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第19話:家族

辺境宙域での戦闘以降

大した問題もなく帝都まで辿り着こうとしていた


「ありがとう、みんな」


艦を降りる時にはクルー達からの歓迎を受ける桜

あの役立たず艦長はさっきから見ていない

自室で自殺してても気にしない

俺が殺す手間が省けるってもんだ



「ここが帝都って奴なのか?」


レノン王国のある惑星が首都なのだと予想していたが

実際には3王国の首都から同じくらいの距離にある小惑星を人工的に改造したものが

レノン帝国帝都『ホワイトスター』である


外見はとりあえず白い

外敵の攻撃を予測して装甲版を張り巡らせているのだが

その装甲が白いせいで全体的に白い




やがて船が入港し

俺と桜はレヴァルジスを後にした


一時とはいえ

生死を共にした船やクルーと別れるのは寂しいな

1名を除いて


「ようこそホワイトスターへ。ファリン王女殿下」


船を下りた俺達を迎えてくれたのは3人の女性達だった

彼女達は桜の母親が寄越した迎えらしく

桜は車に乗せてそのまま連れていってもらうことにした


俺は船の搬入口から下ろされるGHを待って追いかける

途中の景色は想像を絶する世界で

宇宙空間に作られた地下都市とでも表現すればいいのか


だが暗いわけでもなく

内部の環境は完璧に制御されている様子だった


ハイウェイを走り

やがて目的の宮殿へと到着した


いやぁ・・・長かった

思えばずいぶん遠くにきたもんだ




「お父さん! お母さん!」


やたら馬鹿でかい宮殿は

皇帝陛下が住む皇居ではなく

どうやら王子用の別宅らしい

スケールの大きな話だ


「桜〜元気にしてたか? 背が伸びたんじゃないか? おまけに重くなった」


親父さんの方はシャツにズボンというやたらラフな格好のせいで威厳は0

まあ自宅で着る服なんてどうでもいいが

桜を抱き上げている姿はマイホームパパにしか見えない


「貴方、女の子に重くなったなんて言ってはダメでしょ」


隣にいるのが桜の母親

桜と同じ黒髪を腰まで伸ばしている

その姿は1つの芸術品のような完成度であり

俺はこの親父を殺して未亡人になった彼女を頂く方法を頭の中でシュミレートしたりしていた


「君がハジメ君だね? 私は桜の父『ジェスター=レノン』だ」


しばらく家族団欒を楽しんでもらおうと思ったのだが

王子様は俺に気が付いたらしい


「始めまして」


「君のことは『G』と呼んだほうがいいのかな?」


「お好きな方でかまいませんよ」


「おや、そうかい? ならハジメ君と呼ぶことにするよ。君には娘達がずいぶんお世話になっているようだね」


「この体を与えてくれた恩をまだ返せていませんよ」


「君の体のことでは皇帝陛下も関心を示されておいででね。後ほど謁見をしてもらいたいのだが。何か問題があるかい?」


「問題ありません」


「では今は中に入って妻の料理でも食べてくれ。妻の料理の腕は帝都1だぞ」



宮殿の中は豪華絢爛だったが

何故か俺が通された区画はよく知る場所だった


そう

地球の地下基地を再現して作られていたのだ

ジェスター王子曰く『住み慣れた場所が一番安らぐ』そうで

部下に命じて大改装を行ったらしい


勝手知ったる我が家の感覚で

いつもの食堂へ移動すると

いつものように豪華な食事が並んでいた

今日はそれを作った女性が違うのだが


「いらっしゃい。娘達をいつも助けてくれてありがとう。私が母の『蘭=レノン』です」


「木戸一です。よろしく」


「貴方のことは菫からのメールで読んだわ。私の娘が申し訳ないことをしてしまって・・・」


「申し訳ないこと?」


「貴方の体の事よ。今時改造手術なんて、まったくジェスの悪い影響がここまで酷いなら初夜のうちに殺しておけば良かったかしらね」


「それじゃ桜が生まれませんよ」


「そうね」


そういって微笑む彼女の姿は

何か目に見えない輝きのようなもの感じた

そこにいるだけで引き付けられる何かがあるのかもしれない


「とにかく席に座って。話はそれから・・・ね」


「お兄ちゃんこっち〜。早く、早く〜」


「桜〜。そこは父さんの席じゃなかったかい?」


「今はハジメお兄ちゃんの席なの! お父さんはこっち!」


「やれやれ、本当に成長したもんだなぁ」


4人が席に着くと

地球で起こったことや宇宙の情勢等

様々な事柄を話した


合間に次々追加される食事は椿に匹敵する味で

こんな美女が毎日こんな美味い食事を作ってくれてるのかと羨ましく思ったが

よく考えたら俺も似たような環境にいたな


「それじゃ、今回の召還は本当に皇帝陛下が?」


「私の希望でもあったんだがね。桜に何か用があるようなんだ。私にも教えてくれないんだがね」


「ふ〜ん・・・何だろね?」


「あの御方は優しい人ですから、無茶な事は言わないと思いますよ」


「今の情勢じゃ無茶の1つも言いたくなるんじゃないか? ルビゥム、フィシス方面じゃ押されてるんだろ?」


「フィシス王国は特に酷いね。彼らはあまり戦闘向きな種族ではないし」


スフィンは王家に戻ったんだよな

今頃どうしているものか・・・心配だな


「我がレノン王国にも敵は攻めてきているけど、優秀な大将が守っているからね。まあ、余裕ってところさ」


「よくもまぁ、自分のことを恥ずかしげもなく誉められますね。ジェスは昔からこうで」


「昔の私のカッコ良さに魅かれて結婚したんだろう?」


「しなきゃ一生玩具にしたうえ地球人は皆殺しだって言ってたのは何処の誰ですか・・・まったく」


「それは置いといて。余裕があるなら援軍を送ったほうが良くないか?」


「私も言ってみたんだけどね。いやぁ、フィシスの宰相は頭の固い奴で、自国の軍備だけで守ると言って聞かなくてね。このうえは皇帝陛下に勅を出して頂こうかと思っていたところさ」


「一度スフィンに会いに行ってやりたいんだが・・・」


「それなら陛下への謁見が終わった後で船を用意させよう。ついでに宰相一派を皆殺しにしてくれると助かるよ」


「ハジメお兄ちゃんは、そ〜いうジョークをマジでやっちゃう性格だし、能力もあるんだからね。簡単に言っちゃうと後で大変だよ」


「いやいや、私も半分以上本気だよ。あの国の政治体系には普段から不満があってね」


「食事時に血生臭い話はやめてください。ハジメさん御代りは?」


「頂きます」


「蘭さん私にも」


「はいはい」




楽しいディナーの時が過ぎ

食事を終えた俺と桜はバルコニーから皇居を眺めていた


「あの天辺に皇帝陛下がいるんだね」


「そうだな。明日は謁見することになる」


「私1度も会ったことないの。どんな人かな?」


「会えば分かるさ」


今居る宮殿よりも何倍も大きな皇居の夜景を楽しみながら

桜と帝都見学の予定について相談していた時




突然の爆音と共に火柱が上がる!!!!!

今まで眺めていた皇居の内部で!!!!!!


「何が起こっているんだ!?」


「ハジメ君、起きているかい?」


「ジェスター王子、これは?」


「私にも分からない・・・だが普通じゃない事態が進行中なのは確かだ。私も後から向かう。君は一足先に皇居の様子を確認しに行ってもらえないか?」


「了解した。確かにこの状況は俺向きのようだ」


GHを呼び寄せ、その上に飛び降りると戦闘状態へ以降する

全身が鋼鉄の体に変化し、力が漲る


漆黒の魔人に変身した俺の頭に何かが落下してきた


「お兄ちゃん、私も行く!!!」


「何が起こってるのか分からない場所に連れていけないだろ?」


「連れていってもらえますか?」


突如背後から蘭さんの声が聞こえてきた

今まで何のセンサーにも反応がなかったんだが


「何故桜を?」


「その子は私と同じ血を引き、覚醒の時が近づいているの。早く制御する術を学ばなくては、力の暴走が死を招くわ」


「桜の力はそれほどの?」


「ええ・・・。桜、これを持って行きなさい」


蘭さんは桜にペンダントを渡した


「お母さん、これは?」


「時がくれば分かるわ。今は肌身離さずに持っているのよ」


「うん!」


桜は不思議な光を放つ宝石を身につけ俺の背中に張り付いてくる


「ハジメさん、桜をよろしくお願いします」


「全力で守ります」


「ハジメ君、私は命に代えてもという言葉は嫌いでね。私は君にも帰ってきて欲しい」


「俺もこんなところで死ぬ気はありませんよ。それでは・・・」



GHが咆哮を上げて走り出した


皇居で何が起こっているのか?

そして皇帝陛下の安否は?

仕事が忙しいので

1日1話ペースは難しいと思いますが

コメントを下さった方々のためにも

更新速度は早めでいきたいと思います


特に今回は引っ張ってるので

ここで止めると某作家みたいな状況になりかねません

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