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第28話:過去との遭遇

アカデミーでの戦いから数週間


戦いの傷は癒えたものの

俺の中のG細胞が活性化することはなく


解決策を探すため

椿、スフィンが合流し

Gプロジェクトメンバーが再びアカデミーへ終結したのだった




「やっぱり異常は見当たらないわね」


「異常がないなら変身できない理由は何なんだ?」


「さあ? 少なくとも貴方の体内に存在している機械パーツに異常はないわ。G細胞制御装置も正常に機能してる。問題があるとしたら残りの2人に任せるしかないわよ。まったく・・・こんな遠くまで呼びつけておいて」




「それじゃ、次は私だな」


サーシャは俺の額に手を当て、何やら呪文を唱え始めた


「・・・少し難しい状態かもしれないな」


「どういうことだ?」


「私達4人が掛けた魔法がGの中で別の魔法に変化し、常駐状態にあるらしい。これもある意味『融合』と『進化』と言えるな」


「常駐状態を解除できないのか?」


「できたとしても問題は解決しないだろう。君がこの魔法を制御できるようにならねば同じ状態になる可能性が高い」


「魔法なんて素人だぞ、俺は。だいたい何で魔法用の機能が備わっているんだ?」


「魔法すらGにとっては融合の対象だからだ。魔法を発生させるプロセスを融合させれば、それに合わせた進化が可能だと考えた」


「炎の魔法と融合したら炎が吐けるようになったりか?」


「そんなところだ」




「蛹の時・・・」


突然黙っていたスフィンが呟く


「何?」


「貴方の精神と肉体が進化に追いつけない。幼虫が蛹を経て蝶になるように、今は体が新しい力を制御できるように進化するのを待つしかない」


「一旦他の作業を放棄して、進化に集中してるってことか・・・」


「それは貴方が望んでいるから」


「俺が?」


「貴方はもう次の戦いのことを考えてる。それに間に合わせるために全ての力を進化に費やしている。恐らく無意識の内に」





議論の結果出た答えは

『時間が解決してくれる』

ってことで纏まってしまった


Jはまだ全部じゃないだろうし

他の敵のことを考えたら早く進化を終わらせてくれないと

いつ力が必要になるかわからない




焦る俺に対してサーシャは

俺にアカデミーでの修練を提案してきた


Gを使わずに修練することで

Gを再び使えるようになった時に役立つという話だ


幸いにもアカデミーには訓練機関が多数存在し

俺の修行は思いの他捗る結果になった



研究中のマシンを完成させると言って帝都へ向かった椿

迎えにきたマイクに連れ戻されるスフィン

前線へ向かったサーシャ


それぞれとの別れ

そしてアカデミーで出会った新しい仲間達


厳しくも楽しい時間が緩やかに過ぎていくのだった

嵐の前の静けさのように・・・










アカデミーで修行を開始してから1年近くが経ち

予想外なことにJが再び攻めてくることはなかった


反帝国連合もルビゥム戦線から撤退し

3大戦線から敵が撤退したことで

一時的な平和を取り戻しつつあった




修行期間中は様々な事件が起った


マリィの魔法実験失敗で異世界の『魔王』が出てきたり


ユリィの魔法実験失敗で異世界に『転送』されてしまったり


桜の魔力暴走で宇宙が消滅しかけたり



そんなこんながあって・・・

ある日俺は学園長からの呼び出しを受けたのだった





「よく来てくれましたねハジメ君」


この眼鏡の老紳士がアカデミーの現学園長


といっても

アカデミー内には幼稚園から大学、専門学校まで全て含まれているので

この人はそれら全てを取り仕切る人ということだ


色々と俺の修行にも協力してくれていた


「頼みたいことがあるとか」


「ふむ、まぁ座りたまえ」


俺は学園長の前の椅子に腰掛けた


「君はアカデミー中央塔の地下に何があるかを知っているかね?」


「いや、『白き人』に関連する物としか」


学園長は髭を触りながら考えるように唸る


「・・・ふむ。かつて人類が破壊神の脅威に晒されていた時代、『白き人』は人類に破壊神を倒せる力を授けたとされている。アカデミーの地下に埋蔵されているのは、その『力』或いは『兵器』」


「Jはそれを奪うつもりだったと?」


「それは解りません、しかし・・・あれは存在しているべきではないのでしょう。少なくともこのアカデミーには不要の物です」


「確かにJや他の連中に目を付けられたら厄介か・・・」


「そこでハジメ君、君にその兵器を破壊して欲しいと思うのだが・・・どうだろうか?」


「『破壊』ですか・・・何故俺に?」


「あれを破壊できるとしたら君の中に眠る力しかないと思ってね」


「俺の中のGは眠ったままです」


「それは今の君が力を必要としていないからさ。君はこの1年で強くなった、とてもね。それがGの覚醒を遅らせているのだと私は推測している」


「兵器を破壊するのにGの力が必要ならば覚醒する可能性があると?」


「試してみる価値はあるだろう?」


「・・・解りました、やってみましょう」








戻ってきた

あの戦いの場所へ


その場所は1年前から閉鎖され

1度も立ち入ることはなかった


今日俺はこの場所をさらに下へ降りることになる


桜達には言わずに1人で来たのは

それがG覚醒のためのプロセスだと思ったからだ




階段をひたすら下りる

もうかなり地下深くまで降りたと思うのだが


いい加減階段を下るのも飽きてきたところで

ようやく最下層に到着した


そこには分厚い扉と注意書き

文字は古くて読めないが

どうせ空けるなと書かれているのだろう


扉を開け中へ入る


そこに存在していた物は

俺の予想とは違った形をしていた






俺が予想していたのは巨大人型兵器とか

巨大な大砲、或いはミサイルとか


そんな予想を覆す小さなカプセルが1個


よく考えたら爆薬とか持ってくるんだったな

ほとんど手ぶらで来てどうすんだ俺


とりあえず近づいてみる・・・


適当に触ってみる・・・


ノックしてみる・・・


蹴ってみる・・・


反応ないよ



「さ〜て、どうしたもんか」


俺が使える程度の魔法じゃ破壊できんだろうし

Gに変身できれば破壊は簡単そうなんだがな


あれから1年

いい加減変身できてもいい頃合なんだが

どうにも思うように変身できない


以前とは違うのか・・・


それでも何とか変身できないもんか

気合を入れたり

大声で叫んでみたり

結局無駄な時間を使っただけだった



「何やってんだかな、俺は・・・」


一度帰ろうとした、その時

ふと奥の壁に見覚えのある紋章を見つけた

それは『白き人』を神と崇めるスフィン教の神を表す紋章


俺は奥の壁を調べ

そこに隠し部屋を発見するのだった




部屋に入ると

周囲が突如として宇宙空間に変わる


っと言っても

突然宇宙に放り出されたわけではなく

部屋全体がモニターになったようなものだ


その部屋で流された映像は

かつてGを移植する際に見た物とほとんど同じであった


大きく違っていた部分は

俺が見ていない先の部分に関してだ





人と破壊神との戦いが続く中

破壊神の中に光が生まれ

それは『白き人』となり人間と交わった


その後も破壊神対人間の戦いは続き

疲弊した人間を助けるため『白き人』は優秀な戦士を作り上げた


それは破壊神の破片を培養し

魔法と科学の力で制御することで作り出された


彼らは破壊神と戦うために作られ

星の数ほど量産された


対破壊神用戦闘員製造システム『Gシステム』


この施設にはGシステムを作り出すための知識が残されていた

これが世に出れば全銀河を統一するのも容易いだろう


「・・・椿達はこの情報を知らないはずだが」


俺の体の中に存在しているGは『Gシステム』と酷似している

完全な戦闘用生命体か人間に寄生させるかの差くらいだろう


何故椿達はGを生み出せたのか?


そこで俺は思い出した

椿の祖先はDNAの中に『白き人』の膨大な知識を持っている

そして椿の中に存在していた知識が・・・




「破壊神なんて物騒な存在はもういないんだ。これは確かに破壊すべき遺産だろうな」


この場所を破壊すべく

地上へ戻ろうと先ほどの部屋へ戻った俺の前に現れたのは


開放されたカプセルと

黒い人型のフォルムだった




そこに立っていたのは

遥か過去より蘇りし戦闘員


俺の先輩ってわけだ


そうだろ?『G』

次回予告


対決する二体の『G』!!!

そしてルビゥム編もいよいよ完結へ!

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