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第12話:銀行襲撃作戦(後編)

「私は新人の『マジカル・ユリィ』です。よろしくお願いします」


これだけ騒げば当然のようにヒーローがくるわけで

きたのがこの子らしいですよ


クルクルとした巻き毛と大きな瞳が特徴的

レースを使いまくりのフリフリミニスカ衣装にステッキと

分かりやすい『魔法少女系』の姿をしている


「初めてお会いしましたけど、何て名前のヒーローの方でしょうか?」


「色々勘違いしてるみたいだが、俺は秘密結社レノンの戦闘員Gだ」


「ええっ! でも今怪人を倒してたじゃないですか」


「こいつらとは別の組織だからな。俺の仕事の邪魔をするから始末しただけだ」


「それじゃ、私はどうしたらいいんでしょうか・・・」


「お前が倒しにきた怪人は俺が倒したんだから帰っていいんじゃないか? 何ならお前が倒したことにしていいぞ」


「そうなんですか? ありがとうございます〜」


「おう、そうしろそうしろ」


魔法少女を無視して金庫室に向かう

これ以上面倒ごとは御免だ


「Gさんは何処へ行くんですか」


「金庫室だ」


「何をしに?」


「金品強奪のためだ」


「ダメですよそんな!!!」


やっと気が付いたか

そのまま帰ればいいものを


「なら俺を止めてみるか?」


「うう、恐い・・・でも! 私もヒーローの端くれ、引くわけにはいきません」


「しかたないな」



正直この手の魔法少女系ヒーローは苦手だ

俺の体は元々魔法に対する耐性が低いし

Gの開発者である椿自身が魔法を苦手としているせいで有効な対処法が少ない


「マジック・アロー!」


魔力の塊が矢となって飛来してくる

直撃すればビーム砲並みに厄介な攻撃だが

発射までのモーションが長いので回避は難しくない


「回避された!? それなら・・・マジック・バースト!」


魔力の塊が俺の目の前まで飛んできたかと思えば

直前で爆発し、周囲を焼き払う


ああ、これはもう

明日からこの銀行は営業できないだろうな



「やった? やりました! 初めて勝てた〜!」


クルクル回ったり、ピョンピョン跳ねたりして面白いな

見ていて思った『美味そうだ』



俺が今何処にいるかって?

当然爆発の中にはいなかった


Gの能力の1つ『カメレオンモード』

これにより体のカラーリングを変更することで周囲に溶け込んでいる


そしてもう1つの能力『スパイダーモード』

表面を粘着性に変えて壁等に張り付くこの能力で

俺は今天井に張り付いている


そう

ユリィの真上に張り付いて、彼女の奇妙な喜びのダンスを眺めているのだ



そろそろいいかね


スパイダーを解除して自由落下に任せる


ユリィの背後に着地し


「へ? ぐっ!?」


彼女が気配に気づいて振り返ろうとしたところで後頭部に1撃


見事に気絶して転がった彼女をG細胞の1部を変換して作った手錠と足枷で拘束して

魔法を発動するのに必要なステッキも回収しておく


「これはこれで後のお楽しみとして、金を頂いてくるかなっと」


今度こそ金庫室へ動き出す


「そうはいかないわよ」


突然出現した殺気に臨戦態勢を取る


いつのまにこの距離まで!?



「これ以上貴方の好きにはさせないわよ」


ユリィに似たフリフリドレスと身長に近い長さのワンド

こいつも魔法系か


ユリィのような可愛らしい魔法少女ではなく

凛々しい顔立ちとキリッとして釣り目が特徴的な

魔法少女というより魔女といった感じだ


「俺は今ヒーロー1人に勝ったところだぞ。今回はこれ以上妨害できないはずだろ?」


「彼女は新米だから暫定的に私とチームを組んでいるのよ。同じ系統ですからね」


そいつは困った

2度の戦闘で残エネルギーが少ないし

調子に乗って連射したせいでサンダーボルトも弾がほとんどない


この状況で勝てるかは微妙なところだ

しかも相手が魔法少女ときたもんだ

正直戦いたくない



「そうかい、こっちは疲れてるんで遠慮させてもらおうか」


手足を拘束して団子状態になっていたユリィを抱え上げる


「こいつは人質にさせてもらう。命が惜しかったら作戦終了までおとなしくしてもらおうか」


「さすが・・・卑怯なことを考えるものね・・・」


「誉め言葉として受け取っておこう」


睨み合いを続けながらジリジリと後退する

このまま金庫室まで移動して、金を奪って逃げるまでだ


「人質にする以上はその子の安全は保障するんでしょうね?」


「もちろんだ」


「そう・・・その子を1人で行かせてしまった私の責任もある。今回はその話を飲むわ。ただし! その子に対して酷いことをしたら・・・殺すわよ」


「安心しろ、酷いことなんてしない。優しく扱うさ」


「『優しくレイプ』するのも禁止よ」


あ、言われちゃった


「それでは失礼させてもらおう」


ユリィを担いで金庫室へ駆け込み

お目当ての金塊を回収する


札束よりも回収率が高い金塊が収められていると

知っていたからこそ

この銀行に攻め込んだのだ






「作戦成功、これより帰還する」


「了解。今から迎えにいくね」


外で待機していた桜に連絡を取り

基地へと帰還した俺は

そこで驚愕の事実を知ることになるのだった

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