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第21話:新たな戦いへ

桜の両親がいるはずの宮殿で爆発が起き

直ぐにでも駆けつけたかったが

GHを失い、自身も大きなダメージを負った状態では

この皇居塔から降りることすら難しかった


「くそっ! どうすりゃいい!?」


桜を抱きながら途方に暮れる俺の背後で

突然大きな音が響く


今まで決して開くことのなかった皇帝の間への扉が開こうとしていた


「心配することはない」


中から現れたのは椿や菫によく似た美しい女性であった


「あの場所には帝国最強の戦士がいる。何があろうと自力で切り抜けるであろう」


「貴方は?」


「レノン帝国皇帝『アシェリー=レノン』」


「皇帝!?」


そういえば皇帝のことを何も知らなかったな

それにしても、こんなに若くて美しい女性だとは思わなかった

確かかなりの高齢だったはずだが・・・


「彼らの心配よりも自身の心配をすべきだな。私が見る限りでも御主の傷は尋常ではあるまい。生きているのが不思議なほどに」


「俺のことは・・・それよりも桜が」


皇帝陛下は俺に近づいてくると

俺が抱きかかえる桜の額に手を当てた


「この程度の怪我ならば問題はあるまい。それよりも・・・」


アシェリー皇帝は目を閉じると、何やら意識を集中し始める

桜の額に当てた手から何かを読み込んでいるようだ


「・・・やはり、ここにあったか・・・」


「桜に何が?」


「・・・ふむ、御主には話しておくとしよう。我々レノン王国の王族は代々『白き人』より授かりし知識と技術をその身に秘めておる。それは突然に覚醒し、持ち主に大いなる力を与えてきた。そして、この娘の体には『白き人』が残した宝が眠っておる」


「宝? そのために桜をここへ?」


「それは御主にも関係した物だ。かつて『白き人』が袂を分けた『破壊神』のために作りし器」


「『破壊神の器』・・・」


「今はまだ危険すぎる力。私の力で知識に封印を施しておくとしよう」


桜をアシェリー陛下に預け

再び外の景色を眺める

先程は断続的に続いていた爆発も収まり

周囲は静けさを取り戻しつつあった


「大丈夫かい、桜!?」


突然下から上がってきた飛行機械に驚き、仰け反る俺

上がってきたのはジェスター王子と蘭さんだった


「桜〜!!!!!!!!」


桜に向かって突撃していく王子

飛び込む直前に皇帝陛下が放った何かに弾かれて『グフォ』とか言いながらぶっ飛んでいく


「貴方も大丈夫だったかしら?」


蘭さんは俺に声をかけてくれた


「俺はなんとか、それより桜に怪我をさせてしまって・・・申し訳ない」


「いいのよ。あの子は私の子よ、戦士の血を引いてるの。いずれ覚醒し、戦いに赴くでしょう」


「やぁやぁ、大変だったみたいだね」


皇帝陛下にぶっ飛ばされた王子がこちらに来た

結局桜には触らせてもらえなかったらしい


「『J』という庸兵がここに」


「『J』!? 奴がここに来たのかい!?」


「やはり陛下の考えていた通りなのかもしれないわね・・・」


「どういう事なんだ?」


「それは我から説明しよう」


桜を抱きかかえたアシェリー皇帝

桜を蘭さんに預けると俺を皇帝の間へと連れてゆく


皇帝の間は激しい戦闘の影響を受けておらず

美しい装飾や調度品もそのままの状態であった


「こちらに来るがよい」


皇帝の間のさらに奥へ入ると

そこは研究室となっていた

椿の研究室に似た気配があり、何故か懐かしく感じた


「そこへ」


アシェリー陛下に勧められるままにカプセルに入ると

中に液体が注入される

俺が椿にしてもらう調整に近いものか


「御主の治療をする間に我が国の状況を説明しておこう」

「現在我レノン帝国は3方面からの攻撃を受けておる。それぞれの王国が対応中だが、シフォン王国では不信な動きがみられておる」


「不信? 裏切りってことか?」


「彼らは以前より自らが作りし人形を皇帝の座へ就けようと画策していたが、今回の戦乱を利用し、より積極的な行動を開始したようだ」


「なら今回の襲撃も!?」


「皇居塔への襲撃は囮、本当の狙いは王子ジェスター。裏で糸を引いているのはシフォン王国宰相『ドラルド=ヒューザー』」


「そいつが『J』を雇って俺達を襲わせた黒幕か!」


このまま黙ってはいられない

必ず殺す!!!!!!!

やられたら殺り返すのが俺流だ


「Gよ、傷が修復されしだいシフォン王国へゆくのだ」


「言われずともドラルドの息の根は止めてやる」


「その前にスフィン女王に会うのだ」


「スフィンに?」


「彼女はドラルドの独裁を終わらせるべく準備を行ってきた。彼女に協力し、シフォン王国の情勢を安定させることが目的だ」


「ドラルドを殺すだけじゃなく、実権を女王に戻すことが重要ってわけか」


「そのための仕掛けはできておる。今回の事件をきっかけに行動に移すこととなった」


「了解した。シフォン王国へ向かい女王に協力しよう」




次も派手なことになりそうな予感がするぜ

これだけ好き放題やって無事で済むと思うなよドラルド!!!


俺は深い眠りに落ちながらも

黒い破壊の欲望を高ぶらせるのだった

今回は次の話への伏線的な話でした

次回はシフォン王国編です

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