第24話:神の声
大乱闘を想像してTV局へ突入した俺を待っていたのは意外な光景だった
そこには戦闘の跡はなく
TV局を警備していたドラルドの部下達もスフィンの話を聞いていたのだ
「気合入れて制圧しに来たにしては楽勝だったみたいだな」
「貴方がGですね? 私はレジスタンスのリーダー『マイク』です。よろしく」
「よろしくな」
レジスタンスのリーダーと名乗るその男は
一見ヒョロっとしていて頼りなさそうだが
切れ者を思わせる目と眼鏡が知的な印象を与える
主にメガネがポイント
メガネしてる人間って知的に見えるよね?
ってか頭悪かったら何でリーダーやってるのかわからんくらい頼りない
とりあえず握手をしておきながら
この場所であった事を聞いた
「我々が突入することをドラルドは知っていたのですよ」
研究所にJがいたのも関係あるのか?
「入った瞬間囲まれましてね、いやぁ〜もうダメだと思いましたよ。しかしその時、女王陛下がスッと前に出まして、言ったのですよ『逆賊ドラルドを討て』と」
「・・・それで?」
「もちろん、その場にいた全員がドラルドの息の根を止めようとしましたよ。元々部下にも人気なかったですからね〜」
「なら今まで何故反乱が起きなかったんだ?」
「今回皆が動けたのは女王陛下の勅命があったからです。今までの女王陛下はドラルドの意のままに動く人形でしたからね」
「もう皆知ってるのか?」
「女王陛下がクローンであることならレジスタンスは全員知っています。他の人間も薄々は気が付いていたのですよ。それでも信仰を守ってきた。それをヒューザー家に利用されていたのですね」
「TV局制圧なんて必要なかったな。スフィンの一声で解決できたじゃないか」
「我々は彼女自身に立ち上がって欲しかった。それを実現させてくれた貴方には感謝しています」
「俺は大したことはしていないさ。俺の仕事も無くなったようだしな」
「まだある」
「お、スフィン。もう演説はいいのか?」
「後で正式な発表をする。それよりドラルド」
「奴がどうした? 殺ったんじゃないのか?」
「いやぁ・・・面目ない。ドラルドが金で雇っていた庸兵達の手助けで逃げられてしまいまして。もうシフォン王国にはドラルドに従う者はいないはずですが」
「庸兵共は契約さえ守られていれば国の情勢などお構いなしだろうな」
「行き先は解ってる。すぐに向かって」
「任せろ!」
俺がドラルドの逃げる場所について説明を受けていた時
マイクの部下が彼に情報を持ちこんだ
「何だって!?」
「どうした?」
「大変です! ドラルドが密かに建造していた宇宙戦艦でシフォン星から脱出したとの報告が入りました」
「俺が今向かおうとしていた宇宙港とは別か!?」
先回りするつもりだったが、向こうが一枚上手だったか
「逃げてるの? それとも、ここへ?」
「どうやら・・・この場所を砲撃するつもりのようです」
「王都ごと消えてなくなる」
「警備の船を回せないのか?」
「どういう訳か、突然宇宙海賊達が集まってきていまして、彼らは海賊の相手で手一杯なのです」
「元々前線に船を送っているから首都防衛戦力は少ない」
「しかたねぇな。俺と奴との一騎討ちといくか」
「単機で戦艦と戦うつもりですか!? 無茶ですよ! 相手は未完成とはいえ、最新鋭の大型戦艦なんですよ!?」
「平気」
「え!?」
「Gならやれるから」
「でも・・・」
「私は彼が守ってくれると信じてる。だから・・・大丈夫」
「・・・そうですね。女王陛下が大丈夫と仰るのですから。頼みます『G』。貴方に我々とこの都市の住民全員の命が掛かっているのです」
「任せとけ。俺は期待を裏切らない男だ」
敵戦艦主砲発射まで時間がない
GWに飛び乗った俺は、高度を上げて大気圏を突破する
宇宙へ出た俺を迎えたのは巨大な壁だった
正確には壁のように大きな戦艦
ドラルドが切り札としていた超巨大戦艦
いったい何処にこんな大きな船を隠していたのか
月の中とかか?
その中心に空いた大きな穴が主砲
こんなサイズの砲撃を当てたら星ごと砕けそうなんだが
もはや正常な判断を失っているのだろうか
「さ〜て、デカブツを落とすには頭を狙うのが一番だよな。行くぜ相棒!」
敵艦に向かい急加速
それに応えるように敵艦から砲撃が始まる
GWを迎撃するべく無数の光が俺達に迫る
俺はGWを高速スピンさせ
敵艦から迫るビームを弾く
重力フィールドと回転の力で弾幕を掘り進む
普通の機体やパイロットでは不可能
俺とGWだからこそできる
これが最強の突撃技
『Gドリル』!!!
1本のドリルと化したGWは
敵艦の腹に大きな穴を開けつつ
内部へ突入するのだった
そろそろシフォン編も完結です