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第25話:罠

「まだ見つからんのか!?」


ドラルドは焦っていた

俺が突入した後、GWは離脱したが

俺は艦内で大暴れをしていた


そして現在

ドラルドとその部下は、俺の居場所を見失っていた


「艦内を全てスキャンしましたが異物は発見できません。すでに脱出したのでは?」


「そんなはずはない! もっとよく探せ!」


俺は焦るドラルドと、その部下達を眺めていた

といってもブリッジにいるわけじゃない

ブリッジ内の監視カメラを使い監視していた


さて、ドラルドはどんな行動にでるのか



「主砲はどうなっている!?」


「現在修復率95%。あと10分もすれば発射体勢が整います」


「よし、準備ができしだい発射しろ!」



主砲発射に必要なブロックは破壊したと思ったが

諦めてなかったか・・・しかたない



「撃たせるわけにはいかんな」


「何!? 何処からだ!?」


突如スピーカーから流れる俺の声に驚くドラルド


「音声の発信元は・・・艦のメインコンピューターからです!」


「何だと!?」


「俺がただ身を隠していたとでも思ったか? 既にメインコンピューターとの融合は完了した。この艦は俺の体と同じということだ」


艦内の隔壁を全て下ろし

ジェネレーターの出力を下げて主砲発射を中断させる


「おのれ・・・メインコンピューター室へ兵を回せ!」


「隔壁が全て降りています、解除も不可能です!」


「ならば隔壁を破壊して進め!」


「そんな時間はお前らにはねぇよ」



ブリッジ内の空気が抜けてゆく

俺にとっては必要のない機能だが

奴らにとっては一大事だろう

生命維持装置の停止は



「ま、まて! 降伏する」


「お前に降伏されても処刑以外やることがないし、ここで死んでも同じだろ。何か言い残すことはあるか? 言うだけ言っておいてもいいぞ。覚えはしないがな」


「ふ、ふざけるな〜!!!!!!!!!!」



銃を取り出しスピーカーとカメラへ向けて乱射するドラルド

ブリッジの状況は解らなくなったが問題ない

これ以上見ていても楽しいイベントにはなりそうにないしな



艦内の生体反応が消滅するのを確認した後

惑星フィシスへ帰還するのだった







「ただいま」


「おかえりなさい」


艦から降りた俺をスフィンが迎えてくれた

抱きついてきてくれたりはしないようだ

そのままキッスとかをちょっと期待してたのに


「いやぁ、本当に助かりましたよ」


「おう、いたのか」


スフィンの後からマイクが現れた

マイクから感謝感激雨霰を受けたが

男にこんなに懐かれても正直嬉しくない



「地上の状況はどうなった?」


「ドラルドに従う者は1人もいませんよ。自分の星を撃とうとするような奴ですから」


「艦内での奴の暴言の数々は役に立ったってことかな?」


「ええ」



俺が破壊活動をせずに潜伏したのは2つの意味があった



1つは艦そのものの価値が高かったこと

反帝国連合との戦いには、あの大型戦艦は必要な物だった


2つ目に

利権を餌にドラルドに従っていた馬鹿共の目を覚まさせてやるための演出

フィシス国民の大半は善良な信者だが

中にはそうでもない奴らがいる


そんな奴らでも自分達ごと星を撃とうとするような奴に味方する気は起きなかったようだ




「G・・・貴方にお礼をしないといけない」


「礼が必要なほど大掛かりな事じゃなかったけどな。だが礼を貰えるなら体で払ってもらおうか?」


そう言って彼女の顔に手を当てて撫で摩る

スフィンは俺の手を掴み


「私で良ければ好きなだけどうぞ。でも、それ以外に褒賞がある」


「ん!?」


「ドラルドが収めていた領地全てを貴方に」


「何だって!?」


突然何言い出すんだよ、おい!


「それはいい!!! ドラルドは国内最大の領地を持つ貴族でした。奴の領地を貴方が納めてくれれば褒賞として申し分ないですし、逆賊を討った英雄が納めるとあれば国民も納得するでしょう」


「お前も賛成なのかよ!?」


「貴方がいなければ私達は生きていませんしね。私は貴族になりたいと思いませんから」


「俺だって思ってないって・・・」


「貰ってくれないですか?」


そんな悲しい表情しないでください

普段から表情が読みにくいが

これは解りやすい表情だ


「気持ちはありがたいが、俺はいずれ地球に戻る。そんな広い領地を貰っても領地経営なんてできないぞ」


「・・・」


だからやめてって

その泣きそうな顔は


「う〜ん・・・」


「では、こんなのは如何でしょう? Gさんには旧ドラルド領地内の資源惑星を治めていただく、というのは」


「資源惑星?」


「はい。資源発掘を行うための最低限の人員しか住んでいませんし、採掘された資源から利益を得ることができます。ずっと住んでいなくても定期的に管理さえしていれば問題ないでしょう」


「・・・まあ、それなら」


「いいの?」


これ以上スフィンに悲しい顔をさせるのも何か心が痛いし

結局マイクが出した案で決着を付けることとなった




しかし

これこそが罠であったと気が付くのは

だいぶ後になってからであった





「Gよ。そなたに『公爵』の称号を与える」


今日は俺の任命式だ

資源惑星でも拝領すれば貴族として扱われるらしい

それを知ったのは任命式の前日のことだった


すでに惑星は拝領してしまったし

今更断るわけにもいかん


シフォン王家専属でないことを条件に『ゲイザー』の姓を与えられたのだった



本来なら人の住まない資源惑星等を治める領地は下級の貴族がなるものだが

今回の事件で没落した『ヒューザー』家の位を受け継ぎ

いきなり『公爵』の位置になるらしい


これからは『G=ゲイザー公爵』と呼ばれるわけだ

ってか俺『木戸一』って名前があるんだけど

そっちは無視されまくりだからなぁ




何はともあれ

レノン帝国フィシス王家に仕える公爵となってしまった俺は

それから数ヶ月の間

国内に進入してきていた反帝国連合軍との戦いに

『総司令官』なる肩書きと共に赴くことになるのだった



今にして思えば

あの時に報酬云々は

戦闘を得意としないフィシスの将来を考え

優秀な将軍を欲していたスフィン、マイク両名による周到な罠だったのではないかと思う

次回から新章突入

フィシス貴族編は暇があれば書こうと思います

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