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第29話:GvsG

対面する俺とGシステム


俺達が戦う理由は何だろうか

侵入者を排除するため?

いや、この戦いに理由など必要ないのだろう


出会った瞬間から戦わねばならぬ相手だと悟る

俺の中の遺伝子が戦えと言っている


俺は何だか可笑しくなってきて

口元に笑みを浮かべながら歩き始める


Gもまた、俺と同じように歩き始める



俺は修行により会得した魔法『リミット・ブレイク』を発動


これは俺の中に融合した限界突破魔法『アクセラレーション』を俺用に変化させたものだ


G細胞が休眠状態でも常人異常の身体能力を持つ俺の体に、魔力による強化を行う

他の強化魔法と違い、体への負荷を度外視した危険な魔法に仕上がったが

その能力強化量は他に類を見ない高さだ



全身の魔法回路に魔力が流れ、循環し

全身に力が漲る



奴との距離が詰まり

お互いに引き絞った拳が

お互いの顔面を直撃した





「がはぁっ!!!!!!!!!!!!」


俺達はお互いに後方へ吹き飛び

それぞれ床に叩き付けられる


「いいパンチじゃねぇかよ・・・いいぜ、お前」


気分は高揚し

立ち上がった俺はさらにGに向かい走る



走りながらも次なる強化

リミット・ブレイクの2段階目を発動


「セカンド・ブレイク!!!!!」


体への負担は格段に増えるが、そんなものは慣れだ

2重掛けによる大幅なパワーアップにより強化された足で全力疾走し

再び奴に拳を突き立てる


Gもまた拳を突き出し

お互いの拳と拳が激突した




次の瞬間

Gの拳は砕け

俺の拳は奴の顔面を直撃した


大きく殴り飛ばされたG

だがすぐに立ち上がってくる


粉々になった右腕は

そこから別の何かを再生させる


それは筒状の物体

Gはそれを俺に向けてくる



俺はゾクッとする感覚と共に大きく左に飛んだ

俺が立っていた場所には無数の穴が空き

奴が俺に向けてきた筒が、ガトリング砲だと理解した



ガトリングによる攻撃で

距離を詰めることができなくなった俺は

Gの攻撃を回避しながら腕に嵌めたリングを操作する


これは特定の場所に収容された物体を転送するマジックアイテム『シュレーディンガーの腕輪』

サーシャから貰ったこの腕輪は

Gとしての力を使えない今の俺には欠かせない物となっていた


「召喚! 『サンダーボルト』」


レールガン『サンダーボルト』の姿が薄っすらと現れ

やがて確定した物質として目の前に現れる


俺はサンダーボルトを掴むと

振り向きながら連射した


連射した全てが当たりはしなかったものの、うち数発は命中した


そして命中した弾は内部に納められた魔力を開放する

魔法を込めた弾丸『魔弾』


発生した魔法がGを焼き尽くさんと爆発した




爆発が収まり

煙の中からGの姿が現れる


「やっぱこの程度じゃ死なんよな」


サンダーボルトを転送し

新たな武器を呼び寄せる


その間にもGは右腕のガトリング砲で俺を狙ってくるが


「サード・ブレイク!!!!!!!」


発動させた3段階目の強化により

ガトリングの射軸から外れる


Gは振り向きながら俺の動きに追いつこうとするが

すでに懐に潜り込んだ後

この距離ならやれる!


「召喚! 『剛翼』」


俺の腕の中に顕現したのは巨大な刃物

それは無骨な鋼の塊であり

漆黒の刃を持つ巨大な鉈のようでもあった


俺が異世界を回った際に

ある人物より譲られた『魔剣・剛翼』


俺の中の魔力が流れ込み

剛翼はその黒い刃を赤く輝かせる



Gの足元へ滑り込むように接近し

下から上へとGの体をなぎ払うように切り付ける


「浅いか!?」


直撃かと思われた瞬間

Gは後方へ下がり、剛翼を回避していた


そしてガトリングだった腕をさらに変化させ

一振りの刃を作り出し、反撃の斬撃を放ってくる



俺はGの刃を受け

そして切り返し

また受けて、反撃し


一瞬とも永遠とも思える戦い

それは後どれだけ続くのか・・・



第3段階まで開放した俺の体は長くは耐えられないだろう


だがその前に


常識を超えた剣撃の打ち合いに耐えかね

剛翼とGのブレードが同時に砕け散った



俺達はお互いに距離を取り

Gは右腕のブレード修復と同時に左腕をブレードに変化させ、二刀流の構えを見せる




「はは・・・はっはっはっはっはっ!!!!! ああ、忘れてたな、こんな感覚」


初めての戦いで幼稚園バスジャックなんてやってた頃

あの頃は難しいことなんて考えずに、ただ我武者羅に戦っていた


「自分で自分に枷なんて作る必要なんてない、そうだよな!?」


切り札であったサード・ブレイクと剛翼ですら倒せない相手でも負ける気はまったくしない

何故なら俺の強さに限界なんてないから


どれだけ相手が強くとも

それを上回る存在へと『進化』する

それが俺だ! それこそが『G』だ!!!


「フォース・ブレイク」


4重起動した強化魔法の副作用による負荷が、遂に俺の体を崩壊させる

全身から『黒い』血液が噴出し、その血液は別の生命体かと思えるような動きで俺の体を覆い尽くす


骨格から内臓器官まで全てがボロボロに壊れ

そして新たな体に作り変えられる




初めてGを移植した時か

それ以上の急激な変化


そう


俺は3度目の誕生を迎えた

それは以前よりも細身で小柄だが

満ち溢れる力はどの形態よりも強く

漆黒の体の表面には、魔力の流れが光となって輝く


「デビルを超える新たな存在・・・サタン、『Satan・G』」



今ここに

新旧のGが揃った

時代を超えた二つのGが今激突しようとしていた






Gが迫る


俺は握り締めたままの剛翼を構える

失ったはずの刃は、黒い血液により再構成され、新たな形へと進化する


「魔剣新生『黒翼』」


剣を一振りすると

覆っていた液体が消え、その姿が現れる


剛翼と同じ黒い刃だが

以前のような無骨な刃ではなく

美しい刃を持つ黒刃の刀




Gがブレードを振り下ろすのに合わせ

黒翼を横一閃に切り結ぶ


あれだけ剛翼と打ち合っていたGの刃は

一太刀により切り飛ばされる


両腕を切り飛ばされたGは大きく後方へ跳び

両手をガトリング砲に変え、掃射


俺は無数の弾丸の直撃を受けたが

まるで雨の中を歩くように前へと進み始める




以前は重力場を盾として使っていたが

今の俺は自身の表面に重力場のフィールドを形成させていた


重力場による反作用が全身を膜のように覆い、敵の攻撃を受け流す

新たな防御機構『Gアーマー』




相手の守備力から飛び道具は無意味と判断したのか

Gは両腕を元の状態に戻すと、右腕を巨大化させた


Gの右腕は光を放ち

その身は弓のように撓る




俺は黒翼を下段に構え

全力で振りぬく構えを固める


そして・・・




全身のブースターが火を噴き

全てを砕くGという名の砲弾が俺に向かってきた


「フィフス・ブレイク『フィニッシュモード』発動」


黒い装甲に亀裂が走り

赤いラインが体中に刺青のように表れる


黒翼は魔力を開放し

紅の刃へと姿を変えた




渾身の斬撃がGの拳と激突し

しばし両者の間で拮抗が生まれる


だが


勝負の決着の時はくる




黒翼はGの拳ごと体を切り裂き

両断されたGは灰となり宙に舞う



俺の体から紅の紋様が消え

黒翼は漆黒の刃へと戻る


戦いを終え、刀を納めた俺に

灰となったGが流れ込んでくる


それは仲間と共に死ねなかった

生き残ってしまった戦闘員の悲しみと苦痛


そして託された仲間達の想い





強大な破壊神と戦うため

Gは物量戦を行うしかなかった


そのために全員を情報ネットワークで結び

誰かが死んでも、他の全員に戦闘データが転送され

敵を倒す方法を導き出す


多くの犠牲の元に対破壊神用戦術が構成されたが

破壊神は進化を続け、頻繁にその姿を変えた


無限に続くかと思えた戦いも

Gシステムの勝利に終わった


その戦いの中で

唯一生き残り

全員の戦闘データをその身に宿したまま眠りについた最後のG


彼は探していたのかもしれない

自分達の戦いの歴史を受け継げる

新たな存在を





託された想いを胸に

俺は仲間達の元へと戻るのだった

G復活

そして新たな展開へ

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