表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/37

第13話:暗黒時代の再来

基地に帰った俺は衝撃の事実を知ることになったのだ


「桜ちゃん!?」


「ユリちゃん!?」


「なんだ知り合いか?」


「うん、クラスイメトのユリちゃん」


世界は狭いですね


「桜ちゃんが悪の秘密結社の構成員だったなんて・・・」


「ごめんね黙ってて。でも普通学校でそんなこと言わないし」


「それはそうだよね。私も『魔法少女やってます』なんて言えないし」





んで何か意気投合した2人は、クッキー食べながらお茶しちゃってたりする


そして衝撃の事実2つめ


「じゃあ私達従兄弟ってことになるんだね」


「知らなかったね〜」


今頃ですか?




そもそも

3姉妹の母親は

父親が侵略してきた時に戦った魔法少女系ヒーローだったそうな


『最強のヒーロー』として有名だった彼女に父親が一目惚れ


全戦力の3分の2を消費した一大作戦により捕獲し、プロポーズに踏み切ったとの話

その際に、『地球侵略を諦めたら結婚してあげる』という彼女の言葉に従い

直前までいっていた世界征服は急遽立ち消えとなった



そして

ユリの母親は桜の母親の妹ということで

2人だけでなく、3姉妹全員がユリと従兄弟ということになる


結婚後は実家との繋がりを完全に切った桜母のせいで

今まで母方の家族構成が謎だったことが原因だな





一度に新事実が発掘され

今日はこれ以上何もないだろう・・・

と思っていた俺が甘かった


それは今の状況を一変させてしまう衝撃の出来事だった








「大変よ!2人とも!!」


顔を真っ青にした菫さんが駆け込んできた

表情から見るに尋常な出来事ではない


「何があった?」


「・・・とにかくモニターを」


食堂の大型モニターが表示されると

そこに映っていたのは

一人の若い男の姿だった





「繰り返す。この星は我々リザルフ王国軍辺境制圧艦隊が制圧した」

「無駄な抵抗はやめて降伏したまえ、地球人達。すでに重要拠点は我々が占拠している」



「・・・・・何だ?これ」


「見ての通りよ・・・」


「他の組織に先を越されたってことか?」


「いえ・・・リザルフ王国はレノン帝国と同じ星間国家よ。つまり『異星人』による侵略」


「今までだって似たようなこと言ってた連中はいたろ?」


「この星は正式に侵略を受けていないとはいえ、レノン帝国の一部として考えられてきたの。リザルフとレノンの国境線を考えれば、彼らがここまで攻め込んでくるとは思っていなかった」


「帝国の領内だから異星人系の秘密結社なんてのはなかったわけか・・・それで、どうするんだ?」


「そんなこと私に聞かれたって!」


ダメだ、彼女も混乱しているし

こんな時冷静に状況判断できそうなのは椿のほうだな


「奴ら、本当に地球のあらゆる拠点を制圧にかかったみたいよ」


グッドタイミング!

ちょうど椿がきてくれた


「アメリカ、ヨーロッパ、他の大陸も侵略を受けてる。先輩とも連絡が付かない状況だし・・・」




「わ、私協会支部に戻ります!」


「今は地上がどんな状況かわからん。ここにいろ」


「ダメです! こんな時こそ、こんな時だからこそ、ヒーローの出番なんです」

「だから・・・行きます!」


「そんな! ダメだよユリちゃん」


「桜ちゃん・・・ごめんね!」


外へ向かって走り出すユリ


「お兄ちゃん!」


「大丈夫だ。だいたいエレベーターの動かし方知らないだろ、あいつ」

「ステッキも俺が持ってるから変身できないし」


「ハジメさん。私達はできる限り外の情報を得られるようにがんばってみるわ」


「ああ、俺は外に出て実際にどんな状況なのか確認してくるよ」


「それなら格納庫のGホイールを使いなさい」


「Gホイール?」


「貴方の移動手段として開発した新兵器よ。装甲車は戦闘向きではないでしょうし、今回は機動性が重要でしょ」


「ありがたい。使わせてもらおう」




普段は装甲車に乗り込むために移動する格納庫に

今日は1つの物体が追加されていた


さっき帰ってきた時にはなかったんだがな


シートを剥がすと、その姿が明らかになる

それは黒く輝くボディーの大型戦闘用バイクだった


「これがGホイール・・・」


Gホイールに跨り、起動させる

その瞬間、Gホイールの人工知能がこちらに接続してきたのが分かった

こいつには自分の意識というものがある


情報連結によって操作方法や武装を確認し

発進用リフトを起動させる


リフトが最上階に到達し、ゲートが開く

アクセルを回し、モンスターマシンの心臓が激しく鼓動した


次の瞬間

俺の体は超高速で走り出していた





ものすごいパワーのマシンだな

こんな一般道でスピード出せても困るんだが


突然の侵略者に混乱する街を駆け抜け

周囲の状況を確認していく


上空に母艦が浮いているということはなさそうだ

後は日本の重要拠点を占拠している奴らだが

ここからじゃよく分からんな


この近くで一番叩かれそうなのは・・・ヒーロー協会か!


ヒーロー協会の本部は日本にある

侵略管理委員会の本部もだ

どちらも攻撃のターゲットとなっているだろう


だが、それよりも近くにあるのがヒーロー協会支部

この地域一帯を管轄するあの施設に敵がきている可能性は高いな


支部に向かって進路を取り

全速で移動する


邪魔な車や川はブーストで飛び越える

不完全ながら飛行能力も備えているGホイールは

コンクリートジャングルを風のように走り抜ける




俺が支部に到着した時

そこは瓦礫の山だった


とはいえ

主な施設は地下にあるし

中に用事があったわけでもないんだが



周辺から戦闘の反応を感知し、そちらへ向かう


そこには1人のヒーローがリザルフの戦闘員らしき奴らに囲まれていた

中心にいるのは銀行で会ったあの女


あれはあれで美味しそうな女だったし

ここで殺させるには惜しいな


俺はGホイールに戦闘態勢を取らせる


『重力場発生装置をGホイールに接続』

『前方に重力場形成完了』


Gホイールの前方を重力場が包み込む

俺はフルスロットルで敵陣へ突っ込んだ




魔女を取り囲む戦闘員の一角が挽肉に変わる


「伏せろ!」


(ホイール)をターンさせると、武装システムを起動させた


『ミサイル一斉発射』


後部のハッチから無数のミサイルが発射され

それが空中でさらに分離してエンピツサイズのミサイルに変わる


しかし侮ってはいけない

このサイズでも戦闘員程度なら十分潰せる威力はある


雨のように降り注ぐミサイルによって辺りが煙に包まれた中から

光る球体が姿を見せた


「何が伏せろよ! シールドを張らなきゃこっちも危なかったじゃない」


「心配しすぎだ。俺の愛馬は優秀だからな、狙った獲物は外さん」


「それより何しにきたの? この機会に貴方も世界征服を進めるつもり?」


「俺はお前の可愛い妹分の代わりに様子を見にきただけだ。他の連中は?」


「・・・ここで生き残っているのは私だけよ」


「あんな雑魚ばっかに殺られちまったのか?」


「違う! あいつら以外に怪人クラスの奴がいたのよ。あいつらの強さは地球の怪人より確実に上」


「ほう・・・その情報、基地でゆっくり聞かせてもらおうか」


「貴方の組織の基地? 何で私がそんな所へ」


「ユリィに会いたくないのか?」


「・・・分かったわよ!」


勝手に後部座席に飛び乗ってくる

後ろから抱きしめられると

ちょっと気持ち良いな、これ


基地へ向かって走り始める

後ろが振り落とされない程度のスピードで走っていると

後ろから声をかけられた


「『マジカル・マリィ』よ」


「ん?」


「私の名前」


「本名はマリ?」


「何で知ってるの!?」


「ユリィの本名がユリだったからな」


「・・・何でそんなこと教えてるのよ、あの子は」


「ユリとは?」


「姉妹よ」


「なるほど、姉妹に縁があるな俺は」


「それより貴方は?」


「俺のことは『G』と呼べばいい」


「本名は?」


「秘密だ」



基地への道をちょっとしたドライブ気分で走り抜ける

我ながら緊張感がないが

むしろこの状況を楽しんでいる自分がいた

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ