。

 なのに、此処にいる。

 涙をこぼすどころか悲痛な顔さえ見せず、それでも彼女は、父の墓を訪ねた。


「オヤジさんのコト、好きだったか?」

 

 その理由を知りたくて、無遠慮に問いを突き付けた。

 そうすれば、考えてもみなかったと、りるはただ呆けてしまっている。


「……父と慕えるような人では、ありませんでした。私を疎むことで、自分を保っていた。そうと知れば、尚更に」


 表情に嫌悪はない。

 淡々と、彼女は事実だけを読み上げる。


「ただ、売られて、娼婦になる。もう、此処に戻ることもない。そう思えば、自然と足は、向いていました」


 続けた言葉にりるは表情を変えず、ほんの僅かだけ吐息を漏らした。

 

「あの人が、私を変えた。だから、ここに来たのかも、しれません」

 

 神の娘。

 どこにもいかないでおくれ。

 私がずっと、守ってあげよう。

 かわいいかわいい、私の子供。


 投げかけられた幾つもの言葉達。

 それにどれだけの意味があったのか。

 結局のところ父の語る全ては屈辱を隠す為の偽りで、奥底ではりるをずっと疎んでいて。

 なのにこの身は、多くの嘘に食い荒らされて、神の娘となってしまった。

 であれば、私は───


「虫篭の日々に何の意味があったのか。私は、なんだったのか。此処に来ては、そればかりを、考えていました」


 物言わぬ石の向こう側、広がる集落を眺めるだけ。

 そうやって過ごす時間に、何を思うのかも、分からないままに。

 たぶん彼女は。

 もう失ってしまった答えだけを求めている。


「だから、弥太郎さんには、感謝をしている、のです。意味も価値もない私に、値段を付けてくれたから」


 単なる虚名から始まり、父の嘘で体を造り替えられた。

 頭のてっぺんから爪先まで、いたるところがニセモノ、嘘っぱちの神の娘だった。

 

 大きなお屋敷の中で嘘の餌を食べて。

 ずっと飼われ管理され続けてきた、虫篭の中のお姫様。


 しかし弥太郎だけが娼婦にと求めてくれた。

 初めてだったのだ。自分に意味を与え、価値を見出してくれる誰かは。

 歪ではあったけれど。

 りるにとっては、蓼虫の女衒こそが、唯一の救いに見えた。


「初めから妙に好意的だった理由はそれか。くすぐったいね、どうにも」


 人買い風情を随分と大仰に祭り上げてくれる。

 そんな立派なものではないと、弥太郎自身よくよく分かっていて。

 それでも、その程度で心が震えてしまうくらいに、りるは誰とも触れ合えなかった。

 

「だがよ、別に意味も価値もなかった、なんてことはないと思うぜ」

 

 なら、少しくらい、報われたっていいだろう。

 弥太郎はりるの隣まで歩みを進め、しゃがみ込んで墓石をじっと見た。 

 そうやって視線は合わさず、声はなるたけ柔らかく。彼女が憂いなく故郷を離れられるよう、ちくとお節介でも焼いてみる。


「オヤジさんは、ちゃんとお前を大切にしていたさ」

「そんな、の。ずっと疎んで、いました。だから、父は、死んだのです」


 コオイムシを駆除した時点で父は生きる力を失った。

 心に巣食う虫を視るりるには、その事実だけが全てだった。


「ああ、そうだな。そこに間違いはない。婚約者に裏切られて、間男に嘗められて、托卵までされて。そりゃあ、平静ではいられなかったろうよ」

「なら」

「それでも、傷付けなかった」


 けど、それだけではないと弥太郎は思う。


「コオイムシは、幼虫を食わなかった。屈辱に塗れて、疎んでいても。終ぞ傷つけることだけはしなかった。なら、その程度には想いもあったさ」


 軟禁した娘を傷つける手段ならいくらでもあった筈だ。

 なのに虐待も無視もせず。外に出して、誰かから罵声を浴びせられるような状況も避け。

 事切れる瞬間まで、彼はちゃんとりるを守ってみせた。

 そこに意味があると考えるのは、部外者の勝手な妄想だろうか。


「でも、父の言葉は全て、嘘だったから。疎んでいても、大切していたなんて。私には、理解、できません」

「男が、死ぬまで生きたんだ。簡単に理解されるほど浅くてたまるかっての。なあ、爺様?」


 墓石に語り掛けたところで返る言葉は何もない。

 だから富豪の爺様の真実がどこに在ったかなど、今更知る由もない。

 けれど嫌いなら嫌い、好きなら好き。そんなにすっぱり割り切れるものでもない。

 腐った心に虫がたかるというなら、覆いつくす虫に隠されて見えないものだってある筈だ。


「疎んでいたのは事実。悔しくて、憎んでさえいたのかもしれない。だけど、確かに愛してもいた……。お前さんが此処にいるのは、つまりそういうこったろう」


 好きでないと語る父の墓前で佇むように。

 偽りだらけの虫篭の日々にも、きっと“本当”はまぎれていた。


「子供を愛さない親なんていないと、俺は思うよ」


 しかし真実は遠くなり過ぎて、それを汲み取ることは最早できず。弥太郎の言葉がどれだけ彼女に届いたのかは分からない。

 また届いたところで意味もない。

 どうせ全て終わった話。過去に手を伸ばしたところで、得られるものなど何もないのだ。


「つーわけで、爺様。テメエのおかげで、俺はこいつを安く買い叩けた。せいぜい墓の下で悔し涙流しながら歯噛みしてろや、間抜け」


 しゃがみ込んでいるのも疲れたと、立ち上がって軽く体をほぐす。

 そうして墓石を見下して、弥太郎は殊更あくどい顔。「ざまあみろ」と物言わぬ骸に唾を吐きかける勢いだ。


「弥太郎、さん?」


 しんみりとした空気はそこで終わり、あまりの態度の豹変にりるも若干戸惑っている。

 そういう無防備な表情がなんとなく面白くて弥太郎は小さく笑った。


「なんかおかしいこと言ったか? 親と、娘と、人買い。俺がオヤジさんに悪態ついて、かわいそうなお前さんは攫われていく。ぶっちゃけ最初っからそういう話だろ」


 ここから先は、どこにでも転がっている、ありきたりの不幸な話。

 大切に育てられたお金持ちのお嬢様が、不幸にもタチの悪い女衒に買われ飼われる。 

 田舎の集落で起こった、普通の家族に訪れた悲劇。今回の件は、ただそれだけのことなのだと弥太郎は言う。


「……はい」


 だというのに、何を勘違いしたのか、りるは柔らかく微笑んでいる。

 まあ、反抗的でないならそれでいい。弥太郎もそれに応じ、二人して山を降っていく。

 折り重なる木々が開けた場所、ぽつんと佇む墓石だけが遺される。 

 りるがいなくなったなら、もう墓参の客が訪れることもなく。これからも独り集落の営みをここから眺め続けるのだろう。

 

「虫篭の集落、か」


 墓石の見る景色を想い、弥太郎は何げなく呟いた。

 初めは、富豪の屋敷を虫篭だと思った。あれはりるを閉じ込める為にあるのだと。

 けれど今は違うように感じられる。

 本当はこの集落自体が虫篭で、多くの村民は毒虫で。

 りるの父親は、大切な娘が悪意に晒されないよう、守りたかった?

 であれば、あの場所は。

 卵を守るコオイムシの背中ならぬ、愛し子を守る【コオイムシの屋敷】だったのかもしれない。 


「あー、やだやだ。痒くなるぜ」


 痒いのは虫のことばかり考えていたからか、それとも自身が抱いた甘すぎる妄想のせいか。

 もぞもぞと体を動かして、弥太郎は無理矢理に頭に浮かんだ“もしも”を追い出す 

 所詮は想像、真実など今更分かる筈もない。結局は、件の富豪が醜聞の果てにりるを軟禁した、その事実が転がっているだけだ。

 それでも、ほんの少し。

 僅かに、爪の先程度ではあるが。

 そうあって欲しいと、彼は小さく願った。




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