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第3話:ハッピー・バースデー

クイズのために途中空欄が多いですが気にしないでください

朝目が覚めて、窓から朝日が差し込む

清清しい朝の日差し・・・

なんてことはない、地下だからな

この光も人工の朝日だ

他にも夕日とかできるらしい


この地下施設は3姉妹の住居として以外に多数の構成員が寝泊りできるように作られたものだった

何でも昔彼女達の親父さんが使っていたものを改装して住居に使用していたらしい

驚くべきところは、今回の侵略計画用に再起動したのではなく、両親が結婚した後から普通に自宅として使用していたという事実だろう


俺は戦闘員としての就職だけでなく住居の心配もなくなってちょっとハッピーな気分だ


「お兄ちゃん、朝だよ〜。朝ご飯の支度もできてるよ〜」

スピーカーから桜の声が聞こえてくる

各部屋の密閉、防音率が無駄に高いせいで扉の前から叫んでもほとんど聞こえない作りになっている

そのため部屋の中へは通信で呼びかけるわけだが

桜はわざわざ部屋の前のコンソールから声を掛けてくる

本人曰く何か重要なことらしい


ここにきてまだ数日のことだというのに桜はよく懐いてくれた

どうやら女ばかりで暮らしていたため、兄か弟が欲しかったようだ

『お兄ちゃん』なんて呼ばれると変な回路が入りそうになるが、どうにか教育上良くない部分に接続されるのは回避している


そして俺は桜に『ちゃん』を付けるのをやめた

本人の希望もあったし、何より一緒に暮らしている家族のようなものだ、他人行儀に呼び合うこともあるまい


「おはよう、桜」

「おはようございます」

元気に挨拶を返してくれる彼女と笑顔で向き合ってから食堂へ向かう

まあ、日課のようなものだ



食堂に着くと、ほぼ食事の用意は完了していた

食べるだけというのは少し気が引けるが、食堂の主があまり手伝いを好まないから不可抗力と自己暗示しておこう


「おはよう菫」

「おはようございます」

すでに席に座って料理の完成を待っている菫と挨拶を交わして席に着く

フォークとスプーンを握り締めてスタンバるのは行儀が良くないですよ菫さん


「おはよ〜」

「おはよう、椿」

料理を運んできた椿を入れて全員揃ったところで朝食の時間だ

「頂きます!」


この基地で出される料理は美味い

レパートリーも和、洋、中と文句なしに揃っているので外食の必要はないだろう

なにせ全ての料理がプロ級の味だ


さてここで問題です

この基地の料理はどうやって作られているのでしょうか?



1.菫が全て作っている


2.椿が全て作っている


3.桜が全て作っている


4.桜=和、菫=洋、椿=中


5.椿作成の料理ロボットが作っている























正解は2番

この基地でまともに料理ができるのも彼女だけだ

まだ小学生の桜でも簡単な料理ならできるが

菫に料理を作らせると何が起きるか予測不能とのこと

桜曰く『私・・・砂糖と塩を本気で間違える人なんていないと思ってたよ・・・』


椿は熱中した事にはとことん拘る性格で

料理も1時期熱心に勉強していたらしく

基本的に何かを作ることに長けていたのだろうが、『ミ○ター味っこ』顔負けの美少女料理人として有名だったらしい

どのマスコミも彼女の住所を調べることができずに幻と呼ばれていたそうな


食事をしながらの他愛の無い会話を楽しみつつも時間は過ぎていく

食事が終わったところで基地から出て行く人間が2名


1人は現役小学生の桜

もう一人は現在大学に通う菫

椿は大学の勉強など幼稚と言って研究室に篭る

こんな生活が続いてるせいで世界征服などいつ始まるのかと思うのだが

美女3人との同居生活をしているだけで仕事なら割りは良いか



さてここで

俺が1週間の基地暮らしで解ったことを整理しておこう


1.菫と椿は双子である


2.桜と他2名は歳が離れている


3.両親はどちらも存命(2人とも宇宙へ出て行っているが)


まあ早い話が家族構成くらしか解らんわけだが


「戦闘員1号、速やかに研究室まできなさい」

呼び出しかな? 俺はどうやら戦闘員1号らしいですよ

どうせなら0号のほうがカッコイイ気がしないかい?



「来たぞ、何をすればいい?」

「とりあえず全裸になってそこに立って」

「またそれかよ!?」

おいおい、今は2人しかいないんだぜ?

こんな状況で脱げってそりゃ、俺に獣になれってことですか?


「別に貴方のアレの観察がしたいわけじゃないわよ。それは別の機会にね」

別の機会があるんですか。それは楽しみですね


彼女の言う通りに服を脱いで、黒い箱のような物の前に立つ

「それじゃあこれから実験を開始するから、痛かったら手を上げてね」


彼女がスイッチを押すと同時に箱が背後から迫ってきた

パカッと空いて中に入るのかと思ったら

そのまま表面にニュルッと埋まっていってしまう

う〜む・・・これは気持ち悪いな


そのままズブスブと埋まっていって・・・っておい!

顔まで埋まって息できないんですけど!

手を上げようにも漆黒のスライムの中で手なんて動かないし

絶対解ってて言ってたろ!


ああ、やばいこれは

どう考えても酸欠で死ぬな

別に長生きはしたいとは思っていなかったがスライムに飲まれて窒息死なんて笑えないな







意識が朦朧としてきたのか、おかしな夢まで見えてきた


そこは宇宙

何もない

でも何かいる

捕まえた

食べた


そこは星

沢山の生き物がいる

全部食べた

星ごと食べた


そこは宇宙

星が沢山ある

でも食べれない

邪魔する奴がいる

戦った、闘った、殺した、殺された

永遠に終わらないかに思えた戦いも

とても楽しかった

終わらないで良いと思えた

食べることしか知らない自分も色々なことを覚えるようになった


他の生き物と会話ができるようになった

知識は戦い以外のことを教えてくれた

でも戦いが終わったことで不満が生まれた

闘いたい、戦いたい、殺したい、壊したい

いつしか2つの心が生まれ

やがて2つに分裂した


1つは人間に近い姿に変わり、人間に溶け込んでいった

残った物は戦った

何かのために戦うのではない

そんな理由は捨ててしまった

戦いが存在理由なのだ

残り物

カス

ゴミ

それでも戦いを続ける

そこには喜びしかないから




「おはよう」

「おはよう」

ベッドに寝かされている俺の顔を上から覗き込んでいる椿がいた

一瞬顔を引き寄せてキスをしてやろうかとも思ったがやめておいた

今はそんな気分じゃない、何かとても満たされた気分だ


夢は長いものだったのか短いものだったのか

とにかく俺に解ったのは、あれが『良い夢』だったということだけだ


「それで、あれは何だったんだ?」

体を起こし、ベッドに腰かけながらスライム攻めの理由を尋ねた

夢のことは聞きたくなかった

聞く必要がない気がした

何故か知っているような気がしたからだ


「さっき貴方が入っていた液体はナノマシンの集合体なのよ。それは実に原始的な生命体なのだけど、帝国のパワードスーツ技術を応用することでコントロールが可能なことに気が付いたの。これはまだ帝国でも未開発の新技術なのよ。」

「なるほど・・・じゃあ特許申請をしておかないとな」

「それはもうしたわ。それよりも、その新技術で完成させたのが貴方に装着してもらった『寄生型強化装甲服デビルG』なのよ!」

「色々突っ込みたいところだがまず初めに、『G』は何の略だ?」

「好きに解釈すればいいわよ、どうせ意味なんてないし」

「ああ、そうかい・・・それで本題だが、寄生型って何だ? 今俺の体に寄生しているってことか?」

「今は休眠状態だから貴方の体の一部として機能しているはずよ、これは機械よりも生物に近い兵器だから。」

「人に断りもなしに変な生物を俺の体に住まわせるな」

「大丈夫よ、私天才だから」

理由にも根拠にもなってないが言っても聞かないだろうな

「それより実験が成功して良かったわね、実際に生き物に寄生させるのは初めてのことだったから無事に寄生させられて何よりだったわ。」

「鼠を使った実験とかしなかったのか?」

「鼠が使うわけじゃない装置を、鼠で実験するのはナンセンスだわ。鼠で成功して人体で失敗したり、鼠で失敗して人体で成功するケースも考えられるし。何より鼠が可哀想じゃないの」

俺は可哀想じゃないんですか、そうですか

椿が小動物好きだと知るのはまだ少し先の話だった



「それじゃあ正式に戦闘員1号になった貴方にスーツの説明をするわね。そのスーツは普段は貴方の体の細胞に変化して同化状態にあるけど、貴方の戦う意思に反応して本来の姿へと貴方の体を変形させるわ。だからスーツを着るというよりもスーツ自体に変身すると考えたほうが正しいわね。おそらく今の貴方では変身しても大した力は出せないはず、スーツの力は貴方しだいで変化するから。その辺がデビルGの弱点でもあり長所でもあるの。デビルGは貴方と共に成長していくわ。そして一定の経験値が貯まれば進化を行う」

「進化?」

「そう、貴方の体をより戦いに適したものに変化させていくの、『学習』『成長』『進化』の3つがデビルGの3大機能なのよ。」

「つまり俺はどんどん人間じゃなくなっていくってわけか」

「嫌なの?」

「いや、嬉しいくらいだ。しかし・・・デビルGの『G』は『ガ○ダム』の略じゃないんだろうな」

「言ったでしょ、好きに解釈なさいって」



ショッカーに改造された仮面○イダーはどんな気分だったのだろうか

気が付いたら改造されていたのは同じかもしれんが、俺はむしろ嬉しいくらいだ

もしかしたら俺は人間をやめたかったのかもしれないな


そうだ、今日を俺の新しい誕生日にしよう

ハッピーバースデー、俺



『G』が何の略かはみなさんで考えてみてください

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